大相撲九州場所で、休場明けの横綱白鵬が、関脇力士との対戦で、『猫騙し』と言う奇襲戦法を使って勝利したことについて、角界のみならず、ネット社会はもちろんのこと、あちらこちらで議論されています。
『猫騙し』とは、立ち会いと同時に、対戦相手の目の前に両手を突き出して掌を合わせて叩くもので、驚いた相手が目をつぶるなどしてひるんだ隙に、自分の有利な体勢に持ち込むために行われる相撲の戦法とされます。猫騙しは、相撲の決まり手ではなく、対戦中の戦法のひとつです。この謂れは、猫の前で『パチン』と手を叩くと、猫は驚いて逃げる等ひるんでしまうことから来たようです。
私は、基本的にお相撲には関心がありません。
また、件のシーンを見たものではありません。以前小柄で様々な技を繰り出して、大柄な力士に挑んだ舞の海氏が用いたことは知っておりましたので、『アレって、小さな、腕力では敵わない力士が、格上の力士に対して、なんとか相撲になるように工夫してやるものでは?』の観念があったことは事実です。
私でも、そんな素朴な?観念がありましたから、『横綱がやるものではない』との批判が続出しています。 白鵬関が猫騙しをやったこと、しかも立ち会いのみならず、土俵際に体を残して反転してきた相手に対して、またも『パチン』とやったことについて、特に相撲関係者からは、批判的意見が述べられます。
この点、まず私が思ったのは、「またか」であります。
「またか」とは、白鵬関がまた何か物議を醸すことをやったと言う意味ではなく、「また、白鵬関を叩くのだな」です。 日本人力士の優勝は、もう10年くらいないようです。3横綱しかり、番付を見れば、モンゴル出身者が多くを占めていて、さらに世界各国から相撲取りになるため、角界に入門する若者が増えています。
他方、日本国籍の若者の相撲離れは確実に進んでおります。相撲はスポーツではあるが、同時に国技であるとの意識は、日本人には徐々に薄れているのでしょう。率直に言って、古き良き日本人?特に角界関係者には、妬み僻み悔しさがあるのではないでしょうか。してやられたって奴です。 かつて、ちぎっては投げで、『憎たらしいほど強い』と言われた元横綱北の湖の現北の湖理事長は、「あれは横綱がやるものではない」と苦言を呈しました。
この場面を解説していた親方衆等も、同様です。ただ、これは予想されたところですが、ネット社会では、それほど白鵬関に批判的ではないようです。最も多い意見は、「横綱が猫騙しをやったら反則なんて規則はない」で、次いで、「横綱は勝つことを使命としている。負けるよりマシ」だと思います。私も、基本的にそうだと思います。 相撲には関心がないと言いながら、これまで白鵬関や鶴竜関に対する批判的意見について、この『ひとりごと』で私見を述べたことがあります。
今、その内容は忘れましたが、基本的には、モンゴル出身の横綱に対する批判に、批判的な私見を書いたと思っています。それは、心の中では『国技』を重視し、品格とか横綱としての……を言う風潮です。もし、大横綱白鵬が来日しなかったら、日本人の入門が少なく、観客数も増えない現在の相撲界で、外国人力士の登場活躍は、日本の国技とされる相撲を支えているとは考えられないのでしょうか。先日も、元親方が暴力事件を起こしたことが報じられたばかりで、数年前は、八百長事件がありました。角界、その先輩たちこそ、どうすれば相撲に人気が出て、日本の若者が目を向けてくれるのか、真摯に考えていただきたいと言うものです。
しかし、今日は、私は、大横綱白鵬関にも、物申したいです。猫騙しは悪くない、勝つのは当たり前、それはそうです。しかし、勝ち名乗りを受けた後の態度、あれはいただけませんね。ニヤッとしていたでしょう。とても大横綱白鵬が、力を出し切ってやり遂げたと言う達成感ではありませんね。アレは、してやったり、悪く言えば「ざまあみろ」に見えました。それは、常日頃煩い協会や親方衆に対するものでしょうね。 白鵬関は、猫騙しを一度はやってみたかったとその動機を述べました。本心だとして、それは引退間近を言いたいのでしょうか。そこには余裕綽々を感じます。
それと、対戦相手に対してリスペクトが見られないですね。白鵬関が大横綱でいられるのは、横綱白鵬に挑む力士がいるからです。勝ち続けるために、猫騙しのごとく技?が通用するかどうか試したかったのだとしても、それは対戦相手あってのこと、決して格下相手をバカにしたものではないのだとの姿勢を見せて欲しかったです。あの『ニヤッ』を見たら、横綱との対戦を夢見て、稽古に励んできた負けた格下力士は、どう思うでしょうか。
それと、お客様あっての大相撲でもあります。聞くところによると、横綱白鵬の猫騙しを見た観客は、ほとんど呆気に取られ、拍手も少なかったと言われます。
もし、観客の相撲離れが進むことにでもなったら、それこそ横綱がやってはならないことだと思います。そうは言っても私の夢は、大関琴奨菊が、大横綱白鵬に勝って優勝することです。横綱白鵬が居なくなることは、それが不可能となることです。白鵬関には、まだまだ強い横綱であって欲しいのです。