自分の子ども、2歳児に何度も煙草を吸わせたとして20代の父親と、一緒に居た10代の少女が、暴力行為処罰に関する法律違反の被疑事実で逮捕されたと報道されています。 幼児に対して、代わる代わる火のついたタバコを吸わせ、暴行した疑いというものです。暴力行為等処罰に関する法律とは、団体又は多衆による集団的暴行、脅迫等を重く処罰する刑法の特別法です。 この事件が発覚した経緯は、この父親が、2歳児に繰り返しタバコを吸わせた様子を動画にして流したからなのだそうです。これを見た多くの人たちが、「児童虐待だ」として警察署等に通報し、捜査がなされた結果、この2名の居所が判明して、逮捕に至ったそうです。両名は、逮捕事実を認めていると報じられました。 警察は、この2歳児を、児童虐待の疑いがあるとして、児童相談所に通告して、その一時保護を委託したとのことでした。 これを知ったコメンテーターたちは、「バカ」と言うのは予想されますが、社会は児童を、このバカ親からいかに保護するかが重要です。 もちろん子ども、特に乳幼児には、親が必要です。いつも指摘するように、未だ少年非行の率は、幼児期に親、特に母親から離れて育った子どもが高い数字を残しているのです。だからと言って、児童虐待する、親として真摯に愛情を持っているとは思えない、あるいは成育環境が不良だと、子どもをそこに残すことは福祉に反します。これは本当に難しい問題です。あくまで子どもの保護、福祉の観点から、関係者が工夫努力しなければならず、特に行政は、役所仕事とならないよう、強い使命感が求められます。 確かにこの男女、バカ親でしょう。悪ガキが大人に成りきれないとも言えるかもしれません。でも、報道された動画に映された行為をしたことも呆れますが、これを動画に記録して発信したことが驚きです。自分の行為を動画にして発信して世間を驚かせた例は、最近枚挙にいとまがありません。飲食店やらコンビニ等で働く者が、商品の上に寝そべったり、客が店員に土下座を強要したり…。外国では、走行中の電車に飛び乗ったり飛び降りたり、高いところに登って細い鉄塔等を歩く等等テレビ番組に紹介されています。 こんなことをして、世間に発信することで、英雄きどりなのかもしれません。先のタバコ押し付けの男女も、初めから逮捕されるとか、これが犯罪だなんて意識はなかったのかもしれません。英雄きどりをする者たちも、一方的に自分のカッコよさ(バカさ)を世間にアピールすることで自己満足なのでしょう。バカだから仕方ないとの意見もあるでしょうが、こんなことをして何になるのでしょうか? 法律実務に携わる私は、それは自己満足なのですか?そんなことして何になるの?と感じる場面に多く遭遇します。 その典型は、離婚する意思がないのに、夫(または妻)が、不貞行為をしたところ、当の夫(または妻)を咎めるではなく、その相手となった女性(または男性)に対してだけ、損害賠償請求することですが、そのような例に当たると、これまた『よく言うな』と想うことがあります。それは、妻(または夫)ある人と不貞関係に至って、その人の妻(または夫)から損害賠償請求を受けた不貞行為(世間で言う不倫)の相手となった人が、このご夫婦、『既に婚姻関係は破綻していた』と言う主張です。 婚姻関係が破綻して、その修復は不可能な状況に至れば、互いに貞操保持義務がなくなるので、そんな人と肉体関係を持っても、不法行為にはならないと言うものです。 でも、本当にそうだとしても、そんなこと、『他人』、夫婦でもない人、まして『あんたなんか』に言われたくないよ!と夫(または妻)と関係を持った人に対しては、言ってやりたいのではと思います。私は、この婚姻関係破綻の主張は、『年中行事』と言いっています。それは、到底婚姻関係破綻なんか認められないケースでも、常に出されて『争点』にされているからです。本当に、「そんなことして何になるの」なのです。盗人猛々しいなんて言葉がありますが、不貞、不倫した人がこんなことを言うのは、厚かましいとは思わないのでしょうか。 ところが、きさらぎ法律事務所は、男女に関する案件を担当することが多く、しかも、不貞行為が問題となるケースは実に多いのです。事務所ホームページ中、このことを書いた部分も多いのですが、「そんなことしてどうするの」「そんなこと言って何になるの」との福本悟の考えに共鳴され、落とし所を一緒にお考えくださる方が多くいらっしゃるのです。 そしてその方々にとっては、そんなことして、そんなこと言って、決して意味がなかったとはならないと言うことであります。 そんなことして意味あるの?は、その行為決断は、何のためにするのかしっかり押さえているケースには見られないと言うことです。幼児にタバコを吸わす、コンビニの商品の上に寝転ぶ、これらをすること、そして動画に保存することに、何の目的もないと思われます。 あるとすれば、自分は、カッコいいと思い込む勘違いです。行為の結果を理解し、そこに行き着くためにやったことならば、世間から見て、「変だな」と思われる行為であっても、意味ないことではありません。 きさらぎ法律事務所弁護士福本悟が、男女問題を多く担当し、この種案件のご依頼者が多くいらっしゃるのは、依頼者と私は、これから行うことは意味があることだ信じているからです。男女問題は法律問題、決して動画や漫画の世界ではないのです。これをお読みになった方、頭の隅に、「福本は、男女問題やっているんだ」とインプットされ、そのような問題を抱えたお知り合いが現れましたら、心に留めていただければと思っています。