アメリカメジャーリーグ、マーリンズのイチロー選手が、公式戦に投手として登板しました。1イニングを投げ、2安打1失点ながら、最速143キロを記録したそうです。イチロー選手、プロ選手になった後は、日本のオールスター戦で、投手を務めたことがあるのですが、それ以来、メジャーで、野手登録の日本選手が投手として出場したのは初めてとのことです。
野球界では少年時代、エースで4番が多いですね。イチロー選手もそうです。プロとなった後に、野手一筋となる方、あるいは、それまで野手の経験がない方が、投手から転向するケースもあります。プロの投手になった後も、バッティングセンス溢れる投手、ときにホームランを放つ投手がおりますね。
イチロー選手は、今季は過去最低の成績のようで、メジャーでは、9月ともなるとレギュラーシーズンで結果を残せない選手は、出場機会が減る例ですが、マーリンズの監督は、あえて投手イチローを起用したのは、「将来殿堂入りする選手。このような機会を得た彼の努力を若手に実感して欲しかった」と明かしたたのことです。球団オーナーも、皆がイチローを愛してる、レジェンドであり、看板選手であり、来季もイチローと契約し、その活躍を期待すると述べた由です。
41歳にして、メジャーで初めて投手として登板するだけでも凄いのに、彼に対する高評価はさらに凄いと言うか、嬉しいですね。年輪を重ねるごとに、人から評価される人間って素晴らしいと思います。でも、日本球界では、若手も頑張っています。日本ハムファイターズの大谷翔平選手です。
大谷翔平選手は、高校卒業後は、メジャー行きを決めていたと言われますが、これを口説いて日本球界に留めたのは、日本ハムの栗山監督と言われます。その入団の条件は、野手としても投手としても出場すると言うことでした。出場するということは、野手と投手の練習を継続すると言うことであり、本人の努力もさることながら、球団全員の理解協力がなければ実現は困難だと思われます。栗山監督は、名将の域に達していると言われますが、指導者からではなく、解説者から監督になった異色の経歴が示すように、有る意味斬新な、有る意味突拍子もない決断と約束をしたのは、この栗山氏所以かもしれません。
大谷翔平選手は、今年は、投手部門で、勝率、勝ち数、防御率のタイトルを総ナメして、投手三冠を獲得しました。打撃のほうは、昨年よりは成績を残せなかったと仰るものの、投手としてローテーションを守りながら、出場し続けているのです。大谷選手の努力も、凄いですね。
投手OBからは、バットを置いて、投手に専念してもらいたい、野手OBからは、投手は辞めて、希代のバッティングセンスを活かして欲しいと賛辞ややっかみが聞かれます。大谷選手も、栗山監督との出会いに、運命を感じたかもしれません。これを続ける能力精神力には感嘆します。『二刀流』と言う言葉は、流行語大賞にもノミネートされました。
この『二刀流』と言う言葉、もともとは、両手に刀または剣を持って攻守を行う剣術を言いますが、太平洋戦争後、平成の世になるまで、しばらく剣道の大会から除外されていたようで、世俗的には、『二刀流』は、別の意味に用いられることがあったのです。すなわち、武器を両方に持ち、異なる手段により事にあたる、あるいは、同時にふたつのことを行う意味に使われるようになったのです。
私は酒呑みですが、知人の飲み友達に、饅頭や団子を好む人がおります。
彼は、よく二刀流と言われたそうです。きさらぎ法律事務所は、新宿1丁目にありますが、伊勢丹デパートを挟む新宿2丁目は、よく二刀流の方々が集まると、ある雑誌に記事に出ていたことがあります。
それが大谷翔平選手の登場により、ふたつの職業やスポーツを兼ねると言う意味にも使われるようになりました。イチロー選手がそのはしりだとすると、それを現実のものとしたのは、若い大谷選手なのかもしれません。これから『二刀流』は、また別の意味に使われることがあるかもしれませんが、イチロー選手、そして大谷選手の活躍努力と足跡に、敬意を表したいと思います。