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親権・監護・面会交流に関する家裁の実務について

(2022/04/12)

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――全て代理人弁護士としての経験から(総論)

以前から申し上げておりますが、家庭裁判所に係属する案件で、当事者間に合意が成立し、あるいは審判等によって裁判所の判断が示され、決定した内容について実効性に乏しい、つまり実現可能性に問題が残るのは面会交流、いわゆる非監護親の未成年の子に対する面接交渉です。

 

離婚事件を終結に向かわせることよりも、遥かに困難と実感します。そもそも子の父母には峻烈な対立があり、確かに子には葛藤が生じています。ゆえに、それを理由に子を監護する側(たいていは母親)は、面会交流に消極的です。

 

曰く、「子が落ち着いていない」「会いたいと言えば会わす」、さらには、子の福祉の観点から慎重にしたい等々。

 

これは監護親である自分の気持ち、主張を、子の考えや子の利益だと言い換えているに過ぎません。子は、あなただけが親ではない!

 この限度では、家庭裁判所も一応わかっております。会わせたくないから、もっともらしい理由を監護親は挙げていることを。

 

面会交流に関しては、確定した審判があります。結論だけ申せば、「面会交流の禁止、あるいは制限事由がない限り、監護親は、面会交流をさせなければならない」のです。

 面会交流そのものを、およそ禁止しなければならない具体的事例はちょっと浮かびません。子と面会した瞬間に非監護親が、子に対し確実に危害を加えることが明らかと認定されるようなケースでしょうか。

 

面交制限事由とされるのは、例えば同居中非監護親が、子に対し暴力・暴言があった、同居中父母の間に、相当激しい暴力・暴言があり、子が影響を受けていた、非監護親が子を連れ去った(連れ去ろうとした)、非監護親が別居後も、ストーカーのように違法性が高い行動をしているようなケースです。これも審判例にいくつか要件が現れておりますので、興味のある方は検索してください。

 しかし注意を要するのは、このような面交制限事由が存在しても、面会交流そのものは――制限を受けた範囲内で――実施させなければならないことです。

 

例えば、FPICと呼ばれる第三者機関の支援を受けるとか、当事者代理人が受け渡しや連絡調整を担当するなどです。

要するに、面会交流は、させなければならない。監護親は、様々な理由を挙げて、これを回避しようとしますが、面交そのものは必ず実現させなければならない結論は変わらないのです。ですから監護親の代理人となる弁護士の力量は、大きいと言わなければなりません。

 

私も監護親を説得します。しかし、私に離婚事件等を依頼される方は、既にわかっておりますから、面交を渋る人はおりません。離婚がスムーズに進む要因でもあります。

 しかしながら非監護親側で離婚事件に臨むとき、しばしば面会交流に難儀することがあります。

 

その原因の最たるものは、監護親代理人が熱心ではなく――逃げ腰であること、もっと言うなら面交をさせたくない――本音はほとんどの方がそうです――監護親の言いなりになっていることです。

 それに加え、どうしても言っておかなければならないことがあります。

 

それは家庭裁判所が、裁判所を離れた後の現実を見ようとしないこと、さらに調停等で面交がうまく進まないときは、決まって非監護親の「悪いところ」を持ち出し、これを理由に監護親がその気になれないかに同情、もしくは言い訳することです。

 

私は、しばしばこの場面に遭遇します。そして、調停委員会や裁判官に言います。「裁判所はなめられている!」と。

 面倒なことは誰だって、本当はやりたくない。これが明確に出るのが、面会交流事件です。これから調停手続やその後の現実から、いくつか例を出してご説明します。

 それでも絶対に諦めない、子と離れた場所で暮らすあなたが子を愛し、大切に思うなら、必ず面交は実現させなければならない。←その必要がない、その気持ちが失せたなら話は別です。

 

そのためにどうすべきか、一緒に考えていきませんか。