開業した北海道新幹線に期待するもの

2016年3月29日
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3月26日に新青森駅から新函館北斗駅間が開業した北海道新幹線、開業初日1番列車指定席は、発売30秒で完売となりましたが、開業直前に、初日から9日間の平均乗車率が25%に留まることが、JR北海道から明らかにされました。あまり人気を博さないことについては、各方面から、いろいろな理由が挙げられています。料金が高い、新函館北斗駅が函館駅から離れている、『4時間の壁』が破れていない等等です。
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今回開通した区間、首都圏にいる人は、あまりピンと来ないかもしれません。昔青函連絡船が運航されていた津軽海峡をほぼ挟んだあたりと思ってください。以前この『ひとりごと』でも書きましたが、青森駅は本州の、函館駅は北海道の始発駅でもあり終着駅なのです。つまり、地形上新幹線を入れることはできないので、方や新青森駅、方や新函館北斗駅となったのです。





そして新函館北斗駅からは、将来札幌駅までつながることが決定しています。新青森駅と新函館北斗駅間は、148.8kmです。この区間の新幹線自由席料金、そして所用時間が、利用客の増加を見込めない要因とされている様相です。


新青森駅新函館北斗駅間の新幹線自由席料金は3.930円で、他の新幹線に比べて極めて高いです。例えば、東京から福島、長岡より高く、新大阪広島間とほぼ同じです。『4時間の壁』とは、航空機と新幹線の利用客が逆転するラインと言われるものです。東京から新函館北斗駅まで、4時間を切ることができていません。


それは、青函トンネル内は、時速140kmで運行されることが、かなり影響しているのだと思います。羽田空港から函館空港までは、離陸後飛行時間は1時間かかりません。時刻表上も、1時間20分くらいです。しかも、函館空港は、市内湯の川にあり、比較的観光にも便利な位置にあるのです。新函館北斗駅から函館駅まで、『函館ライナー』なる電車に乗り換えなければならないことは、かなりJR北海道には痛いことではないでしょうか。


私は、福岡に行くとき、新幹線は利用しません。司法修習生のときは、ブルートレインやときには新幹線も利用しました。旧国鉄時代、ブルートレインと新幹線ひかり号のグリーン車が利用できる『グリーンきっぷ』なるものがあって、盆正月でも確か3万円台で使えたからです。それから航空会社も、割引きっぷを売り出すようになりました。羽田福岡間は、使い方によっては、かなり安く行き来できます。片道1万円台前半なんてザラです。


さて、羽田函館間は、うまくすると12.000円くらいだそうです。JR東日本の最安売り商品とされる東京都内から新函館北斗までのスーバーモバイルSuica特急券を使っても、航空料金より高い設定です。なんか北海道新幹線は、初めから東京あたりの人は、利用しない前提で運行されているようです。それと、北海道新幹線は、航空機と勝負するつもりがないことが見て取れます。この点、北陸新幹線とは違うようです。


『4時間の壁』で言えば、東京駅から新幹線のぞみ号で、広島駅までが、だいたい4時間です。のぞみ号が頻発する前の時代は、東京からだと、岡山でほぼ拮抗、広島で新幹線より航空機になると言われていました。


しかし、新幹線のスピード化と合間って、広島までは新幹線が有利の感があります。現在は、山口宇部で逆転、福岡は、まず航空機だと言われます。

JR北海道によれば、北海道新幹線新青森新函館北斗間は、1日の乗客数約5.0000人、乗車率26%と見込んでいると発表されました。そうすると、特急料金が3.930円だとすると、年間71億7225万円の収入です。これだけ高い!と文句が出る特急料金ですが、JR北海道が、国土交通省に申請した資料によると、開業3年時の特急料金収入は、70億9500万円と記載されていたことが明らかとされました。


すると、初めから北海道新幹線は、乗車率26%程度の収入しか見込めないとして、運行計画を設定したことを意味します。これは、立派なインフラ、公共事業なんでしょうね。航空機を意識せず、また、他の新幹線との『料金比べ』を気にする必要もなかったと言うわけです。

昔国鉄の分割が民営化持ち上がったとき、推進する側から、特に北海道の実情が、槍玉に上がりました。カラの列車を走らしている、1日たった数本の運行のために、駅係員がいる等です。

過疎もいち早く進んだのでしょう。

私は、北海道新幹線が、ガラガラで過疎路線となるとは申しませんが、ブルートレインを廃止してまで運行されたのですから、意義のあるみんなに愛される鉄道であって欲しいと思います。


北海道は、札幌一極化が進むいっぽうだと感じますので、北海道新幹線が、まずは道内に人を呼び込む、送り込むきっかけを作ってくれたらと願います。ただ、そのために何が良いのか、先のJR北海道の出した数字を知ると、もう開業9日間で、水をさされた感じがしないではないのです。


頑張れ北海道新幹線!