勝負の世界では、しっかり準備して次につなげることが大切です。ーーアビスパ福岡井原正巳監督の言葉から。

2016年4月30日
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4月29日からゴールデンウィークに入りました。初日の29日は、全国的に荒れた天候だったようで、東京でも、相当強い風が吹いていました。

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この日私は、京王線飛田給駅近くにある味の素スタジアムに行きました。味の素スタジアム、通称味スタでスポーツやコンサート等のイベントがあるときには、京王線は、特急電車も飛田給駅に臨時停車させているので、新宿駅から20分少々で、スタジアムの最寄駅まで到着することができます。この日京王線の車内、そして飛田給駅で下車する人は、ほとんどの方が、赤と青に染まっていました。

2016年明治安田生命サッカーJリーグfirstステージ『FC東京対アビスパ福岡』の試合が行われました。 アビスパ福岡のサポーターである私からすると、都内調布市にある味の素スタジアムは、近くて遠いスタジアムです。アビスパ福岡は、5年周期でJ1を闘い、過去は残念ながら1年でJ2に降格していました。対するFC東京は、5年前にいちどだけJ2に降格したのですが、そのときアビスパ福岡は、J1に所属していたのですれ違いとなり、両チームの対戦は、2006年以来となるのです。アビスパ福岡、今季初勝利を目指します。 FC東京は、長友佑都選手や武藤嘉紀選手ら日本を代表する選手を輩出し、現在も日本代表選手が在籍するACLにも出場しているタレント揃いのチームです。

 

対するアビスパ福岡は、J1で闘う今シーズンは、7戦して未だ勝ったことがありません。でも、私は、今年のアビスパ福岡は、そんなに悪い内容の試合はしていないと思え、何と言っても井原正巳監督が、全然昨年と変わっておりませんので、そろそろ勝利するのではないかと期待していました。試合が始まれば、前評判は関係ありません。この日も私は、アビスパ福岡サポーター席近くに陣取り、一緒に声を出して手を叩いて応援しました。試合のほうは、0対0で迎えた後半に、アビスパ福岡が先制点を挙げ、試合終了間際に与えたPKのピンチを凌いで、アビスパ福岡が、1対0で勝利を収めることができたのです。

 

待ちに待った勝利の瞬間でした。昨年12月、日本のプロサッカーチームで、いちばん遅くまで試合をしていたアビスパ福岡が、昇格プレーオフを行った大阪市のヤンマースタジアム長居での歓喜の瞬間と同じでした。周りのアビスパサポーターとハイタッチし、握手し、抱き合い、それぞれが喜びを表していました。アビスパ福岡のような戦力的に見劣りするチームだからこそ、必死にやって、ギリギリ勝利すると、喜びはまた格別なものです。

 

東京に住む私は、『あべこべ』なかたちですが、ホームレベルファイブスタジアムで観戦した2回は勝てず、今年初めてのアウェイ参戦となった東京調布市にある味の素スタジアムでの観戦で、待ちに待った今季初勝利となったのです。 私は、アウェイでのチームとサポーター一体となったあの雰囲気が好きです。それは、昨年J1昇格を決めた大阪長居で、体に心に染み付いてしまったようです。あのとき、試合を終えた後、城後寿主将は、こんなことを言っていました。

 

「隣のひとのために、周りのひとのために、それがチームのために繋がった」と。この日も、隣の人と一緒に応援し、それが周囲に拡がり、サポーターみんなの声と力になって、選手たちに届いたのだと思います。昨年の師走の長居の夜と同じドラマが、GWの東京調布の夜にも起きたのでした。

 

試合後の井原正巳監督のコメントがまた良いですね。井原監督、多くのサポーターが味スタまで来てくれたことに感謝の言葉を言った後、今シーズン初勝利をプレゼントできたこと、福岡で応援してくれるサポーターも、待ち望んだ勝ち点3を持ち帰ることができたことを素直に喜び、熊本地震で被災された方にも、九州代表として勇気を与えられるようなゲームをしよう試合前から話し合っていたので、そういう試合ができたことを嬉しく思いますとコメントしていました。

 

 

そしていつものとおり、対戦相手が強いことを認め(それは本当にそのとおりなのですが)、わずかなところで気持ちひとつ負けなかった選手を称えます。これからもいつとおり、「まだまだ修正しなければならないところはたくさんありますが、そう言う中で勝ち点3を取れたことはチームにとっては大きな白星で、これから一歩一歩、ゴールデンウィークの過密日程の中でも、しっかり準備して次に繋げたい」と結んでおられました。

 

この『しっかり準備して次に繋なげる』は、昨年来一貫して井原正巳監督が仰るところです。 井原正巳監督のコメントを聞くと、勇気を持ち続けること、常に謙虚であること、当たり前のことを当たり前に行うことの大切さを思い知るのです。人間失敗すると、どこかに原因を持って行こうとする姿勢、また、反省して生かすではなく、諦めてしまうことがあると思います。また、ひとつ結果が出ると、そこに行き着くまでのプロセスを忘れ、あるいは、もうこれで良いと安心してしまうこともあると思います。

 

アビスパ福岡井原正巳監督、全くブレません。

 

あるJリーグのチームのサポーター間では、応援するチームの監督更迭を叫ぶ声が聞かれるそうです。サポーターを惹きつけるのは、単にチームが強い弱いだけの問題ではないと感じます。今年も井原正巳監督に感謝する日々となることでしょう。

 

今年最初の勝利で、本当にアビスパ福岡とそのサポーターにとって、『ゴールデンウィーク』となっていくことを期待するアウェイ東京調布の夜であります。

被災者を励まし、被災者から激励される光景って、心の豊かさ優しさを感じます。

2016年4月28日

熊本地震の後、初めての公式戦を行ったサッカーJリーグのサガン鳥栖とアビスパ福岡ですが、いずれも負けてしまいました。

 

ともに『九州に力を!』と決意して試合に臨みましたが、あと一歩力をおよばず、結果は出なかったものの、十分気持ちを見せてもらい、震災で苦しい厳しい生活を余儀なくされている方々に、いくらか勇気を授けることにはなり得たのではないでしょうか。

 

きさらぎ法律事務所は、今年もアビスパ福岡の法人後援会に登録され、福本悟は、アビスパ福岡のサポーターでもあります。

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この日の試合も負けて、未だ今シーズン勝ちが無いアビスパですが、今日も試合前、選手たちが熊本地震の支援を呼びかけ、義援金を集めるなどの活動をしました。集まった支援物資等は、昨年同じカテゴリーで闘ったロアッソ熊本のサポーターにお渡しすると言うことでした。

 

 

隣県どおしでJ2を闘ったロアッソ熊本とアビスパ福岡、数々の思い出があります。特にアビスパ福岡の選手が怪我等で足りなくなって、ミスターアビスパ、キングと讃えられる今年もキャプテンを務める城後寿選手が、急遽ゴールキーパーを任され、後半アディショナルタイムに、ロアッソ熊本に得点された試合は、私もスカパーで見ていて、心に残る試合でありました。

 

 

その地元ロアッソ熊本、ホームスタジアムうまかなよかなスタジアムは、支援物資の集配基地にもなっていて、また、住居が倒壊するなどして被災した選手もいて、とうてい試合や練習ができる状態ではないそうです。ロアッソ熊本は、最初の地震が発生して1週間した日、チーム内で集まれる人は皆集まって、クラブ側からの提案を聞きました。クラブ側では、熊本県内を出て、別に拠点を設けて練習そして生活を継続する方針を示したそうです。

 

しかし選手は、誰一人熊本を離れることに賛成しなかったのです。みんなに応援され、みんなが苦しんでいる、辛くて元気を無くしかけているこの熊本を離れることはできないと。選手たちは、練習場もなく、家族ともども被災した状態で、自身の生活もままならないのに、被災者の救援活動を行い、被災地の子どもたちとサッカー等スポーツに勤しむ姿が映し出されていました。

 

東日本大震災の折、プロ野球を開催するかどうかについて、当初選手会側と球団やリーグ側と意見は一致しておりませんでした。サッカーJリーグと違い、プロ野球の場合は、必ずしも地元地域と一体となっての意識は薄いのかもしれませんが、やはり現場すなわち選手たちの思いが生かされて、休止期間中にはさまざまな支援活動が行われ、こうして遅れて始まった公式戦は、被災者を勇気つけ、国民から支持を得たと思います。プレーする選手、ファン、地域が一体となっているのです。

 

ロアッソ熊本は、Jリーグディビジョン2で、今年は開幕から好成績を残していました。避難所を訪れた選手に対して、被災者から、1位だったのに、順位が落ちたことを問われる場面がありました。「被災者のことはよか、しっかりせんといかんばい!」と、返って激励されてもおりました。選手たちも、元気をもらったそうです。ロアッソ熊本は、5月15日のアウェイゲームから、リーグ戦に復帰すると発表されました。 地元に元気を、恩返しをの思いでロアッソ熊本の赤い魂は躍動 するでしょう。

 

 

さて、アビスパ福岡、福岡市を、そして九州を、さらに遠くで応援している私たちを、チョット元気にしてください。頑張っていますよ。私は、井原正巳監督を信じております。また、選手たちが真面目であることも。リーグ戦が開幕して、負け、引き分け、負けの繰り返しで7戦終えてまだ勝利がありません。熊本を応援することは素晴らしい。

 

でも、九州を、そしてファンを元気にするには、ソロソロやるべきことがハッキリしてきた気がいたします。そんな思いで、敗戦が決まった夜も、昨年の『昇格法被』を纏って床に着く変わらぬ日常です。

 

頑張れロアッソ熊本、頑張れアビスパ福岡!頑張れ九州!応援しています。

 

復興へのシンボル九州新幹線運行再開の報道に寄せて。

2016年4月27日

『つばめ』と聞いて、何を想像しますか。つばめは、鳥です。それは誰でも知っているでしょう。その『つばめ』 が、いろいろなとろて使われています。

 

例えば、店舗や企業の名前にも。東京に居ると、プロ野球球団を思い出す方も多いのではないでしょうか。 昔鉄道少年だった私は、『つばめ』と聞けば、列車電車を思い出します。そして、熊本地震の発生後、運行中止となっていた九州新幹線が、4月20日に鹿児島中央駅と新水俣駅間が、23日には博多駅と熊本駅間が運行再開となり、ゴールデンウィークのころには、全線復旧の見込みと報道されたことを受けて、『つばめ』に想いを馳せるのものです。

 

九州大好き人間にとっては、『つばめ』と言えば、九州新幹線です。 日本に鉄道が開通した当初は、以前交通博物館等でも保存されていたように、義経、弁慶、静号等と名付けられた鉄道車両がだんだん大型化し、また、線路が日本全国に繋がるようになると、列車の名前がたくさん必要になりました。鳥は空を、早く、颯爽と飛ぶことができるからなのか、戦時中から『つばめ』や『はと』はありました。戦後も、『つばめ』は、復興の証として、東京と大阪を結ぶ特急として再登場し、やがて電化とともに電車となり、そして東海道新幹線が登場したことにより、活躍の場が、西へ移るのでした。

 

東海道山陽新幹線が新大阪、岡山そして博多まで開通し、『つばめ』は、順次新大阪熊本、岡山熊本、博多西鹿児島間の特急となりました。そうです。『つばめ』は、長く熊本を通っていたのです。やがて九州新幹線が登場しました。九州新幹線と言っても、開通当初は、西鹿児島改め鹿児島中央駅と新八代駅の部分開通で、ここに九州新幹線『つばめ』が運行されたのです。

 

また、博多駅から新八代駅までは、九州新幹線につなげる意味で、『リレーつばめ』という特急が、もと博多西鹿児島間を運行されていたつばめ型車両を使って、運行されました。つまり、九州新幹線開業数年間は、熊本県内には、新幹線『つばめ』と在来線特急『リレーつばめ』のふたつの電車が走っていたわけです。 九州新幹線が部分開業だったこともあり、東京あたりでは、『つばめ』が新幹線として走っていることなど、ほとんど知られていなかったと思います。

 

その後九州新幹線が全面開業となった後も、東海道新幹線は、九州新幹線との相互乗り入れをせず、新大阪駅から一部列車が、JR西日本との共同運行により、西鹿児島まで運行されているものの、名称は、『さくら』『みずほ』でした。従って、『つばめ』は、博多駅より先に行かないと、目にすることができません。首都圏で暮らす人間は、『新幹線つばめ』』と言われても、ピンと来ないのではないでしょうか。現在は、『つばめ』は、九州新幹線博多から先の区間で運転されているものです。 でも、九州特に熊本県の皆さんは、『つばめ』こそ新幹線であり、愛着をお持ちだと思います。

 

『さくら』『みずほ』そして『はやぶさ』は、もとブルートレインすなわち夜行寝台特急でした。それが後に新幹線になりました。『つばめ』は、ブルートレインではなく、電車特急として長く活躍していて、九州内には無くてはならない、この地で暮らす皆さんの日常生活に浸透していた電車だったでしょう。

 

そのつばめ号が復活した!それは、震災から復旧のシンボルとなるのではとも思います。 私は、九州新幹線が鹿児島中央駅と新八代駅までの部分開業をしていた時期、何回か鹿児島から福岡に行くために、『新幹線つばめ』と『特急リレーつばめ』を利用したことがあります。

 

この『ひとりごと』を始める前、きさらぎ法律事務所旧ホームページ『よかとこ九州』でもご案内いたしました。

 

ふたつの『つばめ』と乗り換え駅新八代駅の様子など、写メにした記憶があります。九州新幹線全面開業後は、『つばめ』に乗車する機会がなく、少し寂しい思いがしておりました。熊本地震から復旧した新幹線つばめ、今年はぜひこれに乗車したいと思います。熊本地方の皆様のご健康と、被災地の復興を祈念いたします。

福本悟は、今年も、アビスパ福岡を、福岡市を、そして九州を応援し続けます。

2016年4月26日
きさらぎ法律事務所は、サッカーJリーグディビジョン1に所属する『アビスパ福岡』の法人後援会に登録されています。

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今年は、リーグ戦第6週を終えてまだ勝利はありませんが、この間行われたホーム2試合は、観戦しました。私は毎晩、昨年J1昇格を願って配られた『昇格法被』を寝巻き代わりに着用してベッドに入るばか者であります。もともとアビスパ福岡を応援しておりましたが、完全にハマったのは、昨年川森敬史社長、井原正巳監督になってからなのです。

ただし、その前の野見山篤社長、マリアンプシュニク監督のご努力、その積み重ねがあったことを忘れることはありません。債務超過で、ライセンス剥奪の危機を救ってくださったのは、『ふくや』さんをはじめとする多くのスポンサー、サポーターそして全国のサッカーファンでした。

そんなプロセスを経て、昨年川森井原体制ができ、その年の昇格プレーオフを制してJ1に復帰したこのチーム、だからこそ私たちサポーターは、特に今年に関する思い入れは大きいのかもしれません。川森社長、井原監督のお言葉態度には、とても学ぶところが多く、この『ひとりごと』でも、何回か書かせていただきました。

熊本地方を襲った地震の影響で、16日に予定されていたホームレベルブァイブスタジアムでのリーグ戦は、中止になりました。アビスパ福岡が震災後初めて試合を行ったのは、4月20日のヤマザキナビスコカップ第4戦ベガルタ仙台戦で、アウェイユアスタでありました。

結果は0対0でした。私は、昨年来試合後に、アビスパ福岡公式サイトに登載される井原正巳監督のお言葉に、注目と言うか、感じ入っております。一言で言えば、井原監督、選手を批判しないし、後ろ向きな発言をしない、まして、愚痴になるような言葉は一切発しないのです。

4月20日の試合は、熊本地震が起きた後にアビスパが行う最初の試合でした。井原監督、試合後こんなことを述べています。「熊本の大きな地震によって避難されている方や亡くなられた方も大勢いらっしゃいます。そういう方たちのために、九州代表として今日はしっかり勝って、また、少しでも勇気を与えたり、元気になってもらえればと、そういう気持ちを選手たちに伝えながらゲームに臨みました」と。

試合に勝利することはできなかったけれども、90分間選手たちはその気持ちを持って闘ってくれたと思う、相手となったベガルタ仙台さんも、『お互い気持ちの入った好ゲームだった』と選手たちを讃えてます。そしていつものように、次の試合のために、しっかり準備したいと思いますと結んでおられるのです。

私は、この試合を見たわけではありませんが、サッカー通の方からは、両チームに対する評価は、あるいは違うものがあるのかもしれません。井原監督がどう思っていたかではなく、どう発言したかがとても大切なことだと思います。まず、この日の試合の位置付け目標を、キチッと選手に伝えてあること、選手は、そのことはしっかりやっていたと認めること、そして対戦相手を讃えること、さらに『次への約束』をすること、パーフェクトではありませんか。井原正巳氏の発言を聞いて、嫌な気持ちになる方はいない思います。選手のプレーひとつには、サポーターや専門家からすると不満が残ることがあっても、この井原監督のお言葉を聞くと、納得してしまうのです。いつも怒ってばかりいる、まして選手や審判、相手チーム等に文句を言う指導者って、見ていて気分良いですか?

井原監督は、単に選手を褒めているのではありません。準備のことを繰り返し言われるとおり、やるべきことをやっていない場合には、厳しい態度で臨むと言われております。ただ、選手がやる気を失うとか、サポーターに不満が残るような締めはないのです。

だいたいその姿が格好良くて、優しく見えるのです。同業者?からも、評価が高いですね。私は、同性に好感を持たれる方は、人間的に出来た方だと思っています。

最近都内で開催されている福岡物産展で、福岡、九州の様子をお尋ねしました。福岡でも余震等の不安のある中、救援物資を集める等それぞれが、できることを行っているとのことですが、交通機関や企業活動にも影響があるようで、やはり元気がない感じだそうです。

のぼせもんが多い博多っ子ですが、『自粛』『不謹慎』の一人歩きはともかくも、やはりいつもとは違う雰囲気空気が福岡にも、あるいは九州全体にも包み込まれているのかもしれません。

そんなとき、積極的に、また、目立つように何かをするではなく、優しさを持ちながらもひとつ芯が入った井原正巳氏のもと、自分たちの与えられた場面に精一杯取り組む選手たちの姿を見て、そしてその結果を踏まえてなされる井原正巳監督のお言葉から、力づけられる何かを感じ取っていただくことがあるのではと思うものです。頑張れ熊本!頑張れ九州!そして頑張れアビスパ福岡!応援しています。

熊本地震後になされたある大分県の方の小さな声に思いを寄せて。

2016年4月25日
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東京あたりにいると、北海道も九州もまとめてひとつの感覚があって、熊本県に深刻な被害を発生させ、今なお止まることがない一連の地震は、九州そのものが危険のイメージを持たれるような感じがあります。確かに東京に居て、初めて北海道あるいは九州を観光しようとツアーを組むと、だいたい旅行会社は、2泊3日とか3泊4日で、道内また、九州各県をぐるっと回る行程を組むので、そんな感じを持たれるのかもしれません。

そこが、実際その地で生活する方々との認識の違いでしょう。

昔鉄道少年だった私は、地理に明るいと自負していて、九州は、全県行き来したことがありますし、今も地図を見たり、時刻表を読むのは好きです。熊本県が甚大な被害を受け、交通インフラが危うくなると、九州内ではどのような影響が出るのか、また、九州外からのイメージとの違いを考えてみました。

こんなことを書いても、被災者にはなんの励ましにもなりません。ただ、被災された方も、熊本が、そして九州全体が、いつまでも暗く沈んだ状況にあることを決して望んでおられないと思います。ですから、少しでも九州を知っていただき、日常を取り戻せるよう、遠くにいる私たちができることを行いたいと思うものです。

そこで今日は、主として地理面からの案内により、九州を知っていただき、一連の地震で、九州へ足を踏み入れることを躊躇している方がおられるのでしたら、是非九州に行って欲しい、そこで暮らす方々に、日常を取り戻していただきたい、加えてその地にお金を落として欲しいと思い、これを書いています。これはいわば九州観光へのヒントであり、震災支援活動のために九州、そして熊本には入られる方のための案内ではございません。


物資の搬送受け入れや、ボランティアの活動の場所等に関しましては、それぞれの公式案内をご覧ください。

決して熊本県の被災者を軽んじる意図はありません。ただ、数日前、大分県のある地域にお住まいの方から、大分だって、亡くなった方こそいませんが、ライフラインが止まり、人が来なくなり、厳しい状況に陥っていると遠慮がちの声が上がったことが、とても気になりました。


実際大分県別府市は震度6、由布市は震度5の地震に見舞われ、熊本県阿蘇地方と接する竹田市では、震度5クラスの地震が引き続き起きたと報じられました。それで北海道と並ぶ温泉県、九州随一の温泉地をいくつも持つ大分県にも、外からの人足は、ピッタリ止まったと言うのです。

現状で、熊本県に観光に行ってお金を落としなさいなんて言う人はいないと思います。映し出されるあの熊本城の様子が、現地の状況を物語っています。熊本県は、九州の真ん中、ここの交通機能が停止などすると、東西にも南北にも行き来するのは難しくなります。


4月20日現在の交通機能の状況ですが、九州新幹線は、博多から新八代まで運休です。また、九州自動車道も、熊本の手前植木インターから先の熊本県内は不通です。従って、福岡から熊本に行くには、在来線の鹿児島本線を乗り継ぐしかなく、たとえ熊本まで行っても、結局鹿児島までは行くことは至難の業です。でも、福岡鹿児島間には、航空機の利用ができます。同じく福岡、宮崎も、航空機が利用できます。被災地熊本は通過となりますが、福岡からなら、鹿児島と宮崎、なんとか行き来可能です。これが南北への行き方です。

次に東西ですが、熊本から阿蘇を通って大分に通じる豊肥本線は、阿蘇付近の土砂崩れで肥後大津と豊後竹田間が不通で、通称豊後街道と言われる国道57号線は、壊滅的被害を受け、ともにいつ復旧するか全く未定の状況です。


東西は、分断されたと言わざるを得ません。もっとも熊本大分間がダメなのであって、大分県には、福岡からでも鹿児島からでも、普通に行くことはできるでしょう。意外にも知られていないのは、大分県内での『困った状況』です。今日のお話のメインは、これです。

大分県には、日本を代表する2大温泉地があります。言わずと知れた別府と湯布院です。九州外から、温泉目当てで大分県に来る観光客は、別府と湯布院にそれぞれ1泊する慣わしだそうです。


ところが、別府と湯布院の間の大分自動車道が不通になっているのです。従って、福岡から大分まで、高速道路での行き来はできなくなっております。別府では7割くらい、湯布院でも半数以上の温泉宿は、通常営業しているとのことですが、別府湯布院は、2つで1つの感があって、九州外からの旅行客は、激減する予想なのだそうです。別府は湯布院を、湯布院は別府を共に案じる姿が放映されていて、心を動かされました。この際九州外のみなさん、まとめて2つではなく、どちらか1つでも行って差し上げませんかと提案いたします。

湯布院には、福岡から高速バスまたは久大本線が通っています。別府市には、小倉から特急電車が30分間隔で運行されています。例えば首都圏からなら、大分空港から別府、福岡空港から湯布院へ入ることができます。別府も湯布院も素晴らしい街です。

別府市内ならどこからでも目にするあのけむり、由布岳の美しさは、いずれも『日本の風景』であり、心が洗われます。別府と湯布院は、交通機能は分断されても、互いに互いを気にかけておられます。どちらかにでも行ってお金を落とせば、他方にも安心感が持たれるかと思います。そしてこんなことから少しずつ、九州が元気を取り戻し、今苦しんでいる熊本県の方々に、多少なりとも将来への希望となりうるのでしたら、嬉しい限りです。

私は、本田圭佑選手が言われたように、人から批判されることを恐れて普通のことをしないことはおかしと思います。積極的に活動することで、その中から、結果的であっても自分ができること、あるいは役に立ったなと思える事柄が見つかったなら、これも間接的な支援になるのではとも思います。


温泉地に行くことが不謹慎だなんて言われたら、温泉地で暮らす方々は、なんと思われるでしょうか。大分県の方の小さなほとんど取り上げられていない声から、思うところを書きました。近いところで大分県に、足を踏み入れたいと思っています。