確かにスタンディングオーベーションは、誰かに指示されて起きるものではないのですが。

2016年10月5日
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開催中の臨時国会は、委員会に審議が移されました。

 

ここでも最初に、安倍晋三内閣総理大臣が野党から指摘されたのは、例の衆議院本会議場での『拍手と起立』の件です。あのとき確かに安倍晋三内閣総理大臣は、今このときも、国民のために任務に服している諸君、具体的には海上保安庁、自衛隊、警察の職員に敬意を表して拍手を送ろうではありませんかと議員に促しました。

 

ところが、安倍晋三内閣総理大臣、これは自然発生的に起きたことであり、何が問題なのかわからないと言っています。冗談ではありませよ。 この問題性に関しては、この『ひとりごと』でお話ししました。

 

本当に問題点がわかっていないなら、三権分立、議院内閣制や、国会の議事進行等に関して、学校で教えてもらったほうがよいでしょう。かつて安倍晋三内閣総理大臣は、自らを行政府の長と言い、国会議員に対して、もっと勉強されたほうが良いとも言われましたし、ポツダム宣言は詳らかに読んでいないゆえに、アメリカが、原爆を2つと落としてこれでもか!って威嚇して、やむなく受諾したものとも仰っていましたから。

 

まあこの際、まとめてしっかり勉強された方がよいでしょうね。 今日は、問題ないと言われる安倍晋三内閣総理大臣の理由つけがまともなものではないので、これについて申します。

 

その1つは、アメリカの議会では、しょっちゅう議員らの演説のとき、起立して拍手が起こるとの点、あれは誰かが拍手しようではありませんかと言って起きるものではない点で、例えとして不適切ですが、そもそも何のため、誰に対して拍手しているのでしょう。

 

アメリカの警察や軍隊に向けてのものではありません。国民を代表して、政府等に向かう質問者に対して、敬意を表するものと聞いたことがあります。それと連邦議会、大統領の演説のときは、ヤジを飛ばしたり、歓声をあげることなんかないですね。感動のあまり?拍手する人はいるでしょうが、それをするのは、基本的に、演説が終わったときだと思います。

 

2つめ、すなわち、自分が予めそうしなさいと議員に依頼したものではないとの点、いくつかの報道では、内閣官房副長官が、自民党の国会族に話して、議場前列に席がある当選1.2回の議員に、この部分で起立して、拍手するよう働きかけたと出ています。

 

それはそれとして、仮に自党の議員が、『拍手しようではありませんかと』に感動して?自発的に立ち上がって拍手したのだとしたら、この組織の長って、本当に部下を指導監督していないと言わざるを得ません。繰り返し言いますが、国会での内閣総理大臣の所信表明演説は、議員内閣制のもと、国政を国会より託された内閣が、国民の代表が集まった国権の最高機関に赴いて、誓いと約束をする場です。

 

国会の意向に合致するゆえに拍手するのは、まあ良いでしょう。しかし内閣の長、行政府の長に促されて思わず起立したならば、いつかあるお方が仰っていたように、『立法府の長』って誰?ってことになります。大島理森衆議院議長が、議事進行を司る立場から注意したのは当然です。

これすらも、『何で注意されるのかわからない』と言われるのでしょうか。 議会は、国民の代表が集まった真剣神聖な場のはず、アレは、誰に対して敬意を表したのでしょうか。固いことを申せば、公務員として、日夜国民のために奉仕しているのは、自衛隊員らだけではありません。かつて安倍晋三内閣総理大臣は、国会の委員会で、自衛隊を『我が軍』と言いました。

 

こんなことを言うから、またするから、しばしば総統閣下とか、ヒトラーとか、揶揄されるのではと思います。医療、介護看護、教育、司法、行刑等等、どの分野の公務員も、公務は、国民のためなくてはならない重要な職責であります。私は、あのときの自民党議員、自衛隊員らに敬意を表したのだとは思いませんが、もしそうだとしたら、他の職種の方々は、なんて思われるでしょうか。

 

議員もまた公務員です。 安倍晋三内閣総理大臣は、自分が起立を求めたわけではない、スタンディングオーベーションは、自発的に起こるのだと言われました。この自分が直接やっていないとの弁明は、安倍晋三自民党総裁から、しばしばなされます。かつて国会の委員会で、選挙前には『TPP絶対反対!嘘つかない!ブレない自民党!』のポスターを掲げてTPP反対を公約にしていた点を指摘されるや、そのポスターは、自分が作ったものではないと述べました。

 

またこの国会でも、自民党の憲法改正草案について、数々の指摘を受け、その撤回等を求めれると、あれは前総裁時代に出来上がったもので、自分が作ったものではないと述べました。安倍晋三様、あなたは現在自民党の総裁でしょう。部下がやったことだから知らない、関係ないなんて、どこの社会で通用しますか? 昨日の衆議院の委員会で、こんな一幕がありました。巷では、今年12月の『下関会談』で、ロシアのプーチン大統領と会った安倍首相、北方領土のうち、歯舞諸島と色丹島の2島の返還を受けて、それを成果に、衆議院を解散するのではと言われています。私もそう思います。

 

それは元自民党衆議院議員鈴木宗男氏の動き、数年来のプーチン大統領の『引き分け』等の言辞から伺われます。北方領土の返還を受けて、ロシアとの平和条約の締結は、鳩山一郎氏時代から歴代の内閣が踏襲してきた国是でもあります。ところが昨日衆議院予算委員会において、民進党の元代表で、外務大臣も務めた前原誠司議員から、2島先行論を指摘された過程で、岸田文雄外務大臣は、『4島の日本等に帰属…』と当初は発言しました。

 

言うまでもなく、北方4島は、日本の固有の領土であり、日本の立場からすると、帰属に関しては、議論の余地はないのです。ただ、平和条約が締結されると言うことは、少なくともその段階では、帰属に関して、日露両国とも解決済みなわけです。それを『日本等』と言われたら、誰だって???であります。

 

あるいは2島づつ日露で分けることが今度の下関会談で決まり、これを前提に平和条約が締結されるのではと疑われても仕方ない答弁です。要するに、安倍政権は、2島返還を受けて、衆議院解散、総選挙のシナリオが決まっていると映るのです。 その後岸田外相は、『4島の帰属、日本への帰属。これを明らかにして、平和条約を締結する』と述べました。前原議員から、それでは2島先行論があるのではないかとの疑念をぶつけられた安倍晋三内閣総理大臣、答弁を引き取って、『北方領土は日本固有の領土。

 

これは不変の立場だ』として、明確に2島先行論を否定したものです。さて、もし、下関会談の結果、歯舞諸島と色丹島のみ返還されたとしたら、きっとこう言うでしょうね。『新しい判断』。

 

野党そして国民から嘘をついたと指弾されたら、きっとこう言うでしょうね。『私は、4島の日本等への帰属』は、言っていない‼︎と。