『集中』と『分散』、考えてみませんか?

2015年9月3日
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8月のある日、夕方の通勤ラッシュの時間帯に、東京と横浜を結ぶ東急東横線が、約4時間運転見合わせとなるアクシデントがありました。これは、信号システム等を集中管理する信号機器室の電気ブレーカーが、なんらかの原因により落ちたためと発表されています。この信号機器室は、東横線多摩川駅付近にあって、東横線と合わせ
多摩川駅を通る多摩川線、目黒線もストップする事態ともなって、利用客36万人に影響が出たと報じられています。

このところ首都圏では、信号系統等のトラブルで、長い時間、広範囲に渡って運転見合わせとなる交通機関のアクシデントが発生しています。先日も、横浜港花火大会の夜、その最寄り駅JR桜木町駅近くの信号トラブルで、長時間に渡って電車の運行ができないことがあったばかりです。このときも、京浜東北線のみならず、桜木町駅を通らない東海道線等も、長時間運転見合わせとなりました。

以前にも申したかもしれませんが、首都圏の鉄道は、各社相互乗り入れをしているところが多く、例えば東急東横線は、みなとみらい線、東京メトロ副都心線、西武池袋線もしくは東武東上線に繋がっているので、遅れや運休等各方面様々な路線に影響が避けられない仕組みです。ある路線が止まっているとき、振替輸送はされますが、ひとつには、待っていればやがて動くだろうと判断して駅周辺に残る人、また、その駅でタクシー待ちする人で混雑し、またひとつには、振替の案内は同じ方向に同じルートを勧めるため、振替輸送に関連する別の交通機関にも混雑が集中して、今度はこれらに遅れ等が、波及してしまうのです。

それにしても、集中管理がどんなものかわかりませんが、たったひとつのブレーカーが落ちただけで、これほど多くの影響が出るとはなんとも脆い感が否めません。故障が生じるのは仕方ないと思いますが、トラブルが起きたとき、これを収拾させる能力が必要でしょう。これも広く言えば危機管理となるのでしょうが、私は、よく『危険の分散』を申し上げます。

ちょっと話題は逸れるかもしれませんが、大切な書類は、原本を然るべき方法で保管する他、幾つかコピーを保存して別の場所、信頼できる家族等に預けて保管することをお勧めしています。裁判の結果が記されている書類だから大切に保管されるよう申し添えしたケースで、数年して『紛失した』と連絡される方がおられます。そんな方に限って、コピーを残さないなど、しっかり管理されていない実情が露わになる例です。

子どものころ、ハイキング、ちょっとした登山に参加させていただいた機会に、リーダーが言われるには、隊長、責任者、ベテラン等は、率先して参加者を連れて行くのではない、先頭は、ある程度経験がある者が務め、責任者ある者は最後尾に付く、そして列の真ん中にも、ある程度勝手を知った者を配列させると仰ったことがあります。お陰様で、こんな私でも、富士山に2回登頂することが叶いました。機械の場合は、そうはいかないのかもしれませんが、便利が嵩じて不便が起きたら元も子もありません。

この東急電鉄のアクシデントが、『集中管理』と関係することを聞き、考えを述べたくなりました。権力でも人口でも、一点に集中させることには、凄い違和感があります。よくトップダウン方式の会社が登場しますが、確かに直ぐになんでも決められるでしょうが、果たしてそれが良いことなのか、良し悪しの判断ができる仕組みなのか、ひとたび間違った方向に走り出したらもう止められないのは歴然としています。『集中』と『分散』、少し考えてみませんか?

 

またひとつ時代が終わりました。ーー寝台特急北斗星の運行終了に寄せて

2015年9月2日
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寝台特急『北斗星』が、8月23日朝上野駅に到着し、その全ての運行が終了しました。来年3月新青森新函館北斗間の北海道新幹線の開通により、青函トンネルの運航が困難になることが理由とされておりますが、鉄道ファンや、何かの儀式行事や思い出に乗車するケースはそんなにあるわけではなく、やはり採算が取れない事実は否定できません。国鉄分割民営化は、今は昔のことであり、JR各社も利益を上げなければなりません。

寝台特急北斗星は、1988年(昭和63年)3月に、青函トンネル開業に合わせて上野駅と札幌駅間に運転を開始したブルートレインです。運行当初は、個室寝台や豪華な食事等で注目を浴びました。当初3往復だった北斗星は、やがて2往復に、そして1往復になって、今年の3月に全ての定時運行を終了し、8月まで臨時列車として動いていたのでした。

北斗星が生まれた当時は、まだ東京駅からは、九州に向かうブルートレインがありました。私も小さい子どもを連れて、『あさかぜ』に、そして『北斗星』に乗車したことがあります。特に北斗星は、その名のとおり北への思いを運ぶ夢の青い車両の感がありました。ロビー室やシャワー室もあり、束の間の夏休みを、家族で堪能した記憶があるのです。

仕事を終えた北斗星のブルーの車体は、解体される予定でしたが、これの譲渡を希望する声があったりするので、今後の行き先は未定とのことです。姿を消したSL、蒸気機関車も、あちらこちらで保存運動が起こり、その後実際石炭を入れ、点火して運行する、つまり、生き返ったSLもあります。

前夜午後5時過ぎに上野駅を発車した北斗星1号は、私が札幌の裁判所に午前10時に出頭するために早朝羽田空港を出、新千歳空港駅を8時49分の『快速エアポート』で札幌駅に到着するころ、長旅を終えて、終着札幌駅に到着します。単に航空機でひとっ飛びにはない風情があり、思い出作りができるのではないでしょうか。私が初めて福岡市に赴任する際乗車した『あさかぜ1号博多行き』の車内でも、初めて会う人たちと、旅談義に花を咲かせたものでした。

ブルートレインは、長い道程を、なんの繋がりもなかった人たちをひとつにまとめて目的地に運ぶ人生の模型のようなものではないでしょうか。『袖振り合うも多生の縁』。同じ車両で一夜を共にし、また、酒盛りをした縁、この偶然を大事にしたいとずっと思っていました。別に名刺交換するわけではありませんし、再会を約束するものではありません。もちろん、何処かでその後会ったこともないでしょう。でも、ブルートレインでのひとときは、古き良き日本が凝縮されていたようにも思います。日本の線路から、ブルートレインが姿を消し、またひとつの時代が終わったと思うのです。

 

ある中学校が、いじめにより自殺した生徒が、転校したと在学生に説明したとの報道に寄せて。

2015年9月1日
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何とも不可解な対応が、ニュースになっています。今月発生した大阪府内の中学1年生2名が亡くなった事件は、多くの方が、痛ましい思いと怒りの念を持たれたかと思います。同世代の子どもが被害に遭った事件は、川崎市内で、夜年長の少年に暴行を受けて男子生徒が殺害された事件、また、岩手県内では、いじめにより男子生徒が自殺した悲しい出来事が報じられたばかりです。

先週になって、宮城県内で、昨年自殺した中学1年生が、実はいじめを受けていたこと、後日学校側も、いじめが影響した自殺であったことを確認していたことが明らかになりました。驚いたのは、亡くなったこの当時中年1年生の生徒ついて、学校側は、在学生に対して、「転校した」と説明していたことであります。教育委員会は、このように説明した理由を『遺族の意向』と述べました。

まず、ご遺族に対して、マスコミ等が、『本当かどうか』等の確認と称して、追いかけることが無いよう願いたいです。教育委員会は、そんな理由を挙げながら、『発覚』して事実関係を問い合わせして来た報道機関に対して『謝罪』しておりました。これはおかしい。怒りを覚えます。

本当に、遺族の意向であり、学校や教育委員会がそれを汲んで『転校した』と生徒らに説明したことが教育者として正しい判断だったとされるなら、それこそ遺族の意向に逆らってまで、今ころ事実を発表するのはおかしい。また、悪いことはしていない、間違っていないならば、どうして、しかも報道機関に対して、謝罪しなければならないのでしょう。

私は、『遺族の意向』が、『いじめにより亡くなったことを隠して、家庭の都合で、生徒は転校したと在学生には説明して欲しい』と申し出されたのだととしても、この学校側の判断は、教育者としては納得できません。確かにご遺族は、辛い、悲しい出来事があった街は離れたいでしょう。

真相を明らかにして将来いじめが無くなったとしても、亡くなった生徒は戻って来ません。ですが、このところ報道されるいじめに関する学校側の対応にやるせなさを感じているからか、私は、この中学校や教育委員会は、『遺族の意向』を渡りに船にしているのではなかったかとの疑念を抱きます。『遺族の意向』は、文字通りしなければならないのではなく、真摯にこの亡くなった生徒に対する『すまなかった』思いがあったのならば、何か違ったやり方があったのではないでしょうか。

この中学校には、命を守れなかったこの中学生のほかにも、このいじめに関わった生徒を含む多くの生徒がいます。学校は、この全ての生徒を教育し、命の大切さを教えなければならないでしょう。特に、いじめを行ったとされる生徒のうち数家庭には、『事実』そのものが伝えられていないとも報道されているのです。教育ってなんでしょう。学校や教育委員会は、どこを見て、何のために教育に携わっているのでしょう。

少し話は逸れますが、心にもない謝罪は、すぐにバレます。また、そんな『謝罪』をしても、そんな『謝罪』をした前提となった事実出来事は、また繰り返されます。もし、この学校や教育委員会が、『遺族の意向』に沿って生徒らに対して嘘を教えたことが間違いであり、この度の報道機関に対する『謝罪』は、心からの謝罪であるとされるなら、いい大人が揃いも揃って馬鹿面下げてマスコミ前で頭を下げるではなく、さっさと職を辞すべきだと考えます。


こんな報道に接するたび、個人で責任を取らない組織にいる方々の良心、職業倫理ってなんだろうと思うのです。

 

100分の1秒に刻まれた男たちの努力

2015年8月31日
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北京で行われている陸上世界選手権の男子100mで、ウサインボルト選手が、9.79秒で優勝しました。ボルト選手は、2013年の陸上世界選手権モスクワ大会に続いて連覇を達成しました。2位のジャスティンガトリン選手とは、0.01秒の僅差でありました。

この大会前には、7年前の北京オリンピックで、ボルト選手の金メダルをテレビで見ていたアメリカ合衆国のガトリン選手が、遅咲きのスプリンターとして、病気と闘う母親との愛情と約束とが合間って、ボルト選手に挑む姿に注目されてもいて、また、タイソンゲイ、アサファパウエルのアメリカとジャマイカの両ベテランら、決勝進出した全選手が夢とされた10秒を切る力があり、一瞬の勝負に目が離せないものとなりました。

結果は、さすがボルトと言ったところでしょうか。ガトリン選手も力を出し切ったでしょう。

レース後、母親と抱擁している姿が報道されていました。ガトリン選手の母親は、肩をだいていろいろ話掛けていました。孝行息子の労をねぎらい、讃えたのではないでしょうか。3位が同着となったように、本当に僅差、見応えのある決勝戦でした。

0.0.1秒、すなわち100分の1の差を考えたことはありますか?この差の中に、あれをすれば良かった、こうしたことが正解だった、あるいは失敗だった等、判断と行動が求めれれた結果が出るのです。

迷っている、考えている時間はありません。この100分の1ののために、どれくらいの努力をしているのでしょう。

時間を大切にとは、しばしば言われることです。この1分1秒のため、これを大切にする人間に、天は結果を与えるのでしょう。

また、努力した者に対しては、次のチャンスを与えてくれるはずです。わずか10秒の間に結果が出る勝負事、これに臨む男たちの表情は厳しく、また、カッコ良かったです。

見る方も、緊張感に溢れたレースの余韻に浸りつつ、かっこいい男たちに憧れた中年おじさんのひとりごとであります。

人間気分が良いときに、不規則発言が出るようです。

2015年8月30日
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「自民党総裁選を盛り上げることは非常に結構なことだと思う。

だけど極めて重大な安全保障関連法案が参議院に廻って来ている。日本人なら心はひとつなんですよ。やっぱりこの国を守りたい。国民を守りたい。国際情勢も変わって来ている。いろいろあって、この法案をどうするって話ですよ。まして衆議院でどさくさに紛れるような強行採決を行って、参議院ではそんなわけには行かんぞと思っているときに、総裁選や人事に至ることまで話が出ているのは極めて不快。参議院の重要法案の審議の邪魔になっている」。

概ねこんな内容だったと思います。コレ、誰の発言でしょうか?

答えは、安倍晋三内閣総理大臣の夏休みが明け、参議院平和安全法制特別委員会で、いわゆる安全保障関連法案を審議するに当たって、この委員会の委員長の職にある鴻池祥肇参議院議員が、記者団に対して述べたものです。言うまでもなく、鴻池委員長は、自由民主党所属の参議院議員です。

9月末に行われる自民党総裁選では、石破茂地方創生大臣は、早々と立候補しないことを示唆し、他に有力な対抗馬はなく、安倍晋三内閣総理大臣が、無投票当選することは確実と報じられております。安倍晋三自民党総裁は、気分良く束の間の夏休みを過ごされたでしょう。

そんな中で再開された参議院特別委員会委員長の発言でありました。『衆議院の優越』が憲法上規定されているとは言え、参議院は数に物を言わすことなく、『良識の府』として運営する姿勢を示されたのだと思います。

さて、早速再開された参議院特別委員会で、またしても安倍晋三内閣総理大臣は、ヤジを飛ばしたようです。民主党代表代行の蓮舫参議院議員が、防衛大臣に対して質問を準備している最中、「まあいいじゃん。そんなこと」と席からヤジを飛ばし、質問者から「どうでも良いとはどう言うことか!」と釈明を求められ、またしても審議が紛糾する様相を見せました。

以前にも申しましたが、ヤジは、国会議員の免責特権に含まれません。まして議院内閣制のもと、内閣総理大臣は、国会に出席を求められ、国民に向けて答弁しなければならない立場です。それが、こともあろうに内閣の最高責任者が、国民の代表機関に対してヤジを飛ばすなんて……。衆議院特別委員会でも、安倍晋三内閣総理大臣は、民主党の女性議員に対して「早く質問しろよ」とヤジを飛ばしました。ハッキリ言って品がないですね。女性蔑視の傾向があるのでは?と疑いたくもなります。

さて、このとき素早く対応したのが、鴻池委員長でした。安倍晋三内閣総理大臣に対し、「自席での発言は控えて欲しい」と注意したのです。すなわち、委員会で発言が許されのは、議員から受けた質問に対する答弁だけのはずだからです。要するに、ヤジは止めろと言うわけであります。安倍首相は、直ちに『発言』を取り消しました。

自由民主党の国会議員の方々が、安倍総裁に対して、何の異も唱えないことに忸怩たる思いでいた方は、自由民主党を支持するしないに関わりなく、いらっしゃったと思われます。

日頃ほとんど話題にならない参議院で、しかも自由民主党所属の委員長が、毅然とした態度をとられたことに、この暑いさなか、ほんの少し?の清涼剤になったように感じました。

頑張れ参議院!頑張れ鴻池委員長!