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相続・遺産分割に関するご相続を受ける弁護士の姿勢について

(2022/03/27)

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相続に関する初回相談をお受けするとき、たいてい相続人のうちお一人がいらっしゃいます。

 

 相続人が一人なら紛争は生じません。また相続人が2名で、両名間に争いがあって相談に来られた場合は、相談者(依頼者)と相手方が当事者ですから、相談者の希望を承り、その実現可能性とプロセスをご説明すればよいのです。

 

問題は、複数の相続人、要は3人以上の相続人がいて、その中のお一人から相談を受けた場合です。

 

例えば、父の相続が発生し、相続人は母と弟というケースで、遺言はなく、相続財産は預貯金と父母が住む土地建物だったケースで、「兄」から相談を受けた場合を例にします。

 

相談者である兄は、不動産はそこで生活する母が相続し、自分は預貯金を相続したい希望があり、加えて「弟も同じ考えだ」と言った場合です。

 

この場合、弟が本当にそのような希望があるかはわかりません。仮に、兄が弟から「兄貴に任せる」と言われたと説明しても、それだけで兄弟両名から委任を受けることはありません。

 

いつも申しますとおり、必ず「依頼者」と面談して、委任契約を締結することは当然です。

 

これに加えて相続の場合、兄弟間で、相続人間で利害が対立する可能性が常にあるからです。例えば、後になって「弟」が、自分も不動産が欲しいと言うかもしれません。また実は「兄」には、母から少なくない生前贈与がなされていたと発覚するかもしれない。

 

つまり仮に弁護士が、兄弟両名から依頼を受けた場合、両人間に対立が生じれば、職務遂行が不可能となってしまいます。

 

私は、相続・遺産分割事件で、複数の相続人がいる場合は、その中のお一人と委任契約を締結します。とは言え、そういう理屈はわかっていただいても、利害対立が生じる恐れがほとんどない場合で、絶対にそうしなければならないのは、ある意味法的サービスに欠けます。

 

このようなケースでは、私の知り合いの弁護士をご紹介することがあります。

 

また、私が複数の相続人から――当然面談打合せをした上で――委任を受け場合でも、当然委任契約はそれぞれ締結しますし、費用もそれぞれ頂戴します。

 

また最後まで利害対立なく、例えば遺産分割調停が成立するときでも、了解いただいて調停成立の場で、両人又はどちらかの手続代理人を――調停調書上――辞任したかたちにするなど、諸々の手当をいたします。

 

私が相続・遺産分割事件を担当してしばしば目にするのは、相手方は複数いるのに同じ代理人が就いているケースで、これはその中のある一人の考え希望で進められているケースです。

 

例えば先の例で、私の依頼者が兄、相手方となる母と弟には同じ代理人弁護士が就いている場合、相手方代理人より不動産を売却処分したい旨申し出られたとします。その場合、果たして母は、居住する不動産を手放すこと、他所で生活することを本当に望んでいるのだろうかの疑問が出てきます。

 

これは弟の意思によって進められているのではないか、母は本当に、理解しているのかという疑問です。

 

母がある日、「不動産を手放したくない」意思を表明したら、母と弟の両名から委任を受けた弁護士は、辞任しなければなりません。つまり、最初からやり直しです。

 

最初に戻ります。初回無料相談にお越しになる方は、たいていお一人です。

もちろんそのお一人のために回答し、ご助言し、より良き方向性をお示しします。加えて、「他の相続人は、どのようなお考えですか。」と尋ねます。

 

他の相続人からも、お話を伺うことはいたします。それぞれの意思を希望を確認し、弁護士として、やはり最初に相談に来られた方のみの代理人を務めさせていただくことを申し上げることがほとんどです。

 

一般的に、紛争を解決しようと動いた方の意思は固いと思われます。「誰かに任せた」をそのまま信じ受け容れて、よい仕事ができるとは思われないからです。

 

ある意味相続は、早く動いた人の勝ちとなることが往々にしてあるのです。また、先送りはいけません。

 

相続・遺産分割に関する相談は、早めにおこなうことをお勧めいたします。