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不倫相手が、夫(又は妻)から訴えられた方へ

(2013/06/07)

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今回は、妻Aがいながら、C女と肉体関係をもった夫Bについて考えます。

 

Bが、Aに対する貞操義務に違反したこと,Cとともに、Aに対し、共同(連帯)して、損害賠償義務を負担することは、ご説明したとおりです。

 

Bとすれば、Aに対し、愛情を失い,あるいは、Aの所為により、婚姻関係が破綻し、もはや修復は困難な状態にあって、C女と関係を持ったのかもしれません。

 

しばしば引用されるのは、夫婦の婚姻関係が、既に破綻した後の不倫,不貞の場合には、不法行為は成立しないという最高裁判所平成8年3月26日の判例(判例タイムズ908号284頁他)です。

 

もちろん、そのような事実が、裁判所で認定されたなら、そのような結論になるでしょう。

 

もっとも、実務では、本事例のB,Cの立場で、ところかまわず、このような主張がなされている感がぬぐえません。

 

あるいは、Bの立場では、本当に、Aとの婚姻関係の修復は、無理なのかもしれません。

 

また、Bは、Cを巻き込んでしまったとの負い目,後悔があるのかもしれません。

 

しかし、BまたはCから、上記主張を出されたAの気持ちはどうでしょう。

 

人間は、本当のことをズバリ指摘されたら救われず、とても悔しいものです。

 

他人の夫婦関係に、Cが口出しして、Aの気持ちが鎮まるとは思えません。かえって、Aは、Cに対する反感を強めると思われます。

 

まして、Bが、Cを庇うように映ることは、Aには絶対に容認できないはずです。

 

このような場合、Bとしては、黒子に徹するべきです。

 

つまり、Cを庇い立てしているように見られずに、Aの気持ちを収拾することです。

 

端的に言えば、Cの立場で、事実の認否・反論を用意しつつ、相当とされる損害賠償金を、Bが用立てることでしょう。

 

Bが、主犯格であると考えれば、当然ではないでしょうか。

 

もっとも、Bとしては、Aとの関係は、完全に破綻している――しかも、その責任の大半は、Aにある――と考えられるのに、なんで自分が金を支払うのだとの思いがあるかもしれません。

 

しかし、破綻したと言いながら、なぜ離婚しない,できていないのでしょうか。

 

あるいは、Bにとっても、離婚に逡巡する理由,つまり、離婚しない一応のメリットがあるのであれば、それとの引換えとでも割り切るべきです。

 

むしろ、破綻したと言いながら離婚できないのは、Aの意思が強い,要は、Aが、離婚を拒絶しているというケースが多いと思われます。

 

Bは、離婚手続を執らず、Cと関係を持つこと自体が間違いであり、無責任といわざるをえません。

 

ここで、Bが隠れて(Cの名で)、Aに対し、相応の賠償金を支払うことは、離婚を希望するBに、プラスとなります。

 

なぜなら、共同不法行為となるBの不貞行為については、Cが、賠償金を支払ったので、Bの責任も、その限度で消滅するからです。

 

従って、後の離婚手続において、Aより、Bが、Cと不貞行為に至ったと指摘されても、それは、解決ずみと言えるのです。

 

Bの立場で、いちばんやってはならないことは、逃げること,無関係を装うことであり、次によろしくないのは、Cを庇うような対応をすることです。

 

もし、Bの立場のあなたが、配偶者であるAとの関係を、はっきりさせたいとお考えならば、AのCに対する本件請求は、問題の本当を解決する絶好の機会となります。

 

執るべき途を誤まらないよう、どうぞ、きさらぎ法律事務所弁護士福本悟にご相談ください。