『ドーハの悲劇』を知っていますか?

2015年11月15日
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サッカー日本代表は、岡田武史監督率いた現在アビスパ福岡監督を務める井原正巳主将のとき、ワールドカップフランス大会に出場して以来、日韓、ドイツ、南アフリカ、ブラジルと連続してワールドカップに出場しています。


この間ヨーロッパ等世界で活躍する日本人選手は増え、国内のJリーグ各チームは育成組織を造り、サッカー人口は増加してります。でも、ワールドカップに初めて出場するには何年かかったことでしょう。特にフランス大会の前、ワールドカップアメリカ大会には、「あと一歩」、すなわちあと数分で出場できたところ、さらりとその切符は流れたのでした。


『ドーハの悲劇』を知っていますか。1993年(平成5年)10月29日、カタールのドーハで行われたサッカー国際試合、すなわち、1994年サッカーワールドカップアメリカ大会アジア地区最終予選の日本代表最終試合で、試合終了寸前の後半ロスタイムにイラク代表に同点ゴールが生まれ、日本代表が、初めてワールドカップに出場するには、僅かな時間を残すだけの状況から一転、予選敗退が決まった出来事を言うのです。

現地ドーハとは6時間の時差があり、歓喜の瞬間を今か今かとテレビの前に釘付けになっていた日本国民が、『悲劇』を見たときは、既に『翌日』となっていたにも関わらず、テレビ東京が放映したこの生放送の平均視聴率は48、1を記録し、これは現在まで、サッカーの試合での最高視聴率となっているのです。

サッカーJリーグができて間もない時期でもあり、この『ドーハの悲劇』が、日本サッカーに関心が持たれた契機となったことは間違いありません。サッカーは、前後半各45分で行われるスポーツです。ロスタイム、現在は、アディショナルタイムと言いますが、これと合わせれば、90分以上100分くらいピッチの上で勝負が繰り広げられているところ、その最後の数秒で、ドラマが生まれるのです。


さて、今年は何回話したでしょう。サッカーJリーグディビジョン2に所属するアビスパ福岡は、あと2試合を残すところで勝ち点76の3位につけています。

2位とは勝ち点差2ですが、2位と3位とでは、雲泥の差?があるのです。これも以前お話したと思いますが、Jリーグのルールとして、J2で年間1位と2位のチームは、翌年J1へ自動昇格するのですが、3位から6位となった4チームは、トーナメントによる勝ち抜き戦を行い、勝ち上がった1チームが、J1へ昇格するものであります。アビスパ福岡は、既に3位以内を確定しておりますが、残り2試合を全勝しても、2位のジュビロ磐田が負けない限り、2位にはなれません。この『ひとりごと』がアップされるころは、既に公式戦は終了し、結果はわかっているでょう。

J1への昇格も熱を帯びておりますが、J2からの降格ラインの攻防も厳しいものがあります。J2最下位はJ3へ自動降格、そのひとつ上の年間21位となったチームは、J3の2位のチームとの入れ替え戦を行うのです。残り2試合となったところで、最下位のAチームとその上のBチームとの勝ち点差は3で、Bチームとその上の20位のチームとの勝ち点差は5です。

このAチームに、このところ連続して『悲劇』が訪れています。勝ち点制度は、勝ちが3、同点が1、負けは0です。Aチーム、2試合続けて後半アディショナルタイムまで勝っていたところ、アディショナルの最後のワンプレーで失点して試合は同点になり、勝ち点3が、するりと目の前から流れたのでした。たらればで言えば、2試合で4を取り損ねたことになります。試合終了のホイッスルを聞いた瞬間、2試合続けてピッチに倒れこむAチーム選手の姿は、勝負の世界の厳しさを見た思いです。

周りは、なんであと数秒我慢できないんだ、なんで同じことを繰り返すんだと言うかもしれません。実は、アビスパ福岡にも、同じことがありました。後半アディショナルタイムに失点して同点とされた試合が2試合、後半アディショナルタイムに失点して首位のチームに負けた試合が1試合あるのです。


こちらもたらればを言えば、それぞれの試合で『あと数秒』我慢していたら、計算上アビスパ福岡は、現在首位となっていたのです。

見るほう、言うほうは勝手です。

でも、実際試合をしている選手は、そんなことわからないはずがありません。こちらが必死と言うことは、相手だって必死なのです。見方を変えれば、あと数秒までよく持ち堪えたとも評価できます。そんなふうに考えれば、こんな経験があったからこそ、その後のアビスパ福岡は頑張れた、好調を維持できたと言えるかもしれません。事実『ドーハの悲劇』を乗り越えてサッカー日本代表は力をつけ、その後連続してサッカーワールドカップに出場しているのです。先日目の当たりにしたJ2最下位のAチーム、これがあったからこそ今があると思える日が来ると思っています。


佳境に入ったサッカーJリーグディビジョン2の全チームが、シーズン最後まで、全力を尽くして頑張ることを期待しています。