昨日のひとりごとのつづきですが、気温が20℃を超えた3月5日、福岡に行きました。
汗ばむ陽気で、市内中心部の天神には、半袖姿の若者がおりました。この時期の西の方角は、特に日暮れが遅いと感じます。午後6時半過ぎても、まだ灯りは点灯されません。そして、この時期になると、『福岡に本格的な春が来た』と私が思っているふたつの事柄があります。
ひとつは、きさらぎ法律事務所旧ホームページの『よかとこ九州』でご紹介した室見川の『しろうお』です。市内西部を流れて博多湾に注ぐ室見川、もう海に近い場所で、しろうお漁が始まります。
毎年2月中旬から4月上旬にかけて、産卵のために博多湾から登ってくるのです。しろうおは、『シラウオ』ではなく、ハゼ科に属します。体長5cmくらいの透明で、目だけ黒い魚です。これを博多湾の河口近くの室見川に、梁と呼ばれる柵で囲い込んで獲る伝統的漁法です。行きたままポン酢につけて食べる『踊り食い』が主です。まさに福岡に春を告げる魚です。
それともうひとつ、それは福岡の『ホワイトデー』です。3月14日、バレンタインのお返しがなされる習わしですが、そのルーツは、福岡市の和菓子店『石村萬盛堂』が、チョコレートのお返しに、マシュマロを作って販売したのが最初と言われているのです。
福岡市博多区にある石村萬盛堂本店は、博多祇園山笠のゴールに位置します。まさに博多そのものを感じます。皆さん、石村萬盛堂とマシュマロ、そしてホワイトデーの成り立ちはご存知でしたか?
福岡みやげの定番のひとつともなっている『鶴乃子』。これはマシュマロ生地で、黄味餡をくるんだ明治時代から作られた和菓子でしたが、当時の石村萬盛堂は、これしかなく、売上が伸びなかったので、新たな菓子の販売を考えていたそうです。そんなとき、昭和52年のことですが、当時の社長さんが、ある少女雑誌をめくっていたところ、「男性から、バレンタインのお返しがないのは不公平。ハンカチかキャンディ、せめてマシュマロでも…。」の記事を見つけました。
これを見た社長さん、男性から女性にお返しする日を、鶴乃子をきっかけとして作れないか、そんな思いで、当時は鶴乃子を作る機械で作れるマシュマロに、バレンタインがチョコレートだったことを考えて、チョコレート包餡のマシュマロを考案したのでした。これは、バレンタインでもらったチョコレートを、やさしく包んだお返しする、そんな思いで、チョコマシュマロが出来上がったのでした。
ただし、マシュマロデー後のホワイトデーが3月14日になったのは、全くの偶然でした。このチョコマシュマロを販売することになったのは、岩田屋天神店ですが、いつ販売するかは、そのときのスケジュールをみて、石村萬盛堂さんが暇となる3月14日がよかでしょうと進められて決まったのだそうです。これがホワイトデーの前身、マシュマロデーが生まれた経緯であります。昭和53年3月、遂にマシュマロが店頭に並びます。
こうして誕生したマシュマロデーでしたが、百貨店から提案がありました。バレンタインのお返しは、マシュマロだけではなく、もっと幅広く文化にできないかと言うのです。こんなところから数年後、マシュマロの白に合わせた『ホワイトデー』の名に変わったのです。そしてホワイトデーの商品は、心からのお返しなら、マシュマロやホワイトの品物に限らないことにもなって、日本国内に、ホワイトデーが、定着することになったと言うお話であります。
私は、昭和59年の3月、司法修習生として福岡市で暮らしておりました。そのとき、既に婚姻していた同期生から、「マシュマロを買うから付き合え」と言われたことを覚えています。そのときは、ホワイトデーなんて言葉は記憶にはなくて、マシュマロデーと言っていたその友人に 誘われた?のは、正直迷惑だなと思ったのです。
そのころは独身でしたし、誠に残念ながら、2月14日には、私にチョコレートをくださるこころ優しい方はおられなかったからです。現在は、『ミーナ』となった天神にあるビルで、マシュマロを選んでいる友人をみて、何やってんだろうと疑問を感じていたのは事実です。もちろん、そのときマシュマロデーの謂れも、石村萬盛堂さんも知りませんでした。
今回福岡市に行くにあたって、石村萬盛堂のチョコレートマシュマロを買いました。石村萬盛堂は、ときどき都内の百貨店で開催する福岡物産展に参加され、チョコレートマシュマロを販売します。ホワイトデーとは無関係の私には、普通にこれが買えるチャンスなのです。博多祇園山笠と深い関係があるこの店舗、かなり気になっていたので、本店を訪ねたのです。
今回見栄を貼って、何気なくチョコレートマシュマロを買って来ました。自分で食べるためです。
さて、福岡はもう春本番でした。
今回の福岡では、『しろうお』にはありつけませんでした。いつも市内の魚のお店に入って飲み食いする時間帯、私は、レベルファイブスタジアムに居たからです。
そうです。先週開幕したサッカーJリーグディビジョン1に所属する『アビスパ福岡』のホーム開幕戦が、3月5日行われたからです。今年に限っては?アビスパ福岡J1でのシーズンスタートも、福岡市に春を告げる事象かと思います。