毎日のように、男女に関する案件と向かい合う私からすると、不倫不貞はしょっちゅう遭遇するので、このところの日本国内の騒ぎ?はなんだろうと感じます。 週刊文春の活躍に影響されたのか、今週は週刊新潮が、大々的に報じているようです。そんなことを記事にするのが週刊誌の役割なのでしょうから、日頃私が捉える『不貞問題』とは視点は異なります。どーでもいいと言いながら、今回私がこの『騒動』に言及するのは、話題の主のお立場や社会的な影響から見て、本質は、コレ不倫問題ではないと思えたからです。 今回ターゲット?にされたのは、大学在学中に450万部のベストセラーの著作を世に出し、東京都の教育委員や教員を歴任された文筆家の男性です。なんでも婚姻後5人の女性と不倫していたとかで、スポーツライターをされるなど、その爽快なイメージとはあまりに掛け離れているとして、かなり批判されておりました。 ちなみに、法律家の世界では、『不倫』とは言わず、婚姻している人が、配偶者以外の異性と肉体関係を持った場合に、『不貞』と言います。この爽やか男性、記事になった途端、『不貞』を認めたそうです。 あるいは、この『ひとりごと』で何かを喋った折、少し口を滑らしたかもしれませんが、私は、この人が、この夏に行われる参議院議員通常選挙に、自由民主党公認で立候補することに驚いたのです。この方の雰囲気、そしてときに出演された報道番組でのご発言からして、この人のご主張、望まれる社会は、どー考えても自民党の政策、現実の社会、そしてこれから描かれる未来に合致するものとは思えなかったのです。 特に、このところの次々に露わとなる自民党議員のレベルの低さ、ヤジや失言はまあ可愛いほうで、委員会で答弁する大臣の横でメールや読書をし、果ては居眠りをする、アメリカ合衆国オバマ大統領は、あたかも祖先が奴隷だった、そしてイクメンを標榜しながら、議員である妻が出産入院中に、自宅に女性を引き入れて不倫して議員辞職した等々、そんなお歴々と、この爽やか男性が同僚になるとは、どうしても思えなかったからです。 議員でありながら不倫したら辞職となるとして、議員になる前の不倫は、別に構わないのかもしれません。そうだとすると、この人の不倫報道がなされると知った途端の素早い行動は納得ですね。 すぐに謝罪文を出しました。 まず、支えてくれた妻に対する謝罪、そして、慕ってくれた人への裏切り行為をしたとして、謝罪がなされています。私は、不貞とは個人的問題、個人の資質によるものですから、社会人として失格であっても、社会に謝るべき性質のものではないと思っています。不倫は、社会的影響が大きい人だけがやってはならないと言うものでもないからです。夫婦間の問題、配偶者に謝るべき筋合いです。 ところがこのお方の奥様、裏切り行為をした夫から打ち明けられ、よく話し合ってやり直すことにしたのだそうです。そして、(こうなった)責任の一端は、妻である自分にあると感じているとメッセージを出しました。 今、この『妻の謝罪』が、マスコミ界で話題になっている様相です。当然、奥さん悪くない、謝る必要なんかないの論調です。キット良くできた方なのでしょうね。私の周りには、まして、依頼事件の相手方には、こんな人、おりませんね。 あるいは本当に、このご夫婦、夫が不倫に走る、逃げるような空気の悪い、葛藤を抱える婚姻関係だったのかもしれません。奥さんは、それを反省?自責の念をお持ちで、責任の一端と仰られたのかもしれません。そうであっても、そうであればこそ、もともと夫婦の問題であり、社会に謝る筋合いではないですね。 誠に残念なことに、私は仕事柄、夫婦の婚姻関係としては、喧嘩が絶えない、別居している等正常を欠いていて、そこから逃げる、あるいはもう配偶者とは他人、離婚しているとでも勘違して、不貞行為に至る方の案件を担当することは少なくありません。私は、たとえ婚姻関係の修復は困難と思えても、婚姻関係を解消、すなわち離婚していない、少なくとも調停等その手続きに進んでいないのに、不貞をしたらアウト!と申します。 こんなとき、年中行事になっているのは、『婚姻関係破綻後の不貞だから、不法行為にはならない』との抗弁ですが、これはダメです。それなら離婚すべきなのであって、これをしないのは、しないなりのメリットがあったからです。メリットとは、「自分はもうパートナーのところには戻らない、だけどパートナーは離婚しないと言っている、これを切り出すと面倒だ」を当然に含みます。それよりも、こんなご夫婦であっても、パートナーが不貞をすると、絶対に許しません。返って離婚しないとか、不貞の相手となった人に対して慰謝料だとか騒ぎます。パートナーだけが楽しそうに、しあわせになるのは許せないのですね。 話がかなり逸れました。このご夫婦、本当にうまくいってなかったとしても、奥さん、自分に責任があるなんてよく仰ったと思います。私なんかからすると、私の依頼者が不貞に至ったのは、本当に、責任の一端はパートナーにあると言いたいことは、しばしばです。でも、言いません。不貞をされたパートナーが、自分も悪かったなんて述べられたケースは、1回もございません。 他人の夫婦関係は、他人にはわかりかねるものです。件のご夫婦、本当は、奥さんは全く悪くなかった、不貞した裏切り者の夫が100%悪かったのだとしたら、なんで自分にも責任の一端なんて言って、世間に謝ったのでしょう。マスコミ界では、このご夫婦の実態がどうだったかなんて検討するまでもなく、「奥さん悪くない!」でほぼ一致しています。 奥さん気の毒、良くできた人、人格者、優しすぎる!等等賛辞が続々でしょう。特に、世の中の女性からは、相当注目されますね。浮気した夫を許せたのですから。 女性に好かれる、人気があるとどうなるか、これ、選挙には最大の武器ですね。あるいはこのご夫婦、夫婦の『その先』を見据えたのかもしれません。奥さんと並んだ選挙カーで、誰が『不倫!』って、ヤジ飛ばせますか?そうでなくても、選挙戦の時期には、この候補者が、かつて不倫していたことよりも、この方の奥さんが、出来すぎた対応をされたことが、記憶に残っているでしょう。もし、同情票なるものがあるとしたら、誰に同情したことになりましょうか?