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離婚届は受取ったけど・・・離婚届は出したけど・・・

(2021/01/25)

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離婚を考えている方の中で、離婚届を書いてもらった、預かっているといわれるケースがあります。

 当事者が離婚を合意したから、離婚届が作成されたのでしょう。協議離婚は、役所に離婚届を提出したときに成立します。

 

 離婚届を保持したままのケースは、だいたい2つの理由があるようです。

 ひとつは、このときは直ちに離婚するまでの考えに至っていないが、将来のために書いてもらって(書かせて)、いつでも出せるようにしておこう。これがよくあるケースです。

 

 ところで離婚は、届出書作成時及びこれの提出時に、離婚の意思がなければ無効です。実際の争いは、それぞれの時期の意思を立証できるかになりますが、少なくとも冗談で書くことになったのではない限り、その時点で既に、当事者間の婚姻関係は正常を欠いていたと認められるでしょう。

 

 つまり手続き踏めば、最終的に離婚を求める側の希望が通ることにはなります。しかし、そんなことをしなくても、婚姻関係が正常を欠き、この関係を維持継続することが困難となった場合は、結局離婚となります。

 いつも言うように、離婚を希望して離婚にならない例はないのです。

 

 ですから離婚届を書いてもらって保持することが、将来の担保とか、この先有利になるなどの考えを捨て、既に正常を欠いているのですから、この先どうすればよいか、どのようになるのか、ご自身の幸せのために、弁護士にまず相談することから始めてください。

 証拠を確保してからとか、相手がどう出るかわからないから・・・と躊躇するのではなく、まず相談することが先です。

 

 離婚届を書いてもらって保持したが、これを提出しない、できないケースの他の理由としてあるのは、離婚後が見えない、離婚するにあたって何をすればよいかわからない不安がある、と感じられて、これの提出を躊躇されるケースがあります。これがもう一つのパターンです。

 

 例えば、家を出て行くところがない、養育費について話ができない、夫婦共有名義の物件で、ローンが残っているなどいくつもあり得ます。

 法的には、離婚の合意と未成年者がいる場合には、親権者の合意さえあれば離婚は有効であり、協議離婚届は受理されます。しかし、得てして上の例のような、「積み残し」があるのです。

 

 積み残しをしないためには、離婚届を出す(書く)前に、弁護士に相談することが不可欠です。離婚届を提出してしまったら「他人」であり、話し合いをするのは生理的にも嫌ではありませんか。

 

 離婚届を出して離婚になったとしても、現実に、このような「積み残し」をされるケースは、少なくありません。子の養育費や面接交渉(面会交流)を決めていないこともあります。

 荷物を残したまま、健康保険証を持ったまま(保険から抜けていない)など、しばしば聞かれます。

 

 弁護士に依頼すれば、積み残しはさせません。そして万一積み残しをした状態が続いた場合には、「離婚後の紛争調整」という家事調停手続を利用することで、解決が可能です。これも弁護士に依頼して行うべきことは、言うまでもありません。

 

 離婚を考えた時点で、ぜひとも弁護士福本悟にご相談ください。