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続 調停委員会は、記録を見ていない?

(2013/04/25)

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前回、調停の当事者として、裁判所に提出した書面を、調停委員は、見ていないのではないか,しっかり読んでいるのか、不安を抱くことはなかったかのお伺いをしました。

 

実際に、調停委員が、記録をよく読みこまずに、調停に臨む(そのように感じられる)ケースがあることは、経験上、事実といわざるをえません。

 

この場合、当事者に代理人が就いていれば、心配はありません。

 

調停委員が、当事者本人が提出した資料,特に、主張書面をよく読んでいない――と感じられる――理由のもう1つには、調停は、話し合いをする場所という概念が、強調されすぎることがありえます。

 

それと、当事者に話をしてもらおう,直接話を聞いて、調停委員の経験,人生観等を示唆し、調整に乗り出そうという姿勢も、少なからず影響していると思います。

 

これは、以前お話しした『調停をしきる人』(リンク先:最近調停で感じることについて――思いつくままに(1))に通じるところでもあります。

 

確かに、調停の席では、当事者が、遠慮なく話ができること,調停委員が、真剣に話を聞いてくれることは大切です。

 

しかし、ときとして、調停の解決には関係ないと思われること,一から十までなんでも聞こうとしていることが、なくはないのです。

 

限られた時間を有効に使うため、当事者は、予め資料を提出します。これを見れば聞かずにすんだことを、延々と質問されると、うんざりするものです。

 

私が若いころ、ある夫婦関係調整に関する調停で、当事者双方とも離婚を求めているにも関わらず、調停委員が、開口一番

 

『どちらが先に好きになりましたか』

 

と質問したことがありました。

 

私も若かったので、笑ってすませることができませんでした。調停委員といろいろ応酬した末、この日たった1回の期日で、離婚は成立しました(成立させました)。

 

これは極論です。

 

経験を積んだ現在では、『記録を読んでいないな』と感じた調停の折には、うまいこと調停委員を持ち上げて、対処する術を身につけておりますが…。

 

調停委員が、なんでもかんでも聞いてくる,資料を読めばわかるだろうに…のケースとは、ある意味調停委員が、「自分たちの力で解決しよう」という熱心さがもたらすものといえます。

 

また、直接話を聞かなければ安心できないというのも、これと同じだと思います。

 

提出した資料を見ていない,記録を充分読んでいない,だから直接いろいろ聞いてくると感じられるあなた、弁護士が、代理人に就任すれば、それは解消されます。

 

代理人弁護士が提出した書面を、――本当は読んでいなくても、――「読んでいない」はありえません。あってはならないことです。

 

私は、調停委員は、全て当事者の代理人である弁護士が提出した資料は、読んで理解しているという前提で調停に臨み、調停委員会に進行を諮ります。

 

こんな状況で進められているのに、途中で「知らない」「読んでいない」は、ないでしょうということです。

 

また、調停期日でも、予め書面等で説明している事柄に関して、調停委員が、当事者本人,すなわち、私の依頼人に質問しようとしても、基本的に私が応答します。

 

すなわち、調停期日では、依頼者・当事者本人は、ほとんどしゃべることはないのが、私が進める調停の実態です。

 

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