偉大なるイエスマンの今と昔

2015年7月6日
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今、都内を歩いていると、2020年東京オリンピックのバッジを着けている人を見かけます。その東京オリンピックで、新たに競技に加えられる種目に関して、誘致応援活動がなされています。スカッシュ、テコンドー、ボウリング等が対象とされています。

その中で、もし正式に競技種目に決定されたら、日本代表の選考に、ユニークなやり方をする種目があります。ボウリングがそれです。要するに年齢問わず、誰でも予選に参加できるのだそうです。このニュースを扱った番組のキャスターは、「ピンが倒れる前に、ボウラーが倒れるのでは?」と、全然心配した感じなく、軽口をたたいておりました。

選考過程には、いろいろご苦労されるでしょうが、まず、正式種目となるための努力してるなと感じました。ボウリングと言うスポーツに、国民が注目する契機ともなります。そして、現在ボウリングをやっている方々に、やる気を起こさせるでしょう。「東京オリンピック代表予選に出た!」と言うのは、ひとつの勲章となるかもしれません。

『誰でも参加』は、よく聞く言葉です。でも、なんか自分には遠い存在と思って引いてしまうものでもあります。確かにオリンピックは、「参加することに意義
がある」と言われたものです。私も、自分はやっていないのに、サッカーの4級審判員の資格取得したときは、嬉しかったものです。

そのボウリングを普及しようとする全日本ボウリング協会の代表に、懐かしい顔を見つけました。

元自由民主党幹事長武部勤氏です。武部氏と言えば、小泉純一郎元内閣総理大臣時代に、郵政民営化を率先忠実に行い、郵政選挙では、造反議員の選挙区に刺客を立て、ご自身仰っていた『偉大なるイエスマン』は、当時の流行語にもなりました。

郵政選挙である意味敵を作ってしまったこの方、ある選挙区の応援演説で、『最初はぐー、斎藤健』なんて絶叫したところ、与党議員から『最初はぐー、武部はパー』なんてからかわれてるように、上司に忠実なあまり、生き生きとした表情をなされない印象がありました。本当に、真面目な方なんだなと思いました。

その武部勤氏、政界を引退後、久しぶりにお姿を拝見しましたが、いい顔していましたね。ボウリングをされていたからか、若返ったように見えます。あれなら、まだまだピンを倒せるでしょう。

マイクを向けられて、ご自分の意見を述べておられました。

さて、今、与党議員は、どんな心身の状況で、日々生活されているのでしょうか。あるいは、ガス抜きになっていたかもしれない国会、委員会でのヤジも、どなたかのヤジがきっかけで、国民的関心が持たれ、なかなか発せない心理状態になったと思われます。安全保障法案の件から早く解放されたい!とお考えかと推察いたします。

ただ、これから解放されたは良いが、武部勤氏のように、全部やり遂げて、自ら政界から引退するではなく、志半ばで、先の法案に賛成した、それは決して『偉大なるイエスマン』なんかじゃないとして、選良により、『引退』『失業』に追い込まれるかもしれません。

そんな余計なお節介までしたくなる武部勤氏の清々しいお姿でありました。

マスコミによく登場する弁護士さんの回答が、常に正しいわけではないのですが。

2015年7月3日

誤判とは、裁判所が誤った判断をした場合を指すとされています。

裁判所は、法律の適用に関しては専門家だと言う点で、判断の前提になる事実認定を誤ったことが、私たちの世界では、『誤判』とされるのです。

 

もちろん、現在審議中の、安全保障法案が合憲なんて判断が出た場合には、裁判所が憲法の解釈を誤ったわけですから、法律専門家として、誤判以上の間違いを犯したことになりますが。 誤判は、再審無罪等が報じられることでも、刑事事件のイメージがあると思います。

 

司法修習生のとき、結構好きだったある裁判官が、事実認定は刑事事件こそ重要と仰っておりました。そのときは、有罪率が99%以上で、ほとんど被告人が自白している刑事事件は、ある裁判官なんて、起訴状と同じに判決を書くことが重要なんて言ってくらいで、私は、民事事件の事実認定が大変なのでは?と感じていたのです。

 

民事事件では、まず原告被告は、真っ向から違った事実の存在を言ってきます。証人本人尋問なんて、事実はひとつなのに、双方全然違うことを証言します。

これを依頼者から見れば、「嘘ばっか言って!」と頭に来るわけです。勿論、反対尋問の機会はありますが、最も良い反対尋問は、反対尋問をしないことだと先人が言われるごとく、理詰めで追い詰めようとしたら、反対に、相手方の主張を固めるだけになってしまうからです。

何処かで述べたと思いますが、裁判所は、それ自体が、また、存在する客観的証拠と照合して、不合理な弁明、証言は排斥します。そして、あるきっかけにより、『心証の雪崩現象』を引き起こして判決に至るのです。

 

さて、ある民事事件の判決で、裁判所の判決文に、41箇所間違いがあったと報じられております。主として判決文に添付する一覧表の数字とか、曜日の誤りで、判決内容には直結する誤りかどうかはわかりませんが、この誤記?多数の判決文を手にした当事者にとりましては、裁判そのものの信頼を失うのではないでしょうか。

 

この判決文を書いた裁判所は、判決を『訂正』するようです。 おそらくこの判決を書いた裁判官は、自分の意図したところと、判決文の表示が異なっていたのでしょう。

よく入札等で、1000円だと思って品物を買おうとしたとき、間違って100円と希望価額を書いしまったなんて事態はありますね。これは、表示上の錯誤と言われます。しかし、表示上の錯誤ではなく、完全な間違いをするケースもあります。

先日、テレビの法相談番組なんかによく出てくる⚪️⚪️女性弁護士と言われている方が、一緒に出演していた芸能人から、「無期懲役と言っても、15年くらいで出てくるんでしょう」と尋ねられて、これを肯定する回答をしたことが、ネット等で議論されています。

これは完全な誤りです。

 

細かい統計を見たわけではありませんが、この数年、裁判員裁判が始まり、有期懲役刑の最高が30年となりうるようになって、少なとも20年未満で、いわゆる仮釈放される受刑者はいないはずです。先の『30年』との均衡からか、30年以内で仮釈放された無期懲役囚がおられたならば、マスコミ挙って取り上げると思います。

「被害者の…」「遺族は…」 件の⚪️⚪️女性弁護士さんは、表示上の錯誤、すなわち、「言い間違えた」のではありません。本当に、無期懲役受刑者は、15年くらいで出てこれると思っていたのです。

 

しかし、ネット上のやりとりは、もっと私を驚かせました。ほとんどが、この弁護士さんを批判する投稿かと思いきや、そうではありません。 曰く、「30年でも早い」「無期懲役なんだから生涯入っているのは当たり前」「ここぞと言うときに『人権派』が出てくる」等等です。公共の電波から、間違った回答をした法律専門家をバッシングするのだろうと予想していたのですが、実に意外でした。

 

でも、無期懲役囚の方々は、飛んだとばっちりではないでしょうか。裁きを受けて受刑中ですが、また「そんな奴…」と非難される羽目になったのですから。

 

もっとも、受刑者の方々は、件の『法律番組』を見聞きすることはないですかね。

世の中の風潮として、テレビ番組等で発言する弁護士等法律専門家の見解が常に正しいと受け取る向きがあるのではないでしょうか。確かに、法律相談をしたいとき、『敷居が高い?』法律事務所をわざわざ訪ねずに済みますから便利ではあるでしょう。

そう言えば、当時弁護士だったマスコミによく登場する弁護士が、⚪️⚪️地区の番組で、ある刑事事件の弁護団を許せないなら所属弁護士会に懲戒申し立てしよう!と呼びかけたとかで、弁護士会には懲戒申立てが続出、当の弁護士本人も、所属弁護士会から、『弁護士として品位を欠く行動』だとされ、懲戒処分を受けております。

 

マスコミに露出する弁護士は、世間では応援され、弁護士仲間からは批判される例のようです。

おそらく「無期懲役囚は15年で仮釈放されて出れる」との見解を示した弁護士が、市民から、懲戒申立てをされることはないでしょう。

むしろ、所属弁護士会が、『無期懲役囚は、ここ数年30年未満で仮釈放されたケースはないのに、間違った情報を社会に広めた』として、不勉強ゆえにこの弁護士を懲戒処分にしたら、社会世間の皆様は、どうされるか興味があります。(極めて稀有な例ですが、)30年経ったら出れると説明(事実なのですが、)する弁護士会がおかしいなんてご意見が寄せられるような気がいたします。

事は、裁判官が、判決を訂正して済まされるようなケースとは異なった結果となると思われるのです。

 

伝家の宝刀は、抜かないほうがよいと思います。

2015年7月2日

私は、週刊誌は読みません。

 

ただ、なんとはなしに、通勤電車の吊り広告には目が行きます。

そこで週刊誌の案内を見ることがあります。ほとんど記事の見出しだけなのでしょうが、細かく読みいることはあります。

ある週刊誌に掲載されているらしいのですが、関西方面の市議会議員の私行が出ていました。

昨年あたり、地方議員の行いがいろい紙面を賑わしたことがあり、国民の関心は、あるのかもしれません。なんでもこの市議、交際中の女性に暴力を振ったとかで、傷害罪での被害届が出されたそうです。

人に手を出して怪我を負わせたなら、公人でなくてもいけないですね。

ただ、週刊誌は、公共の利害に関わることであって、専ら公益を図るために、この市議の『事件』を報じたのでしょうか。それはたぶん違うでしょう。続けてこの市議は、『被害者』の女性との間に子を設け、認知していると書かれております。

子を認知したと言うことは、この市議には妻がおり、要するに、件の女性とは不倫関係だったと言うことであります。

なんでもこの女性、市議の辞職を求める陳情書を市議会に提すたそうです。

 

不倫したかどうかは、確かに市民の代表としての資質に関わることことかもしれません。

でもねえ。認知したと言うことは、当然ながら子の父親であることを公けにしたわけです。この市議が養育費を支払っているかどうか知りませんが、母親であるこの女性とは、スナックのママさんらと一緒のときに、暴力事件が起きたと言うのですから、この女性や子どもから逃げていたわけではなく、その後も、なんらかの『関係』が続いていたことになるでしょう。

 

暴力はいけません。

 

だけどこの女性、『こんなこと』公けにして、もし、市議が失職して、養育費なりの支払いができなくなったら困らないのでしょうか。

 

それと、これも弁護士福本悟からすると、年中行事の感がある『妻から、夫の不倫相手に対する慰謝料請求』の対象になるとは、お考えにはならなかったのでしょうか。

 

不倫とは、要するに肉体関係があること、そんな事実を市議会に言ってよいのでしょうか。

きさらぎ法律事務所にお越しになる方に、よく申し上げる言葉として『伝家の宝刀は抜くな!』があります。

 

抜くぞ抜くぞと見せかけている間が、『こちらが上』なんです。これも反対の立場に置かれた方からのご相談でも申します。

『いついつまでに、これこれをしろ。やらないときは、然るべき手続を執る』これもよくあります。

 

そんなとき、相手の要求を受けられないとき、また、よく考えれば、そんな要求なんて放っておいて困らないときは、無視しましょうと申し上げます。

先方は、『やりたくない』然るべき手段、つまり裁判その他をしなければならなくなります。

 

本当に、そんな手続を堂々と出来るならば、いちいちそんな『予告』をするまでもなく、やってしまえばよいのす。

 

刀は抜けない事情があるわけです。

 

さて、この女性、刀を抜いてしまいました。まず、この市議とは、以前のような『関係』ではいられないでしょう。

市議の奥さんから 法的措置を執られるかもしれません。それと、面白おかしくマスコミや追われ、世間からはどんな目で見られるでしょう。

 

いつまでも、この子のお父さんお母さんなのです。大丈夫でしょうか。

ある裁判官が仰っていました。不倫はどっちもどっち、フィフティフィフティ。法律的には結論が出ても、社会的にはいずれかだけが責めを負うと言うのはバランスを欠くのだそうです。

 

もちろん私は、この事件、どちらの肩を持つものではありません。『不倫は悪い』のは当たり前、なんで『こんなこと』記事にするんですかねと言うことに尽きるのです。

勝ち続けること、注目され続けることのプレッシャーとは

2015年7月1日
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『神奈川を制する者は全国を制する。』これ、なんのことかわかりますか。

 

決して私が何かのことで、そんなふうに思っていると言うわけではありませんので、誤解なきようお願いします。

 

これは、全国高校野球甲子園大会を目ざしたある高校球児が言った言葉です。

 

隣県神奈川県は、甲子園を目指す高等学校の予選参加数が長年全国一で、200校を超える年度もありました。

その神奈川県の予選の対戦相手を決める抽選会が、先日行われました。

この神奈川県の高等野球で、一際名を轟かせたのは『横浜高校』であり、その監督渡辺元智氏であることは、高校野球通の間では常識の域ではないでしょうか?

渡辺監督と言えば、現在ソフトバンクホークスに在籍する松坂大輔投手の恩師しても知られており、最近では、横浜DeNAベイスターズの4番バッター筒香嘉智選手の才能を見出したことでも有名です。

この渡辺監督、70歳となった今年の夏の大会を最後に、勇退すると発表されました。 横浜高校と言えば、春夏通算甲子園で5回の優勝をした強豪校と言われています。ただ、神奈川県の予選は厳しく、トーナメントで最低7試合勝ち続けなければなりません。

しかも、各校とも『打倒横校!』を合言葉に挑んできますから、横校高校と雖も甲子園の切符をいつも手にしているわけではありません。横校高校対東海大相模などは、いつも球場が満員札止めとなるのです。

 

渡辺監督は、長年身体との闘いを強いられておりました。常にストレスが溜まって十二指腸潰瘍、胃潰瘍は持病となり、不整脈から心房細動を起こし、やがて脳梗塞で倒れて騙し騙しながら監督をやってきたとインタビューに答えておられました。

 

勝たなければならない、皆に注目されているプレッシャーは、想像を超えるものがあったと思います。

あるとき突然出奔し、北海道のホテルで学校宛辞表を書いて送ったこともあったそうです。

何も知らない人間は、強くていいな、有名選手に囲まれ慕われいいななんて勝手に思うでしょう。そうでなくても、横浜高校に期待し、見たい!と思う人がたくさんいると言うことは、監督にはプレッシャーになるでしょう。

 

よく、頂点を極めた後が難しいといわれますが、これだけ長くそのようなポジションにいることの苦労は、並大抵なものではないと思います。

渡辺監督さん、お疲れ様でした。そして「ありがとう」を言いたいです。 横浜高校の優勝、また輩出する名選手の情報より、私は、負けたときの渡辺監督の姿が印象に残っています。

特に、愛甲猛投手が2年生の夏、決勝で『まさか』公立の横浜商業高校に負けたときです。

 

横浜商業は、60何年ぶりかの甲子園の扉が開いたそのとき、渡辺監督は、苦労されたであろう横浜商業高校の監督さんに歩み寄り、おめでとうを言った後、「私も一緒に甲子園に行きますよ!」と握手を求めれれたのでした。

そして、翌年横浜高校は神奈川を制し、そして愛甲猛投手のもと、夏の甲子園、全国を初めて制したのでした。

 

高校野球で勝ち続ける学校は全国たった一校、渡辺元智監督が、この夏その一校になる確立はどれくらいかわかりません。

 

でも、『最後の一校』にならなかった場合の渡辺監督の弁を聞きて見たい!と思うのは、神奈川県否全国の高校野球ファンから叱られるでしょうね。どうぞ身体を厭いながら、渡辺元智氏らしい有終を飾ってください。

 

NHK大河ドラマ『花燃ゆ』の池田屋のシーンから

2015年6月30日
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福島県会津地方では、未だ長州すなわち山口県に対して、敵対心があると聞きます。

 

実際会津を歩き、地元の歴史愛好家から、そんな事実を聞かされました。

会津は、長州によって悲哀を味わされたと言う思いです。 会津と言えば戊辰戦争、特に白虎隊の悲劇で知られています。

会津の人は、会津こそ京都守護職として朝廷を守った、松平容保は御宸翰を賜った、それが御所に発砲した長州から朝敵扱いされた、とても許せぬと言うわけです。

 

会津が、幕末維新期の悲劇の象徴となってしまったことについては、歴史家等が散々論じていて、歴史好きな私なりの認識はあるのですが、今日は、それを言いたいのではありません。

これからお話することは、あるいはこの『ひとりごと』に最も多く登場する方と「実は仲良しなんだ!」と思われるかしれません。

それもまた一興です。

会津が、長州その他の新政府、官軍から恨まれた原因のひとつに、新撰組を抱えていたことがあると言われます。新撰組と言えば池田屋です。

 

東京都下に住む私は、周辺には、新撰組と縁がある施設等あって、知人には、新撰組ファンが少なからずおります。

 

薩長による新政府ですから、池田屋で落命した当時の尊皇攘夷派志士が、明治になって殉難七士とされたように、新撰組が一躍勇名を轟かせた池田屋事件がなければ、明治維新は、1年早く訪れたとも言われます。

これまで池田屋事件は、新撰組に捕らわれた古高俊太郎の自白により、長州を中心とする尊皇攘夷派により、祇園祭の前の風が強い夜に市中に火を放ち、公武合体派の中川宮を幽閉、守護職松平容保を殺害、そして孝明天皇を長州にお連れするとの計画があり、その打ち合わせが、池田屋か四国屋で行われるとのことだったとされておりました。

しかし、近時これに異を唱える向きがあるようです。私もそのひとりであります。上記志士らの企みなるものは、古高俊太郎の自白しかありません。

これは、土方歳三の苛烈な拷問によるものであることは史実として明らかで、自白したとされる古高俊太郎は、すぐに別の件で処刑されています。戦後憲法のもと、刑事訴訟法を学んだ私からすると、「拷問による自白は証拠とならない」「自白のみでは有罪とされない」のは当たり前であります。

要するに、新撰組土方歳三がそう言っているだけなのかもしれません、後の木戸孝允、このとき池田屋の会合に行く予定だった桂小五郎は、この当時は、古高俊太郎の救出に関して話し合いかが持たれていたと述懐しています。

 

この後、禁門の変に繋がることからしても、長州その他のお歴々が、そんな計画を実行できる用意があったのか疑問です。 この池田屋事件での『殉難者』のひとり吉田稔麿は、松下村塾四天王のひとりであり、殉難七士の中で、意外にも?唯一の長州出身者です。こんなところからも、私は、新撰組そして会津側から史実として定着している古高俊太郎の自白なるものの信憑性に、疑いを持った理由のひとつです。

そして、この吉田稔麿の最期についてもまた、いろいろな説が出ているのです。

殉難と言われていることからして、当日池田屋で闘死したとの説、池田屋の急を知らせに長州藩邸前にたどり着いたが追っ手が来て自決したとの説、池田屋の変を聞いて、長州藩邸から池田屋に向かったが、新撰組に挑んで斬殺されたとの説いろいろです。

ところで、低視聴率で喘ぐNHK大河ドラマ『花燃ゆ』は、先日池田屋の場面がありました。

吉田松陰先生(私は、つい、『松陰先生』と言ってしまいますので、お聞き苦しい方は、何卒ご容赦願います)の門下生四天王のひとり吉田稔麿の最期シーンです。

ドラマでは、吉田稔麿は、松陰先生が野山獄に繋がれるとき、先生に背を向けたことを生涯負い目に感じていて、また、友を大切にする教えを終生大事に思っていたところ、若い頃、松陰先生と日本各地を回った宮部鼎蔵より、友と言われて感激し、池田屋の変を知って、彼らを捨て置けないと感じ、桂小五郎の制止を振り切って、池田屋に向かう途中、会津藩兵に囲まれて、最期を遂げたというものでありました。

 

このとき会津藩は、長州藩は、御所に火をつけて帝を誘拐するかに言いました。吉田稔麿は、「長州男児は、そんな卑怯なことはしない!」言い、多勢に無勢、斬り死したのです。これは新説かもしれません。会津関係者からすると、許し難い脚本かもしれません、古高俊太郎が自白したと言う内容は事実ではない、武士になりたい!地位固めをしたかった新撰組の陰謀だとの立場に立つからです。

そして、新撰組を抱えていたのは会津藩です。 歴史に誤魔化しは認められないとは、つとに言われることです。大河ドラマの世界だから良いではないかと言ってしまえばそれはそうでしょう。

私からすると、吉田稔麿のあのシーンは、全くの脚色だとは言えないのです。しかし、大河ドラマ『花燃ゆ』では、もっと酷い歴史の虚構がありましたから。

 

まあ、大目に見てよと言いたいところではあります。 幕府が、孝明天皇に対して約束した攘夷決行日である5月10日に、実際攘夷を決行したのは長州藩だけでした。

 

ある意味、異国大嫌いの孝明天皇の御意を実行に移した点では、『長州こそもともと真の勤王』と評価されるのでしょうか。

それはそれとして、長州藩が、関門海峡を通過する異国船に発砲したわけですかが、『花燃ゆ』では、『フランス船』になっていました。

これこそ明らかに事実に反します。

 

長州藩が砲撃を加えた最初の異国船は、無抵抗のアメリカ商船です。どこの国籍かどうでもいいんじゃないと言えなくはないかもしれません。

ただ、これが放映されたとき、関門海峡のある山口4区を選挙区とする安倍晋三内閣総理大臣は、折から渡米中で、オバマ大統領に対して日米同盟の重要性を言い、また、アメリカ合衆国国民を前にして、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障法案を、早期に成立させると約束しておりました。

 

そんなとき、大河ドラマで、長州藩が、アメリカに砲撃を加えたなんで、まずかったのでは?と考えてしまいます。

 

この歴史の捏造?に比べれば、所詮大河ドラマの中のこと、会津関係者の皆様、吉田稔麿の死に関するあの放映は、何卒寛大にと願わずにはいられません。それから、なんで私が、どなたかと同じ、吉田松陰先生を尊敬しているのか、心ある?友人は、とても理解できないと言います。

 

そんなことを気にする方は、私は、今国民の圧倒的多数の支持を受けている団体の長として、戦後70年を抜本的に変えてしまおうといろいろやっておられる方とは、『平和』『立憲主義』『人間の尊厳と民主主義』等に関して、全然異なる考えであると仰っているわけであります。

 

さて、そのことの真偽は、ひとりごとの読者のご判断に委ねます。