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夫(又は妻)がある人と不倫した責任について2

(2013/06/05)

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配偶者のいる人と性的関係を結ぶことを、不倫といわれます。

 

もっとも、不倫は、ひとりでは成立しません。

 

不倫に応じた配偶者のある人は、配偶者に対し、貞操義務に違反したことになります。

 

そして、不倫した人は、配偶者の貞操義務違反に加担した共同不法行為として、損害賠償義務を課せられるのです。

 

前回の例にならって、妻Aのいる夫Bが、C女と肉体関係を持った場合を考えます。

 

BとCは、Aに対し、共同して、Aが被った全損害を賠償しなければなりません。法的には、(不真正)連帯債務といいます。

 

ところで、Aが、Cのみに対して請求し、又訴えた場合はどうでしょう。

 

Cは、Bの違反行為に加担した,つまり、共犯的立場であり、しかも、一般的にいえば、『主犯』はB,Cは、Bに従ったのだといえるでしょう。

 

Cが、ABの婚姻関係が平穏・平和であることを認識しながら、積極的にBを誘い,あるいは、暴行・脅迫等、それ自体違法性ある方法により、Bと関係を持った場合は、社会的にみても、BよりCが、強く非難されるべきです。

 

しかし、BC間では、一般的に、貞操義務を担うBの責任が大といえるでしょう。

 

そこで、万一Aが、Cのみを訴え、Cが、Aに対し、損害賠償を果したとしたら、相応の責任をBに取らせるのは当然です。

 

これを、BC間内部での求償関係といいます。

 

BCの共同不法行為の結果、Aに金1,000,000円の損害が発生し、これをCのみが、Aに対して支払ったとしたら、一般的には、最低その半分相当は、Bに対して求償できると考えられるのです。

 

上記例で、ABが婚姻中であり、財布は共通だった場合、Aは、Cから、金1,000,000円を取っても、結局その半分以上の金額を、Bが、Cに対して、支払いをしなければならず、要は、家庭内でお金が還流するだけです。

 

Cは、最終的には、自らがAに対して支払った金額のうち相当額を、Bに対して請求し、回収できる理屈です。

 

もっとも、その前に、Aから損害賠償(慰謝料)請求訴訟を提起された場合、Bに対し、訴訟告知することにより、自己の権利(求償権)を確保することができます。

 

これは、民事訴訟法53条に規定するところで、訴訟の結果に利害関係を有する第三者に対し、このような訴訟が係属していることを、裁判所を介して通知することにより、その者に対し、この裁判の効力をおよぼす制度です。

 

たとえば、Aからの損害賠償請求に対し、Cは、Bが、配偶者の存在を隠して関係を求めてきたとか、配偶者とは離婚することになったので、Cと結婚したいと言ってきた等の事情があったと抗弁し、これが事実と認定されて、損害賠償額が決定された場合には、仮に将来、Bが、これと異なる主張をしてきたとしても、CA間の裁判の結果と異なる判断を受けることはないのです。その場合、Bは、Cに対し、少なくない金額を求償できるでしょう。

 

不貞行為の張本人,主犯は、上記例ではBです。

 

Aが、Bとの婚姻関係をどうするか触れることなく、Cに対し、請求することの是非は、別に述べます。

 

要は、一番悪いのはBであり、Bを逃さないよう法律はできているということです。

 

このような例に遭遇された方、どうぞ、きさらぎ法律事務所にご相談ください。