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養育費をめぐって、調停等で感じるところについて

(2013/10/05)

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養育費とは、未成熟子を監護していない,つまり、一緒に暮らしていない親が、その子の成育にかかる費用を支払うことを意味します。

 

調停等実務では、監護親(未成熟子を実際に手元で育てている親)が、非監護親に対し、『子の監護費用の分担』として求めることになります。

 

少し堅苦しい説明になりました。

 

親子の縁は切れない,離れていても、自分の子どもは気にかかる,我が子に対する愛情と責任の証として、非監護親(一般には、監護する母親より、経済力があるとみられる父親)が、監護費用の分担として支払うのが養育費です。

 

こうして、非監護親も、共に子どもを育てる役割分担をしているのです。

 

ところが、離婚・男女問題を担当する際、養育費をめぐって、悲しく感じることが起きます。

 

それは、養育費を支払う側(父親)が、なんだかんだと言って、養育費の額を値切ることが1つ。

 

それと、養育費を受取る側(母親)が、子どもの様子,成長の過程を知らせようとしないことが1つ。

 

現在、家庭裁判所の実務は、平成15年4月に、東京・大阪養育費研究会が発表した『簡易迅速な養育費等の算定を目指して――養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案』(以下、今後これを『提案』と略称します)に従って算出されます。ちまたに出廻っている『算定表』といわれるものがそれです。

 

提案の是非は、ここでは論じません。

 

実際、司法手続の場では、資料の提供を受けて、客観的な数字が出されます。振り幅は少ないのです。

 

にも関わらず、あれこれ言っては減額を求めるのはなぜでしょう。

 

その多くは、離婚を予定する配偶者(主に妻)に対する不満,あるいは、意地やプライドから、離婚そのものを容易に受け容れ難い憤懣のはけ口が、養育費に向けられているのです。

 

愛する自分の子どもの成長に要するお金を値切って、何になるのでしょう。離婚に至る葛藤の収め方は、別の方法・やり方で、受任弁護士と一緒に考えてまいりましょう。

 

いっぽうで、監護者側は、養育費を支払っている非監護者(父)が、子に対する責任と愛情を示す唯一の方法は、養育費の支払いであることを理解されるべきです。

 

往々にして、「調停で決まったから」「義務だから」等に留まり、父もまた、離れて子どもを育てていることをわかってあげない監護者(母)を目にします。

 

子どもの成長をはげみに養育費を送金している非監護者(父)からすると、「金だけ取られている」と感じるかもしれません。

 

自分も、一生懸命子を育てている,でも、子どもを気にかけて、養育費を送ってくれて有難うの気持ちを持っていただければ、当の子どもが、父,そして母に対する感謝の気持ちを持ち続けるでしょう。ぜひ、子どもの成長の過程を知らせてあげてください。

 

弁護士は、依頼者である監護親,非監護親と一緒に、子どもに対する愛情と責任の示し方を考えていくのです。