事例 破産・債務整理 事例 相続・遺言の問題

郷里で生活する私の母が、先月死亡しました。 既に父は亡く、母は、父の農業を継いだ兄の家族と生活しておりました。 私には、兄と妹がおりますが、この3人で、今、相続の話が出ております。母は、父から相続した土地建物で、兄一家と暮らしており、母の預金は、200万円あったそうです。 ただ、母名義の上記物件以外に、母は、父から相続した別の土地を、兄名義で登記したということです。私の妹は、兄はもらいすぎというのですが。 なお、母名義の物件は500万円くらい、兄名義の土地は200万円くらいの価値があるようです。

(2011/06/20)

>> 一覧に戻る

相続人は、3人で、法定相続分は均等ですから、お母様に相続が発生した当時の名義を前提にすると、500万円の不動産と、200万円の預金があったので、これを均等に分けるには、どうすればよいか、という問題と思われがちです。これを、『遺産分割』といいます。

 もちろん当事者3人で、いかように話し合ってもよく、合意ができれば、それで構いません。これに従って、預金の引出しや、不動産の名義移転(変更)の登記手続に進みます。

 しかし、「相続財産とは何か」という問題があるのです。すなわち、相続人の中に、被相続人から生前贈与を受けた者があるときは、その相続が開始された時点で存在した財産の価額に、当該贈与の価額を加えた額を、相続財産とみなします。

 要するに、相続財産の前渡しがあったとの考え方で、これを『特別受益』といいます(民法903条)。

 従って、本件では、相続財産は、お兄さんに対して贈与された200万円が概念上戻って、トータル900万円となるので、各自300万円相当の権利があるということです。

 そして、もしお兄さんが、現在住んでいる500万円相当の土地を相続取得したいとの意向でしたら、計算上は、取り過ぎになった200万円を、他の相続人に支払ってあげるという理屈です。

 ただし、200万円を作るために、生活の本拠を売却しなければならなくなるなどの事態は、お気の毒とも思えます。

 そこで、遺産分割の話し合いがうまく進まないときは、家庭裁判所で、調停、又は審判という手続が行われ、その場合、遺産の状況,性質,各相続人の年齢・職業・生活の状況等一切を考慮しなければならないとされております(民法906条)。

 まずは、弁護士に相談することが第一です。なお、お兄様の立場では、『寄与分』(民法904条の2)のご主張があり得るでしょう。このことも、専門家にお尋ねください。