家事事件の代理人として一番困難な事案は、『面会交流』です。
(2021/01/25)>> 一覧に戻る
離婚・男女問題を数多く担当させていただく過程で、一番苦労し、裁判所の理解不足・非力を痛感するのは、「面会交流」です。
「面会交流」とは、別居や離婚により未成年の子と離れて暮らす親(これを非監護親と言います)が、子と同居する親(これを監護親と言います。離婚後は、ほとんどの場合親権者となっています)に対して、子どもと会う機会を設けてほしいと求めるもので、「面接交渉権」と言う人もいます。もっとも面会交流は、「子の利益」のために行なわれるものであり、非監護親の当然の「権利」のごとく捉えることは誤りです。
未成年者は、特に年齢が低いときは、両親の不和等で片方の親と離れる場合は、母親が監護養育するケースが多い実情にあります。今回は、その原因・理由や是非は申しません。
そこで大抵の場合は、父から母に対して、「子どもに会わせてほしい」と求められることになる例です。このとき親は親、親と子の関係は別だと言われます。面会交流の必要性を言われるのです。子を監護する親も、一応はそう言います。しかし、実際面交を行わなければならない具体的状況に至ると、なかなか実行されない現実があります。
もともと別れた、別れる者同士であり、信頼関係がないのが前提です。私も相手を信頼しろとは、どちらの立場にある依頼者に対しても申しません。
しかし、あなたは変わらなければならない。そうすれば相手も変わるとは申します。
私は、非監護親・監護親いずれの立場の代理人も務めます。ただ基本は、親が別れても親と子は別れられない。分かれてはならないという視点です。
それはDVや虐待など、面交禁止または制限事由が認められるケースでも、「なんとかして」「可能な限度で」「工夫して」「いつの日にか」親子の面会交流ができるよう、少しずつ時間をかけて行うということです。
これらの事柄、私の経験したところ、そして調停等司法の現状の報告も兼ねてこれからお話してまいります。