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相続が起きたら何をしますか。ご葬儀でしょう。

(2020/04/23)

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相続と言うと、財産分けだと受け取られますが、そうだとは限りません。

相続発生、即ちご自身が相続人となるご親族が亡くなったとき、何から始め、どのようにしていけばよいのでしょう。

 

一般的には葬儀をし、並行して各届出をすると思います。最近は、相続発生が確実視された段階から葬儀の仮申し込みを受付け、打ち合わせに応じ費用を試算する葬儀社もあるようです。最初に必要となるのは葬儀費用で、日本の場合火葬しますから、当然費用が0とはならないのです。

 

後に述べる平成28年12月19日に、最高裁判所が重要な判例を出しました。この判例の実質的意義は別のところにあるのですが、以後相続が発生した場合、被相続人(亡くなった人)の金融機関に対する預金は、引出しできなくなりました(もちろん金融機関が相続の事実を知らなかった場合は、ATM等で下ろすことは可能でしょうが、相続人間で問題となり得るのです。)。

 

この判例が出されるまでは、預金現金は、相続発生という事実により法律上当然に各相続人の法定相続分に応じて、それぞれが金融機関に申し出て、預金の引出しができる(法律上は、金融機関はこれを拒むことができない)実務でした。故に葬儀代も、被相続人の預金から使うことができたのです。

 

しかし、本件判例により預金も「遺産共有」となり、遺産分割の合意が成立するまでは、「そのまま」の状態となることが決まりました。

そこで葬儀費用?等当面のためのお金は、相続発生前には用意しておく必要があります。もし被相続人の預金から下ろすのでしたら、他の――推定――相続人にもその措置がわかるような状態にした上で、キャッシュカードを預かるなどして、1日の引出し限度額に注意して準備する必要があります。

 

この点前記最高裁に判例において、裁判官の中には、立法手当や家裁で行なわれる相続財産中の特定の預貯金債権を、一部相続人に仮に取得させる仮訴分(家事事件手続法200条)の活用に言及する見解はあります。

しかし現実は、前記のとおり相続発生前からの準備が確実です。

 

因みに一部銀行では、葬儀費用等特定された目的・金額の範囲で、全相続人の同意を要件として、被相続人の預金の引き出しを認める運用がなされております。参考になります。

 

自身にゆかりのある大切な方とのお別れは、厳かにしっかり行ないたいものです。

「相続問題」は、まず葬儀やこれに続く初七日、四十九日後に対処するのが、後々を考えるとよろしいかと存じます。