日本人として、8月15日に匹敵する忘れてはならない日は、12月8日だと考えます。

2016年12月7日
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終戦から71年経過した現在、8月15日の意味を、後世まで引き続ぐ重要性が言われます。もちろんそのとおりです。ポツダム宣言を詳らかに読んでいない、学生時代を含めて日本国憲法を学んだことがないと仰る方が、『戦後レジームからの脱却』を訴え、その人気は留まることを知りません。

 

日本人は『戦後の出発点』を忘れたのでしょうか? 『終戦』と言いましたが、その意味は深いものがあります。日本は明治維新を成し遂げ、最後の内戦と言われる西南戦争が終結して70年、日本国、当時の大日本帝国は、戦争ばかりしていました。『戦争ばかり』と言うのは、私は、戦争そのものが悪であり、現に引き起こされた戦争を、自衛・侵略の議論をすることは無意味と考えるからです。戦争で苦しみ、被害を受けるのは、戦争をしたい、しようと決意した人ではないのです。

 

その意味で、あえて『敗戦』と言う必要もないと思っています。1945年昭和20年8月15日は、日本が戦争を止めた日です。そしてその反省から、人間の尊厳を根本規範とする日本国憲法が生まれ、すべて人は個人として尊重され、持って生まれた権利が存在することが確認されました。それを実現するための国の運営は、国民が行う国民主権のもと、選挙により政府に託され、人間の尊厳を破壊する最たるものである戦争は、日本国民は永久に放棄したのです。

 

8月15日は、単に戦争を止めた日以上に、日本人にとって重要な日であります。 今年の8月15日に解散した安保法制反対を訴えて活動していた学生中心の若者の団体SEALDsのメンバーのひとりは、毎年12月8日に、祖父から電話をもらったと言っていました。さて、今年ほど12月8日が、日本人に知れ渡った年はないでしょう。

 

 

1941年昭和16年12月8日未明、アメリカ合衆国ハワイ州オアフ島の真珠湾にあったアメリカ海軍の太平洋艦隊とその基地に対して、大日本帝国海軍が、戦闘機・潜航艇により奇襲攻撃を行いました。当時のアメリカは、モンロー主義が浸透していて、当時ヨーロッパで行われていたナチスドイツを中心とする戦争にも、日中間で戦火拡大していた中国大陸での戦争にも、せいぜい武器輸出くらいの『支援』で、戦闘には関与しない姿勢をとっていたところ、いわゆる日米交渉の決裂の通告前に、日本側が、アメリカに対して攻撃を仕掛けたことで、戦火はアジア太平洋地域に広がりました。アメリカ合衆国ルーズベルト大統領は、日本からの宣戦布告と表明、アメリカ国内では、卑劣な騙し討ちと世論が盛り上がり、時を同じくしてナチスドイツによるアメリカへの宣戦布告がなされ、ここに第二次世界大戦、太平洋戦争が始まったのです。

 

この大戦の結果、惨状は、言うまでもありません。アメリカに戦争を仕掛けた、そしてその緒戦が真珠湾攻撃であったことは、日本人は忘れてはならないと思います。戦中を生きた方が、後世の人間に対して12月8日を肝に命じて生きろ!と教えることは凄い重みを感じます。戦争を終えると言うことは、戦争を始めた日があったからです。

 

人間の尊厳を損なう忌むべきもの、破滅破壊を齎す最低最悪なもの、それを先人らは経験してきたのです。二度と繰り返してはならないとの叫びです。 さて、そのハワイオアフ島の真珠湾、日本国内閣総理大臣安倍晋三氏が今月訪問されるそうです。歴代総理大臣として初のことです。これは先月ペルーのリマで開催されたアジア太平洋経済協力機構で顔を合わした先、オバマ大統領との立ち話で決まったかに伝わっています。なぜ安倍晋三内閣総理大臣が真珠湾に?はいろいろ憶測を読んでいます。

 

安倍首相の思惑はともかく、日本国民がそれぞれに受け取ればよいのではと思います。 リオデジャネイロオリンピックの閉会式、土管からスーパーマリオに扮したお方が登場したその日、真珠湾にある記念館で、献花した方がおられます。このお方、懐が深いことで知られています。『アベ政治を許さない!』とカードを掲げた若者と一緒に写真に収まり、いわゆる安全保障法が成立した直後に、ご主人と一緒に鑑賞したコンサート、主役のアーティストから、これを批判するメッセージが発せられたときも、音楽を楽しまれたと伺っています。

 

一説によると、このお方が説得した、あるいは安倍晋三内閣総理大臣の心を動かした、見習ったとの声があります。来年1月任期を終えるオバマ大統領への餞けとの説もあります。広島へ訪問された返礼だとも。また、先月オバマ大統領の所属する政党から立候補した元国務長官を選挙で破って次期アメリカ合衆国大統領に就任するトランプ氏の私邸を訪問してまったフライング?に対するお詫びだとも。さらにまたしても『ポチ』との辛辣な意見も上がっています。

 

私にとってはどーでもよいです。 肝心なことは、アメリカ国民に対しても、戦争を仕掛けて多くの人命を落とすところとなった事実を厳粛に受け止めて反省の意を表すこと、また日本国民に対しても、日本を破滅に至らしめるきっかけとなり、シンボルともなりうる真珠湾、これを忘れてはならないと警鐘を促すことであります。真珠湾を訪問したことを持って一区切りがついたなどと言って、決して『戦後レジーム』からの脱却を求めたり、『戦前』を肯定することは許されません。あの場に立っていただいて、明治維新以来日本は『大日本』なんて名を冠し、優れた民族であるかに勘違いして、特にアジア諸国に対して、甚大な被害を齎した負の歴史を思い至って、恒久平和を祈念する原点と感じていただきたい。まして日米同盟の揺るぎなき強化……なんて的外れであります。

 

昔『大日本帝国』なんて言っていましたが、近ごろ『世界一』を、そのご発言の随所に散らべる方がおられます。世界一とは、なんか世界征服とか侵略を思い出します。今回真珠湾を訪問する安倍晋三内閣総理大臣、この次は、ぜひ南京あたりをお訪ねになって、アジア諸国に対しても、日本の過去の過ちを率直に認めてもう安心、日本は『戦前』には戻らない、あの時代やそれを率いた人たちを賞賛することは絶対にない、『戦後』を日本国憲法とともに忠実に歩んでいくことを見せていただきたい。

 

そうでないと、巷では『プーチン解散』が得策ではないと見た安倍晋三内閣総理大臣が、『真珠湾解散』を狙っているのではとの憶測を否定することは難しいでしょう。 沖縄の返還を受けた後の解散総選挙でもしかり、時の政府が、アメリカ合衆国との間をうまくやっていると国民に映った時、政権与党は議席を伸ばしているからです。安倍晋三内閣総理大臣、Pearl Harborで、長州人からもたらされた明治維新、そしてその後70年続いた負の部分に思い至って、戦前に戻らぬ不戦の決意を確認してきてください。

オーストリア大統領選とイタリア憲法改正国民投票がもたらしたものと学ぶべき事柄。

2016年12月6日
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アメリカ合衆国次期大統領にトランプ氏が就任することが決まり、ポピュリズムの台頭を懸念するとの論調が目立ちます。確かに選挙期間中のトランプ氏の言動から、民族や宗教、そして性別に関しても独自の言動が見られました。

また、トランプ氏が勝利したのは、1%の富裕層が政治を支配すると言われるアメリカ合衆国の現状で、職を失い、収入が途絶えた労働者らの共感を得られたことがあったと思います。

そういう意味では大衆迎合かどうかはともかく、選挙戦をうまくやり遂げと言えるかもしれません。ただ、『強いアメリカを取り戻す!』の叫びに、民主主義国家から、懸念が保たれているのことは事実です。

でも、なんで次期大統領とは言え、まだ経済人、私人であるトランプ氏の私邸を、日本国内閣総理大臣は、お金を使って訪ねたのでしょうね。これこそ『トランプ外交』に降ったのもしれません。

さて、12月に入って、ヨーロッパで、注目される選挙・投票がありました。ひとつは、オーストリアの大統領選、ひとつは、
イタリアの憲法改正国民投票です。その結果次第では、EU離脱、金融不安、難民受け入れ等ヨーロッパ諸国に大きな影響が起こるであろうと言われておりました。

オーストリアでは、難民排除等民族主義を全面に出す極右政党自由党の党首ホーファー氏は、年齢も若く、見てくれも良く、その語り口はとても極右とは見えない?ところで、特に若い層から人気を得ていたと言われます。国の南側に壁を!と、最近どこかで聞いたような政策を打ち出し、今年4月に行われた大統領選では、勝利するのではないと言われていました。

それが人口850万人のオーストリアで、ヨーロッパ初の極右政党が政権を獲得かとの騒ぎに繋がりました。しかし最後の最後、不在者投票の開票の結果、僅か3万票の差で逆転され、移民・難民政策等に寛容なヘレン氏が当選と発表されました。ちなみにオーストリアは、北欧諸国と並んで、福祉教育が充実していて、日本と違って貧困率が低い国です。なんで極右政党が?の思いがありました。

ところが先の大統領選、開票作業に不正があるとか、マスコミが途中でホーファー氏の当選確実を報じたのは不公正とか、ホーファー氏陣営が、選挙無効を提訴したところ、オーストリアの憲法裁判所はこれを認め、選挙の無効とやり直しを命じたのでした。裁判所、しっかり仕事していますね。そして当初10月に予定された選挙が準備不足で延期となり、ようやく12月4日に投票が行われたのでした。

いっぽうのイタリア、この国は伝統的に少数党が多くあり、日本の国会に当たる上院と下院に優越はなく、しばしば両院では別々の決議がなされ、それが政権の安定に繋がらないと言われてきました。イタリアにはムッソリーの悪夢があり、独裁の温床となる政府の権限強化に繋がる恐れのない政局運営をなすべしとされてきました。しかし、それが少数政党の連立政権になったり、選挙ごとに政権が替って金融不安を齎す等問題があったとされます。レンツィ首相は、上院の権限を縮小すること、地方に委託していた決定権を、中央に移譲するように憲法を改正したいとし、これの国民投票を決意したとされます。

結果は、オーストリアは、現大統領が当選し、イタリアは、憲法改正は否決されました。形式的には、現状維持となりましたが、この結果と効果、そしてヨーロッパ諸国への影響に関しては、いろいろ言われています。オーストリアは、移民難民排斥の極右政党の政権奪取はなりませんでした。いっぽうイタリアは、政権が安定せず、金融不安が募るであろう、しかしそれが孤立化と他国からの干渉を嫌う国民世論が現れたとの評価があります。

ただ、議会の権限を弱くする政府の思惑による憲法改正は、それ自体として疑問はあるのです。イタリアのレンツィ首相は、辞意を表明しました。さらに政局は不安定になり、それこそここぞとばかりポピュリズムや排斥思想が跋扈する懸念があります。

6月のイギリスのEU離脱、先月のアメリカ合衆国トランプ大統領誕生等、国の独自性を重んじる空気がありました。他国との関わり、他民族の受け入れは、国家を危うくするかの流れがありました。国の運営が上手くいかず、人々の生活が良くならないとき、決まって敵を作る、大衆を煽るやり方は、残念ながら国民受けする歴史があります。

次元が異なると言われるかもしれませんが、日本でもア◯ノミクスって何年も言っていますが、これと並行して中国、北朝鮮の脅威や領土問題等を煽り立てて人気を博しようとするやり方があるのではと危惧します。

オーストリアのホーファー氏、直ぐに負けを認めました。また、レンティ首相は、ご自身の信任投票と位置付けておられたので辞任するようです。その意味では民意を尊重して、潔いです。イギリスのEU離脱の国民投票から始まって、『トランプ現象』そして極右政党とか国民投票とか、国のあり方を二分する流れが一気に押し寄せた感がある2016年です。

ただしイギリスにせよアメリカにせよ、今回の時を同じくしたヨーロッパ2カ国にせよ、国民がそれなりに考えて結論を出した、つまり民主主義は機能していたことは忘れてはなりません。それにしても内閣支持率60%超えの日本、独裁国家は別にして、凄いことになっています。このこと自体がポピュリズムに陥った結果ではないことを信じるしかありません。ヨーロッパと日本は違うようです。

 

新千歳空港保安検査場の『魔の時間帯』をご存知ですか?

2016年12月5日
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私が一番好きな空港と言えば、北海道の新千歳空港です。これまでこの『ひとりごと』で何回か取り上げてきました。だだ、ひとつ特徴的と言うか、ちょっと困ることがあるのです。それは、搭乗口がしばしば混雑することです。特に、搭乗口BとCはそうですね。現在工事中であることも、いくらかは関係しているのかもしれません。

札幌市に住む方々にとって、11月中旬の金土日は、新千歳空港を利用するな!なのだそうです。それは毎年この時期、アイドルグループ『嵐』のコンサートが、札幌ドームで行われるからです。私はこのことを知らず、数年前の札幌出張のとき、札幌市内のホテルが全て満室になっていたことに驚いたことがあります。Yahoo!で『20◯◯年11月◯◯日札幌ホテル』と検索用語を入れましたら、嵐、嵐、嵐が出てきました。


何とか札幌市に辿り着いたこのときの夜のすすきの、もう嵐バックを持った人人人でありました。

嵐のコンサートに行かれた方はよく心得ておられるようで、帰りの新千歳空港、搭乗口で1時間並んでいるなんて、よくtweetされています。覚悟は出来ているみたいです。でも、嵐さんや、他のアイドルグループのせいだとは言えません。何でもないときでも、新千歳空港の搭乗口、ホント混んでます。私の印象では、平日でも午後6時以降は混みます。新千歳空港に限らず、私は日曜日の空港は極力避けたいのですが、日曜日の新千歳空港、もう正午ころから混んでいます。いつものことなので時計を見ているわけではありませんが、保安検査場通過に30分くらいはかかっている感じがしています。

それで航空機の出発が遅れます。新千歳空港の保安検査場、何かと話題になっていますが、確かに8月のすり抜け事件以来、チケットの確認を徹底するなど警備を強化したことも、時間がかかる原因ともなったことは、空港関係者も認めるそうです。関係者の間では、特に『魔の時間帯』として、午前8時、正午、午後6時を挙げるそうです。


特に保安検査場に長蛇の列ができる時間帯がこれです。この時間帯に大型機の出発が相次ぎ、午後5時からの1時間で5.000人が搭乗する日もあるのです。嵐のコンサートの最終日、今年の11月13日とその翌日の14日、保安検査場で1時間待ちとあり、この2日間で94便が、30分以上出発が遅れたそうです。

よく出張族から、『羽田でもこんなことはない』と言う声が聞かれます。実はひとつの空港、ひとつの建物で、1日400.便の離発着をまかなっていることがもう飽和状態なのです。新千歳空港の旅客数は、昨年初めて2.000万人を突破しましたが、うち1.800人が、国内線利用です。新千歳空港国際線ターミナルは、別にあります。なにしろ羽田新千歳線は、世界一の利用数で、このターミナルビルが現在の形にできた14年前より離発着便は2倍に、利用者は400万人増えたのに、搭乗口の数等ターミナルビルの基本的機能は拡げていないのです。


いつかこの『ひとりごと』でもお話したように、エンターテイメント、土産物等は拡充して、何となく道内のテーマパークの感はあるものの、これが反面本来の空港の機能をどうかしたのではないかの危惧があるのでした。

羽田空港は、国内線ターミナルビルがら2つあります。これは大きいと思います。現在新千歳空港の混雑緩和策として、昨年度から約200億円かけて、出発口の拡充工事が行われています。


保安検査場を1つ増やして6箇所にすることや、航空会社の出発カウンターを増設するなど、計画されているそうです。ただ、工事期間中は、これまた出入り口やトイレの位置が変わるなど、不便が生じてこれも、混雑や遅れの原因となっていることは否定できないと思われます。

政府は、外国人観光客の取り込みばかり熱心な感があります。カジノなんて、その象徴でしょう。



新千歳空港の国際化も、大きく取り上げられています。でも航空会社関係者は、外国人観光客の急増で国際線が注目されているものの、本当は、国内線の混雑こそ対策が必要だと声をあげているのです。このまま航空機の発着枠を増やすだけでは混雑がさらに酷くなるばかりで、利用者も空港職員もストレスが溜まる一方、何とかして!の思いをマスコミに伝えたそうです。


いつも新千歳空港の楽しさ、そして想い出等表面のみお話しますが、こうして裏、そして空港を支える人々の努力と思いを知る必要があると思い、少し辛口のコメントをしました。

 

搭乗する航空機が、到着地までのギリギリの燃料しか搭載していないと知ったら、あなたは搭乗しますか?

2016年12月1日
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南米コロンビア北西部メデジン近くの山岳地帯に墜落した航空機事故は、事故機には、墜落時燃料が無かった可能性が高いことが明らかにされました。このボリビアラミア航空のチャーター便は、アブロFJ85型機と言う日本では聞きなれない機種ですが、この機体の最長飛行距離は、3.000kmとされています。ところが、この航空機が離陸したボリビアのサンタクルスから、着陸地のコロンビアのジョゼ・マリア・コルドバ国際空港までは、2.985kmなのだとわかりました。コレ、数字見ただけで恐ろしいです。

記者会見したコロンビアの民間航空局責任者は、墜落機には爆発した形跡はなく、現場を捜索した結果、機体が地面に激突した瞬間には、機内に燃料はなかったことが確認されたと発表しています。規則では、緊急時に別の空港に辿り着けるように、30分分の予備の燃料を搭載しなければならないところ、事故機にはそれがなかったと追加発表されました。

この『追加』部分の説明は、そりゃそうでしょう!としか言えません。だってこの航空機、構造上あと15kmしか飛行できないんですから。計算上30分飛行に耐える分の燃料を入れることは不可能です。

事故機の操縦室から管制に対して、電気系統が完全に故障した、燃料が切れたと繰り返し連絡してきたようです。航空当局によると、燃料が切れたら電気系統は全く使い物にならないと述べました。この事故で助かった搭乗者の話として、突然機内の電気が消え、落ちていったと述べたと伝えられています。落ちていく瞬間、驚いた搭乗者らは、立ち上がって叫んだそうです。

言葉が見当たりません。

確かに何事もなく飛行を続けることができれば、ギリギリセーフでした。直接の原因は、この航空機が着陸態勢に入ったとき、別の航空機が燃料漏れを起こしたと管制官に通告、ジョゼ・マリア・コルドバ国際空港の管制官は、この燃料漏れを起こした航空機に緊急着陸を許可したため、事故機は着陸できず、燃料がないことを管制官に通告して、緊急着陸の許可は受けたものの、上空で旋回するうちに時間切れ、燃料切れとなった可能性が示唆されるのです。
この間15分、先の計算式に従えば、燃料が無くなることは明らかです。

緊急着陸を要請した航空機が重なったことは偶然で、悲劇ではあります。でも、この機体、最初からもうギリギリの飛行距離であることは、運航会社はもとより、操縦士・管制官ら航空関係者には分かっていたと思います。コロンビア民間航空の責任者は、規則で決めれた30分分の燃料がなかったと言い、それは事実でしょうが、計算上それは不可能なのです。そもそもそんな航空機、運航させることが驚きであります。このボリビアの民間航空会社のチャーター機、しばしば南米のサッカー選手の移動のためにチャーター運航されていたとかで、メッシ選手も最近搭乗したことを明らかにしました。決して人ごとではありません。

自分が搭乗する航空機に、飛行距離に相応する分の燃料しか搭載されていないことがわかっていたら、搭乗に躊躇する人が少なくないと思います。もちろん『30分』の予備は搭載されているはずですから、日本国内の利用に関しては、現実にはあり得ないことです。実際着陸混雑等のために随分と旋回し、着陸が遅くなることはしばしば経験されるところです。3.000kmしか飛行できない機体に、2.985kmの区間の運航をさせるなんて、全く信じられないと言うほかはありません。

ボリビアの航空会社、また、サッカーの大会等のためにしばしばチャーター便が利用されている南米各地の航空会社、そしてその関係者はどのように考えているのでしょう。確かに無駄な燃料は使わないほうが効率は良いでしょう。これは、カラの航空機は飛ばさない航空会社の思惑の一環でもあります。こうして見ると格安航空会社、low-costキャリアすなわちLCCはどうなんでしょう。定義としては、効率化の向上によって低い運航費用を実現し、低価格かつサービスが簡素化された航空輸送サービスを提供する航空会社とされています。確かに機内で飲み物を持って来たり、機内販売するなど余計なことで、国内線しか利用しない私からすると、そんなことにお金を使うな!とは思います。キャビンアテンダントは、保安要員てす。

数日前に、高度経済成長を支えた当時のモーレツサラリーマン、今や団塊の世代の方たとって懐かしい名称は?と言うテーマがありました。その中で、『アンカレッジ』が登場していました。今の若い人は、アンカレッジってなんだと思われるのではないでしょうか。アンカレッジとは、アメリカ合衆国アラスカ州にある都市で、かつてここに国際空港があったのです。もちろん今でもアンカレッジ国際空港はあります。ただ、『あの頃』すなわち冷戦時代は、ソビエト連邦の上空は、飛行制限があり、日本からヨーロッパ諸国に行く場合は、『南回り』と『北回り』があり、南回りで経由する中東地区では紛争が続いて、日本人も絡んだハイジャック事件等も続出しており、『北回り』がビジネスマンには重宝されていたのです。北回りは全てアンカレッジを経由します。そうなのです。ここで給油するのです。

今ではアンカレッジ、アラスカ、北欧のオーロラ鑑賞に訪れる観光客にほとんど利用されているそうです。また冷戦時代にはやはり北極海あたりでは、東西の緊張感があって、航空自衛隊千歳基地からスクランブル発進が繰り返され、これが千歳飛行場を共用する民間航空機の遅延につながり、後に『新千歳空港』が開業する機縁ともなっていました。私が福岡市で司法修習生をしていた昭和58年9月に起きた『大韓航空機撃墜事件』は、アンカレッジ国際空港を経由してアメリカ合衆国ニューヨークから、大韓民国ソウルの金浦国際空港に向かう途中に、航空路を逸脱してソ連領空に侵入した大韓航空機が、樺太上空を出たあたりの上空で、ソ連の戦闘機に撃墜され、乗客乗員全員が死亡した事件です。悲喜交々のアンカレッジがあるのです。

アンカレッジ経由が求めれていたころの世界は、民間航空路も錯綜していました。単に直線距離を飛行すればよいのではありませんから、経由地が多くあり、また燃料補給もしばしばでした。また、航空機の飛行距離も伸びています。そんな中での燃料切れによる今回の事件、信じられない思いです。南米は、サッカーでは強豪であるとともに、各国間の連携協力もあるはずです。このチャーター便を利用するなら、2.985kmの直行ではなく、途中どこかを経由して燃料補給できなかったものでしょうか。悲劇に見舞われたブラジルシャコペエンセの街では、深い悲しみに覆われ、ブラジル国内は、3日間の喪に服すると大統領は発表されました。日本国内とは言え、日頃航空機を利用する機会が多い者としても、燃料切れのショックは大きいです。割り切れない思いを持ちながら、福岡空港の『いつもの指定席』で書いています。合掌
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