事例 破産・債務整理 事例 離婚・男女問題

私は、接客業に従事しているものです。数か月前に、勤務先のお店のお客様であるAさんから、私に好意を寄せているという内容の手紙をもらいました。私にはお付き合いしている特定の女性はいませんでしたが、Aさんには後日お断りの返事をしました。 それから数日経ったころ、私の携帯電話に非通知の無言電話が掛かってくるようになりました。その数は一日に40件を超えましたが、Aさんには携帯電話の番号を教えたことはないので、その時はAさんだとは思っていませんでした。 時を同じくして、私の仕事帰りに待ち伏せするAさんの姿を目撃するようになりました。声を掛けると「話がしたい」と言います。 私は最初の2,3回はそれに応えていましたが、毎日毎日待ち伏せが続いたので、Aさんにはっきりと「お付き合いする気はない、もう待ち伏せはやめてください」とお願いしました。 すると今度は、私の勤務先のお店にいたずら電話が頻繁に掛かってくるようになりました。もちろんAさんが掛けてきているという確証はありません。ですがその後、私の自宅の前にたたずむAさんを見つけたり、私宛の自宅に届く郵便物に開封された跡があったり、近所中に響くような大声で私の名前を呼び続け、大家さんから鍵を借りて無断で私の部屋に入ろうとするなど、とても尋常ではないAさんの行動を目の当たりにし、無言電話やいたずら電話もAさんの仕業ではないかと感じるようになりました。 何度も「こんなことは止めて欲しい」とAさんに言いましたが、エスカレートする一方です。 警察に「ストーカーではないか」と相談しても相手にしてもらえません。 このままでは私は、外を歩くこともできません。何か良い解決方法はないのでしょうか。

(2013/02/12)

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無言電話やいたずら電話が、Aの仕業かどうかは別としても、Aは、ストーカーと認められます。

 警察は、未だご質問者の身体・生命に差し迫った危険は生じていないと判断しているのかもしれませんが、この事例で、警察が相手にしてくれないのは不当です。

 Aが、ご質問者に好意を寄せ、これが満たされなかったことに対する怨恨の感情を満たすべく、このような行為を継続していることは明らかです。

 平成12年11月24日施行されたストーカー行為等の規制等に関する法律で禁止される「つきまとい等」に該当すれば、警察署長による警告、さらに禁止命令が発令され(法4条,5条)、また、ストーカー行為をすること自体が、6ヶ月以下の懲役に処せられるのです。

 「待ち伏せ」(法2条第1項1号) 、「(住居・勤務先付近での)見張りや押し掛ける」行為、さらに「大声で名を連呼すること」も、ストーカー行為(法2条第1項2号,または4号)です。

 ストーカー行為は、申告罪ですから、Aに対し、処罰を求める場合には、刑事告訴が必要です。

 ちなみに、被害者に対して、住居等の平穏、行動の自由が著しく害される不安を覚えさせる方法による行為が繰り返される場合には、ストーカー行為と認められます。必ずしも身体・生命に対する不安の発生だけがストーカー行為の成立要件ではありません。

 次に、警察に依存せず、従って刑事上の手続を経ずに、ご質問者の判断で、対処できる手続をご説明します。

 Aの住所・連絡先(郵便物が届く場所)が判明している場合には、地方裁判所に対し、面談・接触禁止の仮処分の申請が有効です。この申立てがあると、裁判所は、Aにこれを通知し、『審尋』という言い分を聞く手続に入ります。

 Aが、一方ではまともな社会生活を送っている人間であれば、通常この段階で、弁護士に依頼するなどして、裁判所で、つきまといをしないことを骨子とする和解が成立します。

 Aが無視したとしても、2ヶ月程度で、裁判所からこれらを禁止する仮の措置が発令されます(これに違反すると、制裁金が課せられるケースが多い)。仮処分手続については、併せQ1をご参照ください。

 なお、「ストーカーではない」との判断があったとしても、何人も、正当な理由なくつきまといや待ち合わせ、見張りをしてはならないことは、各都道府県の条例に定められております。

 例えば、公衆に著しく迷惑を掛ける、暴力的不良行為等の防止に関する東京都条例では、6ヶ月以下の懲役又は、50万円以下の罰金に処せられることになります(同条例5条の2,8条1項2号)。

 さらに非通知の電話の発信先も、弁護士会会長を経由した手続をとることにより、把握することができます。まずは、弁護士にご相談ください。