京都市内の小学校6年生が、学校で喫煙指導を受けた際、教師に「大麻を吸った」と述べたことから、保護者に話した上で、学校は、警察との間で結ばれている連絡制度に基づき京都府警に相談、府警少年保護課等が、この児童から事情を聞いているとの報道がなされています。 府警によれば、これまでのところ、この児童の周囲から、大麻や吸引に要する物等発見されていないが、入手先や吸引方法等具体的に説明しており、児童の説明には、信憑性が高いと言う関係者の話であります。 児童は12歳であり、刑事責任を問われない触法少年に当たり、もし、非行事実ありと判断された場合、児童相談所へ通告されることがあります。つまり、家庭裁判所へ送致されることはないのです。事態が表面化して、教育関係者の間では、衝撃が拡がっていると言われます。それはそうでしょう。ただ、ここでも、「犯罪の低年齢化が進み、危機意識を高めようとしていたところだった…。」の杓子定規の発言がなされております。 これもいつも言いますが、『犯罪の低年齢化』なんて、どこの資料見て言うんでしょうかね。教育関係者もテレビのワイドショーしか見なくなったのではと思います。そんな教育関係者に教えられたら子どもは…。 この児童が、喫煙や大麻と関わりがあったとすると、その保護こそ必要です。現在の刑法の責任論は、人間は、素質や環境により、ある程度自己の責任ではないところで決められる部分もあることは否定できないが、それでも自ら主体的に、その人格を含めた人間形成をすることが可能だと言うものです。 この児童の成育過程や環境の調査そして整備も必要でしょう。でも、早期に非行の芽を摘み取る機会が得られたのですから、児童相談所かどうかはともかく、この子をしっかりサポートしてもらいたいです。 さて、ここでも私は、気に入らないシーンを見せられました。 テレビのワイドショーで、レポーターが、町の小学生に、この事件のことを話し、「大麻って知っている?」なんて尋ねているのです。 もちろん、薬物の危険性を教える必要はあります。それは家庭であり、学校であり、そして子どもを取り巻く社会の役割でしょう。しかし、この番組、レポーターは、そんな子どもを守ると言う社会的使命に燃えて、インタビューなりしたのでしょうか?小学生でも低学年の子どもは、大麻の名前さえ知らないようでした。そんな子どもに、『この事件』のことを話して何になるのでしょうか?大麻の名を知っている子どもも、「怖い」くらいの感覚しかないようです。 漠然と「怖い」と思っている子どもに、こんな事件について、あるいは大麻について聞いてどうしたいのでしょうか。何の意味、どんな効果があると言うのでしょうか。単に、「え~。驚いた。」「大変だ」と騒ぎ立てているだけにしか取れません。結局お茶の間では、大麻は小学生でもやっているんだと言う情報とともに、それならどうするかを問うのではなく、世間社会がびっくりして大騒ぎしている様子だけが映し出され、不安と子どもに対する隔たった見方をする契機ともなりかねない危惧を覚えます。 小学生だからこそ、今だからこそ、あらゆる関係者、そこには社会の公器たるマスコミも含めて、小学生の間にしっかり保護して、社会に適合でき、ましてや『犯罪』に手を染めないよう件の児童の今後を考えてあげるべきではないでしょうか。