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不貞(不倫)のパートナーが、慰謝料を支払うことになって、 責任を追及されたら

(2013/10/21)

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配偶者Aがおりながら、Cと不倫したBの責任ついて考えてみます。

 

 これまで述べたように、A,B,Cの中で、最も悪いのは、Bです。

 

 Bより、Cの責任が大きい場合とは、不倫,すなわち、Bが、Aとの関係で不貞を働くことに至ったのは、Cによる暴力や、いやがらせなどの違法行為があった場合,あるいは、これに類する積極性,主導性があった場合です。

 

 配偶者がいるBと、積極的に肉体関係を持とうとした事実を認定して、CとBの間では、よりCの責任が大きいと判断された例はあります(東京地判平17.11.21)。

 

 しかし、不倫不貞の相手となったCよりも、配偶者Aがありながら、Cと肉体関係を持ったBの責任が重いと考えるべきです。

 

 裁判実務でも、「不貞行為による平穏な家庭生活の侵害は、不貞に及んだ配偶者が、第一次的に責任を負うべきであり、(配偶者の)損害への寄与は、原則として、不倫の相手方を上回るというべき」とされております(東京地判平16.9.3)。

 

 しかし、妻Aから、不倫のパートナーCのみが、慰謝料を請求されたケースで、第一次的責任の主体であるBは、その自覚がない現実があります。

 

 もちろん、Cとの不倫を継続したがために、「なんとかする」などと言うのは論外です。

 

 他方、Cを巻き込んだ自責の念(?)から、Bが、「全部自分が支払う」という対応もダメです。それでは、Aの心が癒されません。(→『不倫倫相手が、夫(又は妻)から訴えられた方へ』)

 

 

 要は、CもBも、Aに対する責任はあるが、CとBとの間では、Bが、より大きな責任を負う結論を導かなければなりません。

 

 Aから、Cに対して、慰謝料請求訴訟がなされた場合、よく、Bの立場の者から、Cの支払額が減るよう――証人になるとか――『協力する』という声が聞かれます。

 

 しかし、減額への協力ではありません。主たる責任があるBが、自らの責任を自覚して、自身の問題ととらえ、自分のために、その責任を果たす必要があるのです。

 

 具体的に言えば、その事案において、相当とされる慰謝料の額の少なくとも50%以上の金額を現に用意して、当該訴訟に参加すべきなのです。

 

 これを、補助参加といいます(民事訴訟法第42条)。

 

 この手続を経ることにより、同時に、不倫のパートナーCとの間の求償(負担割合)の問題も解決します。

 

 Bの立場にあるあなた、Cに対する減額の協力ではありません。自らの責任を取って、Cとの問題も、落ち着かせる場が与えられたと考えるべきなのです。