事例 破産・債務整理 事例 相続・遺言の問題

私の父と母は、20年以上もの間内縁関係にありましたが、籍は入れておりません。その理由は、父には長く別居中の奥さんがいて、離婚に応じてもらえなかったからと聞いております。実は半年前に父が死亡しました。父には本妻との間に子が1人いるそうです。この場合、私は父の相続人になるのでしょうか。

(2011/05/12)

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あなたがお父上から認知を受けていれば、当然相続人となります。

 認知を受けないまま死亡した場合はどうでしょう。この場合は、父が死亡した日から3年以内に、検察官を被告として、家庭裁判所に対して、認知請求訴訟を提起する方法によって、あなたは父から認知された、すなわち、実子として認められることが可能です。

 判決によって、父の子であることが認められると、法律上、非嫡出子となり、本妻との間の子の相続分の2分の1の相続分を取得することになります。

 認知というのは、人の身分関係を形成する、いわば公益に属することですから、公益の代表者である検察官を相手にして、裁判を受けることができます。

 もちろん検察官は、あなたがたの父子関係の『真実』は知らないでしょうから、裁判所は、あなたが相続人になることに、法律上、利害がある人に対して、このような裁判が、行われていることを通知します。

 実質上、この訴訟に参加するであろう、本妻との子が相手といえるかもしれません。もちろん、争点であり、証明されるべきは事実です。通常、鑑定などが行われて、最終的に裁判所が判断します。

 なお、非嫡出子の相続分が、嫡出子の2分の1とされている民法上の規定は、当の本人にとっては、どうしようもない事柄で差別されているというべきで、法の下の平等に反するという見解がかなり有力です。

追記(2018.8.21)

「その後民法が改正され、嫡出子と非嫡出子の相続分は、同じとなりました」