博多祇園山笠のお話です。

2010年7月4日
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きさらぎ法律事務所の『よかとこ九州』をご覧くださり、有難うございます。

7月になりました。 もう気持ちは、福岡です。山笠です。

前回に引続き、『福岡を心から愛する一人の東京人』から、山笠について、しゃべらせていただきます。

7月1日、『飾り山』が公開されます。

山笠は、博多の行事ですが、飾り山は、天神地区に3つ,ホテルニューオータニ前や、ヤフードーム前にも出現します(『福岡』と『博多』の話は、『歴史のたられば 九州編1』をご覧下さい)。

それと、7月1日夕方、流れの当番町による『お汐井取り』が行なわれます。

これは、箱崎浜まででかけ、この神水(砂)で、流れの山を清め、山笠がスターとします。

山が動くのは、7月10日以降です。もっとも、この間も、子供山笠の流舁,すなわち、各流れに属する将来の山の担い手たちが、伝統行事を引継ぐ意味も込めて、各町内を廻ることがあります。子供山笠には、少女も参加できるそうです。

7月10日から12日までは、町内を回る流舁,あるいは他流舁,すなわち、他の町内への表敬訪問の行事が行なわれ、気持ちを高めていきます。

7月12日は、『追い山馴し』です。

これは、『追い山』のリハーサルで、午後3時59分に、櫛田神社を、1番山が出発し、追い山より約1km短縮したコースを走ります。

7月13日は、『集団山みせ』です。

『山』が、博多から、唯一『福岡』に入る行事で、福岡市役所まで、市内中心の明治通り(昔の貫線)を走り抜けます。

この日だけは、舁き山に、福岡の名士が、台上がりできることになっています。

ちなみに、今年は、天神に入った山は、Uターンして、川端の博多リバレインまで戻る計画が発表されています。従って、『往復』の楽しみがあるわけです。

7月15日午前4時59分、櫛田神社に鳴り響く太鼓ととともに、今年も1番山が櫛田入りし、いよいよクライマックス『追い山』が行なわれます。

博多祇園山笠のクライマックスは、『追い山』です。

東京に戻ってからも、何回も、見物に行きました。この話を聞いた東京の人間が、「全く理解できない」と言いました。

つまり、バカだというのです。

その理由は、

  1. なんで 朝4時59分から始まるのか
  2. なんで あんな重いもの(1トンはある)を担ぐのか
  3. なんで あんなものを担いで走るのか(5kはある)
  4. なんで そうまでして見物したいのか

『59分』に、7つの流れの中の1番山がスタートするのは、櫛田神社の清道旗を廻ったところで山を止め、『祝いめでた』を唄うことが許されているからです。

そして、『追い越し禁止』のルールから、各流れは、以後5分ごとに出発します。全コースを30分少々で走り抜けます。

なぜ、『午前5時』なのか、もともと山笠は、旧暦では、満月の夜明けに最高潮を迎えるものとして運用されていたところ、これが新暦になって、太陽が、東の空を明るくする時間が、この刻なのだということのようです。

山笠が『重い』こと,『走る』ことは、山笠の起源・変遷で、お話しました。

山笠には、『しきたり』というか、『こだわり』があります。

『山笠期間中は、きゅうりを食べない』

これは、きゅうりの切り口が、櫛田神社の祇園宮の神紋と似ているからと言われます。博多小学校の給食にも、出されない徹底ぶりです。

『山笠期間中は、夫婦は居室を共にしない』

これは、山笠は、女人禁制の男の行事だからというものですが、実態(?)は、調べようがないですね。

ちなみに、『直会(なおらい)』,すなわち、各流れの詰め所には、女性は入れないしきたりになっていて、かつては『不浄の者立入るべからず』と書かれた札が立てられておりました。私も、これは現認しました。

『不浄の者』とは、女性を指すとして、これは各方向から反対を受け、数年前より、撤廃されたと聞いておりますが。

『山笠の正装である『法被』『てのごい』は、譲渡禁止で、質入れも、オークションにかけることもできない』

反対に、法被は、背広と同等の正装ですから、山笠期間中は、法被を羽織って出勤する姿は、よく見掛けますし、結婚式にも、着用することが許されるそうです。

これは、歴史と伝統,そして、山笠が、階級社会であることを示すものです。

この話は、次号にいたします。

『山を担ぐ』,『山を舁く』とき、『ワッショイ』ではなく、『オイサ』と声を出す』

これは、先にご説明した『お汐井取り』に出掛けるとき、『オッシォイ、オッショイ』と、皆で元気よく声を掛け合い、この『オッショイ』が、重い山を担いで走るとき、苦しくなって、次第に、『オイッサ,ホイッサ』に変わって、今では『オイサ』と短くなったということのようです。

福岡をホームタウンとするJリーグチーム『アビスパ福岡』のサポーターも、『オイサ』と声掛けして、選手に勢いをつけています。

それから、福岡で司法修習時代、警察署で聞いた話があります。

それは、『山笠期間中は、犯罪が減り、暴力団も、抗争は、ご法度』だというのです。

真偽は不明ですし、常にそうありたいものです。ただ、山笠で、『それどころではない』,皆博多の人は、山のぼせなのだということなのでしょう。

どうですか?少しは、気持ちが高まってまいりましたでしょうか。のぼせてきましたか。

次号では、『追い山』の見どころや、『山』のルールなどについて、お話ししたいと思います。