業務 離婚・男女問題

離婚にあたり、決めなければならない事柄について― 特に面接交渉の重要性と困難性について

(2018/09/03)

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離婚の折、決めなければならない事柄があります。

法律的には、未成年の子がいる場合に、親権者の選定だけです。

 

ただし、調停離婚の場合には、未成年者がいる夫婦は、必ず養育費の支払いと子との面接交流について、調停委員会から諮られます。これは、民法766条Ⅰ,Ⅱ項で、子の監護をすべき者(通常は親権者),子と非監護親との面会交流,子の監護費用について協議して定めると記載されているところに基づきます。離婚届出用紙にも、このような協議をしたかどうか、定めているかどうかチェックする欄があります。

 

ですから、実際調停離婚の場合でも、調停が成立する場合には、養育費の額と面交(面接交流を略して『面交』といいます)は、必ず記載される例です。

 

以前から申し上げるとおり、愛せない,愛されなくなったら離婚すべきです。もちろん、不条理に離婚を強いられる側,つまり、愛されなくなった方に対する相当な手厚い保護は必要です。最近では、離婚を求める調停や、代理人としてそれを求める交渉に入った途端に、「はい、わかりました」と応えられることはないものの、ある程度調停等が進行すると、離婚に進みます。むしろ子の監護に関して、あるいは財産分与等の金員面で、解決が長期化する感じがいたします。

 

なかでも面交はいちばん悩ましく、解決までの時間がかかるうえに、一定の取り決めがなされても、調停等が終了後、そのとおり履行されないケースが多々あるのです。

民法766条のⅠ項は、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と規定しています。この「子の利益」を巡って、監護親(親権者)と非監護親との間で激しい対立が生じるのです。

私は、離婚を希望し、あるいは現に別居状態にある方から、夫婦関係の調整を巡る事件のご依頼を受けることが多いです。離婚,男女問題だけではありませんが、この年齢になり、地裁(高裁,簡裁)事件よりも、はるかに家裁事件が多くなっています。

 

そして離婚についていえば、また、子の監護,同居の点からいえば、離婚したい側,これを求められる側いずれからも、また、子と同居している側,していない側いずれからも依頼を受けております。

 

ただし、面接交渉に限っては、子を監護している,つまり、未成年の子と同居しているのは、ほとんど女性(母親)ですから、面接交渉を求める側の代理人を務めるときは、依頼者は男性(父親)となります。

私の実感は、夫婦関係事件で最も難関なのは面交です。裏返して言うと、もともとスムーズに非監護親と面交していたケースは別として、実際別居後面交できていないのに、いとも簡単に面交に関する合意ができた,そのような協議や調停が成立するのは眉唾物,ちょっと疑問を持ったほうがよいということです。

 

この面交に関しては、「お父さん,お母さんに対するお願い」として、数年前にこのコーナーに少し書きました。しかし昨今は、言葉で説明できるような案件では済まなくなった実感があります。

次回以降、この点経験を踏まえて少しずつ書いてみます。

ただし、私の基本は、「子は両親に愛されなければならない」ということです。すなわち、面交は行われなければならないという立場です。これは監護親、即ち子と同居して養育している親の代理人として活動するときに、まず依頼者に強く求め、説得することです。