NHK朝の連続ドラマ『マッサン』は、5週連続で視聴率が20%台をキープしているようです。 朝ドラマッサンについては、これまで何回か関連する事柄を書きました。それでも第16週で北海道に突入してからもなお、人気は衰えることがありません。 事実が全て朝ドラのようだったとは言えないのかもしれませんが、この魅力的な人々、感動のシーンは、なお語りたくなります。 第16週『人間到る処青山あり』は、3年前余市の鰊御殿の殿様森野熊虎氏より、人間出自がどうだとか、前の仕事がどうだとかなーんも関係ない。 この土地は、志を持った人間が、一からやり遂げ、天下を取ることができる場所だと言われて背中を押されてウイスキー造りのために余市に来たマッサンが、今度は、苦境に陥りながらもなお子孫のため、ここに故郷を残してやりたいと願う熊虎さんの思いを引き継ぐと言う話でありました。 確かに世の中は広い、骨を埋める場所くらいどこにでもある、大望を成し遂げるためには、どこにでも行って活躍するべきだとは言えましょう。 マッサンが最初勤めた大阪でもそうでしたが、マッサンと妻エリーの周りには、苦境に陥ったマッサンを救う人たちが集い、今度はマッサンとエリーが、その人たちと交わってサポートし、一緒に事を成し遂げることになっていくのです。 これは、マッサンエリーの人柄と言えばそれまでですが、良い人の周りには人が集まる、志を持った人間の周りにはこれを受け継ぐ者が出るのは、歴史が示しているように思えます。 朝ドラマッサンでは、後のサントリー創業者となる鳥居信次郎氏(ドラマでは鴨井の大将)は、技術者であって経営者になりきれないマッサンを、厳しくそして優しく北海道に送り出しました。あの退職金のシーンは見事でしたね。マッサンのモデル竹鶴政孝氏は、生涯鳥居氏への恩義を忘れず、サントリーと張り合うことをしなかったそうです。 今、NHK大河ドラマ『花燃ゆ』では、主人公の兄松蔭吉田寅次郎先生(吉田松陰を尊敬する私は、自然と『松陰先生』と出てしまいます)が、その志のためには死をも厭わない生き方が描かれております。松蔭先生の志と教えは、松下村塾の弟子達が受け継ぎました。弟子たちは、離れなかったのです。少し話題が逸れました。松陰先生の話になると、…。悪い癖ですね。 マッサンこと竹鶴政孝氏の偉いところは、彼はオーナーにはならなかったことだと思っています。 朝ドラでもそうでしたが、マッサンは、ニッカウヰスキーの株主ではありません。頑なまでに本物のウイスキーを造る、ただそれだけに集約された人生だったと言われます。現在ニッカウヰスキーは、アサヒグループホールディングス株式会社が、100%株式を保有しておりますが、戦後間もない時期より過半数の株式は、朝日麦酒株式会社が保有しながらも、朝日ビール側は、一切竹鶴氏のやり方に、口出ししなかったと言われます。 これもまた、竹鶴政孝氏の人柄でしょう。 ある国では、ナッツリターン事件の余波があるようですが、マッサンが夢を託した会社は、財閥世襲ではないことはもちろん、綿々とマッサンの志を継ぎ、決して利益、商売ではない姿勢で、本物の美味しさ素晴らしさを世に継承し続けているのだと思います。 あまり大きな声では言えませんが、実は私は、高校生のころは、深夜の勉強の眠気覚ましと称して、外国航路の通信士だった父が買って来たスコッチウイスキーを毎晩――少しずつですよ!――飲んでいました。 それが福岡に赴任後は、すっかり焼酎党になって、ウイスキーは飲まなくなりました。マッサンを見て、『故郷』を思い出した感があります。 余市には行ったことはありますが、そんなわけでわざわざニッカウヰスキー株式会社の蒸留所には立ち寄ったことはありません。マッサンに取り憑かれたようです。今度は、仕事とは全く関係なく小樽そして余市に行って、ニッカウヰスキー工場を訪ねるつもりです。 続報?をお待ちください。