事例 破産・債務整理 事例 会社・商取引に関する問題

当社は、首都圏ベッドタウンを中心に店舗を構えるスーパーマーケットです。当社は、独自の仕入れルートを有しており、良質な鮮魚を、手ごろな価額で販売するのが『売り』でした。 ところが最近、「魚がうまい」と知られる○○市に本店がある同業のA社が、当社の販売地域に進出してきて、より低価額で鮮魚を販売したため、当社は、苦しい立場に追い込まれました。当社は、対抗策として、A社の店頭に並ぶ商品より、低価額で販売しようと考えておりますが、社内で、「安売り合戦は独禁法に触れるのではないか」という意見が出されました。問題になるのでしょうか。

(2011/02/12)

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ご質問の趣旨は、良質の商品を安売りすることは、消費者にとって利益であるから、不当廉売として禁止されるはずはないということだと思います。

 しかし、貴社とA社が、継続的に、『安売り合戦』を繰り返していれば、貴社らの市場に、同業他社が参入することは、事実上不可能となってしまうでしょう。

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独禁法)は、市場における公正かつ自由な競争を維持・促進することにより、消費者の利益を確保しつつ、経済の健全な発達を確保する目的を有します。

 従って、貴社とA社のみが、市場を独占する状態は、長い目でみた場合、消費者の利益とはなりません。公正な競争を確保する必要があるのです。

 不当廉売として問題となるのは、価格そのものと、その影響といわれております。
たとえば、仕入価格を大幅に下回る価格で、相当長期かつ、大量に販売を継続するのは問題です。

 また、その影響については、不当廉売ガイドラインによれば、同業他社が、当該市場で、実際に事業活動が困難となるまでに至らなくても、規模や態様・商品の数量・期間等を考えれば、将来そのような結果になる可能性が高い販売(安売り)は、ガイドラインに抵触するとされております。

 要は、ケースバイケースですが、鮮魚のように、その性質上、品質低下を避けるために、安くしてでも販売しなければならないか、販売行為に公益性があるかなど、正当性も考慮されることはいうまでもありません。

 質問に対する回答としては、とりあえず、消費者や同業他社の動向を知るため、試験的に行うのは良いとしても、長期にわたり大量にこれを続けることは、避けるべきということです。

 貴社も企業である以上、利益確保は必要であるところ、万一品質が低下して、昨今聞く産地偽装や、作り置きの疑いをかけられたら不本意でしょう。