街にはそれぞれの顔と歴史があるのです。

2015年11月19日
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先日各都市の成り立ちを紹介するテレビ番組があり、札幌市を特集していました。札幌市は、明治になって開拓史が入って来て、街づくりが進んだことはそのとおりですが、誰が北海道、そして札幌を開拓したかと言えば、先住民アイヌ民族の努力存在を忘れてはならないでしょう。 


北海道日本ハムファイターズが、新千歳空港国内線2階のセンタープラザに吊るしていた『北海道は、開拓者の大地だ』の垂れ幕は、不適切な表現だと指摘を受け、自主的に撤去したことは記憶に新しいです。

この『ひとりごと』でも、すすきののシンボル等に話題が進んだ際、いくらか私が知っている歴史を申しました。札幌市の地図を見ると、一見碁盤の目の街のように思われますが、先日のテレビ番組では、泥炭地で、池や川が入り組んでいたこの土地地域は、それと向かい合って街づくりをしたため、『真っ直ぐ』きれいに線引き区分けはできていないことが説明されていました。


確かに地図を遠くから眺めると真っ直ぐに見えますが、実際札幌市の中心部を歩くと、「あっ、少し曲っているな」と気づきます。例えば、交差点が『直角』ではないところもあります。

その札幌市で、ちょっと不思議に思うものがありました。それは、市電です。


正確に言えば、そのルート軌道です。札幌市内には、1ルートだけ市電が通っていて、大通りの西4丁目とすすきのを結びます。札幌市民の方々は、ご存知ですが、他の地域から札幌市に行く人で、市電に関心がない方でしたら、「なんで。そんな市電乗る人いるの?」と思わず言ってしまうかもしれません。なぜなら、札幌市営地下鉄南北線は、JR札幌駅の次が『大通』その次が『すすきの』で、大通とすすきの間は、500mもない、400mくらいの普通に歩ける距離ですから、『大通(西4丁目)』と『すすきの』間にのみ市電を走られても、歩くか地下鉄を利用すればよく、わざわざ乗車する人はいるのか?の問いがありうるからです。

私が、この市電の路線で『不思議』と思っていたのは、上記のことではありません。なぜなら、札幌市の市電は、『西4丁目』と『すすきの』間をわずか400mだけ走行しているのではなく、碁盤の目ではなく、少しずれて曲っている札幌市内を大きく外回りして、結んでいるからなのです。すなわち、実際札幌市の市電は、全長8.4kmで、上?から見ると、曲ったいびつな長方形であって、その中から『西4丁目』と『すすきの』の約400mだけが『切れている』からです。


ですから、むしろ私は、「なんでこここだけ切れているの?」と思ったのです。関心おありでしたら、どうぞ札幌市中央区の地図をご覧ください。

この私の疑問、解消されました。札幌市は、今年12月20日に、『西4丁目』『すすきの』の400mが『開通』するのだそうです。

これにより、西4丁目とすすきの間の『切れていた』部分が繋がり、市電は、ループ化となります。実は札幌市の市電は、もともと南北と東西に軌道があったところ、バスやその後の地下鉄が整備されたことや、駅前から大通りを経てすすきのまで真っ直ぐ繋がる市内幹線道路は渋滞問題が大きくなり、1970年ころから順次市電の軌道が廃止され、駅前から大通りを経てすすきのまでの南北路線は、約43年前に撤退したからなのです。こうして、西4丁目とすすきのを8.4kmかけて結ぶいびつな市電の路線が残ったのでした。

さて、今回札幌市は、この『切れている』400mを繋いで市電を山手線のように循環式にするわけです。渋滞問題等解決しなければならない問題はあります。札幌市長は、「都心の回帰性が高まることで、駅前通りの魅力が向上し、より多くの方に、気軽に街歩きを楽しんでもらいたい」と述べました。


今回の路線は、なんでもサイドリザベーション方式とか言って、線路が歩道側を走行するのだそうです。それで、車道が狭まり渋滞が起こりやすいほか、これまでの人や車の流れが変わることが懸念されるとして、11月半ばから、この区間の試運転を繰り返すのだそうです。


新しくなった、また、地元の方々からすれば懐かしい市電が見られます。


開拓されること、また、もとに戻ること、いずれもこの街で暮らす人の目線でやっていただきたいと思います。11月も後半になると、札幌駅前通りと大通公園では、『ホワイトイルミネーション』が開催されます。降雪の時期の到来とともに行われる札幌の風物詩、やがて年が明け、雪まつりに続きます。



400mによるループ化なった市電、新たな札幌の歴史がここに始まります。先人への感謝を忘れることなく、新しい街を見てこようと思います。