自然界と人間の共存は、難しい問題です。

2015年10月26日
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札幌市内にある丸山動物園で、今年5月から、絶滅危惧種であるコツメカワウソ、マレーグマ、グラントシマウマ、マサイキリンが相次いで死亡したとテレビ番組等で報じられています。

 

カワウソは、水槽の蛇口に足を吸い込まれた窒息死、メスのマレーグマは、『結婚』を予定して同居を始めたオスのマレーグマに噛み付かれ押し潰された様子が、動画にもアップされて衝撃を受けた方が多いと思います。シマウマは、新規オープンのゾーンに移送中にストレスで、キリンは、食事が喉に詰まったらしく、関係者は大きな衝撃を受けた由です。

 

丸山動物園は、飼育に問題はなかったかの問いに対し、「入園者を増やすのは二の次で、動物の安全と本当にお客様に楽しんでもらえるような動物園にしなければならない」と答えたようです。

このやりとりを見たテレビコメンテーターは、閉鎖性の強い場所で生活させていることがストレスを与えるのではないか。飼育の方法だけを問題にするのではなく、見に行く人間の問題と捉えなければならないと感想を述べていました。要するに、お客様に見せよう、客もあれこれ期待する姿勢が強くなかったかの警鐘です。

 

確かに、動物は、一部の家庭内ペットとなって行きて行く種は別として、もともと自然の中で生きていたのです。それが捕獲され、知らない国に来て、狭い檻の中で芸をさせられて、見せ物になって生きて行くのは、それ自体大変な生活の変化でしょう。

 

動物が、ストレスを感じないわけがありません。まして、絶滅危惧種指定されるような動物は、自然界でも、様々な事情で生きて行くことは厳しいです。 日本にも、絶滅危惧種は生息しています。また、もう、あの地域には、あの品種は絶滅したと宣言された動物も数多くあります。身近なところでは、もう都会では、自然の中でホタルを見ることは、ほとんどないですね。ところで、意外な方向?から、クマらしき動物の目撃情報が寄せられています。

 

今年の9月以降、福岡県と佐賀県との境に位置する背振山で、体調1mくらいのクマとおぼしき動物を見たとの情報が、相次いで地元警察に寄せられています。くまモンは熊本県のシンボルキャラクターで、実在はしませんが、九州にクマが居ても不思議ではないと、東京の人間なら思ってしまいそうです。

 

ですが九州では1960年以降、クマの目撃情報はなく、福岡市動物園によると、九州のクマは、30年前に絶滅したとされていたのだそうです。九州は、本土と離れておりますから、一旦絶滅したのに『復活』したとすると、他から意図的に運んでこない限り、「なぜだ?」となるわけです。 10月に入って立て続けに目撃されたクマ?は、立っていた、走って逃げた等報告されています。

 

都会の人間ならともかく、地元で生活する人や、登山のベテランから齎された情報ですから、全く無視することはできないでしょう。

専門家は、イノシシと見間違えた可能性もあると言っておりますが、周辺自治体、警察署では、登山道に看板を設置するなど、注意を呼び掛けているとのことであります。 以前、この『ひとりごと』で、人口島である長崎空港に、タヌキの大群が現れた不思議を述べましたが、クマを山中まで運んで放すことは極めて考えにくいでしょう。また、放たれた?クマは、生きて行くことができるのでしょうか?

 

ちょっと気になるのは、福岡県の隣山口県下関市では、数年前から度々クマが出没していることです。また、今年の5月には、福岡市内で、相次いでサルが現れ、大騒ぎになりました。 この福岡市内のサル、市内中心部の天神や、鉄道の玄関口博多駅近くまで出没したのも驚きですが、市内中央区にある福岡地方検察庁の敷地内に『侵入』したが、その場では、『逮捕』されなかったと言う報道には、笑ってしまいました。私も32年前、数ヶ月通った庁舎です。そして、福岡市早良区内では、現にサルに噛まれた、ひっかかれたとの被害が出てもいたのです。

 

背振山は、福岡県と佐賀県の県境で、福岡市内から上る場合、みつせ鶏で有名な三瀬峠を目指します。三瀬峠の下、つまり福岡県側は、福岡市早良区です。主として早良区内で被害を及ぼしているサルは、背振山から三瀬峠を下って福岡市内に入って来たのではなかったかと、今回の『クマ騒動』を知り、考えてしまいました。 実際のところわかりません。

 

そもそもクマが居るのでしょうか。北海道は、クマの宝庫!と言われ、毎年被害が起きていて、決して他人事だとしてはならないと思います。ただ、丸山動物園内で飼われていた絶滅危惧種のクマが亡くなり、時を同じくして、絶滅したと信じられていた『九州のクマ』の存在が取り沙汰され、不思議な思いがいたします。動物は、自然界で生活するのがいちばんでしょう。

 

もちろん、人間に見てもらう、特に子どもたちの教育のため、珍しい動物を捕獲して飼育することが絶対にダメだとは言いにくいでしょう。捕獲までいかなくても、乱開発等により、自然界の営みが崩れると、イノシシやサルそしてクマが、街中まで現れることが避けられません。北海道の檻の中のクマ、九州の絶滅したはずのクマ情報、自然界と人間の在り方について、いろいろ考えさせられるニュースです。