国会議員は、全国民の代表なのであって、ある組織のボスに忠誠を誓うために、議員歳費を受けているのではないはずです。

2016年9月30日
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第192会臨時国会が招集されました。国権の最高機関である国会には、国会から指名された内閣総理大臣以下政権を担う内閣が出席し、国民の代表である国会から委託された国政の運営に関し方向性や大まかな政策を説明し、かつ、その後開かれる各委員会等で質問に答えます。


これは国会、国民に対して責任を持つ議院内閣制のあり方です。

さて、国会開催にあたり、内閣を代表して安倍晋三内閣総理大臣が、所信表明演説を行いました。政権与党は応援し、野党は批判するのは習わしで、その後続く各党首の演説でも、双方からヤジが飛ぶことは、もう年中行事ですし、その行事に慣れた議員は、居眠りしていますね。


これをテレビ中継等で知らされる側も、もううんざり、慣れてしまって文句も言いません。ただ、今回の安倍晋三内閣総理大臣の演説と、これを受けた自民党議員の振る舞いには、異常と不安、反発を覚えざるを得ません。何処の国?って感じです。

安倍首相、例によって『世界一』を8回も繰り返し、中高ならとうに卒業している年数が経過しているのに、相変わらず道半ばと言うアベノミクスをさらに進めるとか、成果をもたらすとか言い、まだまだ日本は成長できるなんて同じことを言っていました。


まあ、それは良しとしましょう。問題は、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜く、強い決意を持って守り抜くことを誓うと述べた後、『現場では夜を徹して、いまこの瞬間も海上保安庁、警察、自衛隊員の諸君が任務に当たっています。


いま、この場から、彼らに対して心からの敬意を示しそうではありませんか』と述べ演説を止め、自ら拍手を始めま他ことです。そしてある政党の党首が、『異常な光景』と評した自民党議員が起立して手を叩き、それが20秒にも及んだとされる件であります。

かつて『立法府の長、私は立法府の長なんです!』って何回も叫んでいた安倍首相、ここは自分が長としてとり仕切る場所と勘違いしていたのでしょうか。

内閣は、国民の代表が揃った国民主権の根幹である国会に呼ばれ、この場で自らの職責の重要性に思いをいたして約束する立場です。自分で自分の演説に酔って拍手するのはおめでたいことかもしれませんが、国会、ここでは衆議院議長の許可なく、議員に拍手せよと求めるのは、三権分立の観点からも疑義があります。

それ以上に『異常』なのは、内閣総理大臣、すなわち行政府の長に促されて拍手を送って約20秒国会の機能を止めた自民党議員です。はっきりと言って、バカじゃないかと思います。自分たちの職責をなんと心得ているのでしょう。ある自民党の長老は、『スタンディングオーベーションに感動した』なんで言いました。

スタンディングオーベーションは、演技や演奏に感動した観客がら送る最大限の賛辞とされます。国会議員が、内閣総理大臣の件の発言や態度に、最大限の賛辞を表したってことなのでしょうか?国会とは、そんなことをする場所ですか。

さすがに議事進行が妨げられたとして、大島理森衆議院議長は、議員に?注意をしました。当たり前です。そう言えば一昨年末の衆議院議員総選挙が行われるために、解散証書が読み上げらる途中に一部自民党議員が、『万歳!』した場面がありました。このとき当時の伊吹文明衆議院議長は、議員に『注意』しました。バンザイは、この場でするものではないーー議長の読み上げを終わったら、どうぞお好きなようにーーと言うわけです。私は、2012年問題と言われるごとく、政権奪還後、巨大与党一強多弱の時代になって、与党議員は、何をおいても総理総裁に右に倣え、その一挙一動を注意深く観察して、常にこのご意向にそう対応をすることに、全力を注いでいるように思います。


これはたぶんに小選挙区制も影響しているとは思います。ハナから自分たちの責務、国会と内閣の関係なんて、理解する気はありませんね。

国会を自らの政府のパフォーマンスの場とする行政府の長、国会も、国民も舐めれたものですね。ある野党の重鎮が言っていました。『この政府の姿勢と、これが国民に受け入れられるとすれば、国民と日本社会の異常性を感じた』と。

続けて、あのようなことは、これまで日本の議会では見られなかった。北朝鮮か中国共産党大会みたいな感じだとも所感を述べています。

この野党の重鎮、北朝鮮や中国を批判してるのではありません。北朝鮮は、北朝鮮なりの共和国体制であり、中国共産党大会は、いわば党大会であつて、身内で拍手したからどうってことないでしょう。


実際自民党大会でも、拍手や全員起立はありますから。要するに、それが国民の代表機関から出席を求められ、国権の最高機関の場に登壇して、国民に対する所信表明演説をする際に行うべきものか、また、国会議員は、全国民の代表なのでり、自分の組織のボスに忠誠を誓うために、この場に居て、議員歳費を受けるのではないということであります。本当に情けないです。

件の野党党首の言うとおり『不安』です。