最近発覚した『野球賭博』に関する報道に寄せて。

2016年3月17日
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春と言えば、今年度のスポーツシーズンが始まる季節でもあります。サッカーJリーグは、既に2月から開幕していて、今月末には、『春は選抜から』と言われる選抜高校野球甲子園大会があり、そしていよいよブロ野球が開幕します。


ちなみに、開幕3戦を終えた時点で、きさらぎ法律事務所が法人後援会に登録されているサッカーJ1に所属する『アビスパ福岡』は、未だ勝利がなく、単独最下位となっています。


ブロであれば、勝つことが大事、勝てばお客さんも増える、運営主体にお金も入れば、選手の年棒も上がり、また、スポンサーも増え、人がお金が人を呼ぶ、選手もやり甲斐を感じることは否定できないでしょう。そんな選手のモチベーションを上げるためと言う理由で、開幕を前にして、ブロ野球界を賑わしている『事件?』が起きています。


昨年発覚した読売巨人軍に所属する選手の賭博問題に端を発した試合中、また、練習中に選手間でお金を集め、支払いをしていた行為が発覚しています。

昨年読売巨人軍に所属する現役選手3名が、いわゆる野球賭博行為をしたとして解雇されました。現在この人たちは、球界から失格処分を受けているのだそうです。ただ、自分がプレーした試合は賭けの対象にはなっていなかったので、野球規約に違反する敗退行為、すなわち八百長をやったことにはならないと認定されました。

このとき漏れていた現役選手が、賭博を誘って来た者から、その後もアプローチされることに耐えられず、このたびかつて野球賭博をした事実を球団に申告したことから、再び読売巨人軍を取り巻く賭博問題が露呈したものです。


4人めの野球賭博経験者は、謹慎となり、球団からプロ野球コミッショナーに通報されました。解雇や失格の措置が予想されます。そしてこの件が発覚したところ、なぜ昨年の調査で把握できなかったのか、もっと隠れた事案があるのではないか等取り沙汰されたところ、読売巨人軍について、別の事実の存在が明らかにされました。

数年前のペナントレース中、読売巨人軍が、連敗が続いて士気が上がらないとき、試合中ベンチ入り選手が円陣を組んで掛け声をやるのに、この『声出し』を巡って、各自数千円のお金の動きがあったのだそうです。すなわち、チーム各人が5.000円くらいを出し、もし試合に勝てば.この声出しをした選手がこれを受け取り、負けたら声出し担当選手が、選手全員にひとりあたり1.000円くらいを支払う仕組みなのだそうです。


読売巨人軍によると、ほとんどの選手が、これに参加していたと言います。ひとりあたり数千円であっても、『勝った』場合には、10万円以上の金額を手にする計算です。当時主力メンバーだった現読売ジャイアンツの監督が加わっていたかどうかは、把握していないとのことであります。


読売巨人軍は、昨年段階で、この事実を概ね把握していて、NPB日本野球機構にも報告されていたのです。NPBは、この声出しは、敗退行為には該当しないとし、読売巨人軍は、少額で、験担ぎの意味合いもあり、賭事とは認められないと判断したと述べています。少額かどうかは、個人の受け取り方かもしれませんが、私は、NPBの判断や、読売巨人軍の解釈には疑問があります。でも、いちばん言いたいのは、「なさけない!」と言うことです。

敗退行為、すなわち八百長の可能性は低いでしょう。これが始まった契機は、負けが続いたから、なんとか士気を高めるとの意図に出たものとされるからです。しかし、摘発された野球賭博とは異なり、現に試合する選手たちが賭けていたのです。もし、彼らが、もう自軍は勝ち続けてーー例えば既にリーグ優勝を決めた等ーー士気を高める必要はないときに、声出しをやる人間を陥れることはできます。


「あいつ、いつも儲けやがって」と反発して、わざと手を抜いて負けることはあるかもしれません。

と言うよりも、正に今私が例示したように、八百長なんかしなくても、したに違いないと疑惑が持たれる可能性があることでアウト!ではないでしょうか。また、確かに選手は、勝ちか負けかを選んでお金を出しているわけではないので、バクチのイメージは薄いかもしれません。ただ、お金を出した対象は、まさしく勝負の世界、偶然の事情により決まる性質のものです。


賭博罪が存在するのは、いたずらに射幸心を煽り、勤労の美風を失わしめ、国民の経済活動を損なう恐れがあるからだとされます。もしかすると、声出しを担当した選手は、ブロとしてのその試合でのプレーそのものよりも、そうやって声出しを上手くやってーー勝利に結びつけてーー十数万円を得ることに、気持ちが移る気配はないでしょうか。また選手たち、まさか負けても1.000円?と言う保険がある!とは思わないでしょうが。


それにしてもなさけない!。試合前に、ーー彼らにとっては、ーー小金を集めて気合を入れているなんて。賭博罪は、一時の娯楽に供するものについては成立しません。タバコ1本を賭けたような場合が例示されます。読売巨人軍は、今回発覚した声出しに関しては、選手が出した金額が少ないので、賭博罪の対象外であると言っています。千円出した、最大でも十数万円受け取れるだけだから構わないと言うことのようです。プロ野球としての問題の本質は、そんなところにあるのでしょうか?

読売巨人軍の選手たち、これから始まる試合に、お金を出し合っていたのです。球団が言うように、験担ぎだとしたら、そんなことしか思いつかなかったことは、なさけないとは思えないのでしょうか。お金の計算とか集金なんて、いつどうやって行われていたのでしょう。子どもたちに夢を売る仕事なんて私は言いませんが、これがプロ野球選手のやることなんでしょうかね。1.000円貰ったから負けてもいいやにならないとも限らないと思います。まあ、1.000円が大事なのは、私くらいの経済力の者だけかもしれませんが。

サッカーJリーグで、選手ではなく、サポーターの心ない行為で、あるチームが無観客試合を行ったことがあります。ある年のサッカーワールドカップアジア予選でも、ある国のサポーターが、不適切行為をしたため、その国のサッカー代表チームが、中立国での無観客試合を行ったこともありました。こちらは、選手ではなく、これを応援するファンの不適切行為が問題とされたものです。



プロ野球界は、自浄機能はないのでしょうか。ファンあってのブロではないのでしょうか?


私は、最高顧問の辞任は、目くらましとしか思えません。

もっとも、本当のところ、公営ギャンブルが存在することの意義つけは、私にはわからないのですが。