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離婚したいのにうまく離婚できなくなる経過(1)

(2022/03/28)

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私たち弁護士が離婚事件に関わるときは、当事者間での話し合いが無理となっている、あるいは当事者の双方か一方が、直接その相手方と話をしたくない、できない状態に至っているケースです。

 

長くこの種案件に関わっておりますと、「うまくいかなかった」ケースもあります。具体的には、依頼者との委任契約を解消せざるを得なくなったケースです。端的に言えば、私の失敗例です。

 

もちろんそのケースでは、依頼者なりの言い訳はあります。ですから、信頼関係がなくなった故に、合意解約する対応がほとんどです。

 委任契約書には、依頼事項の処理を不可能とした場合、例えば代理人弁護士の了解なく、直接相手方とやり取りしたケースなどが書かれております。

 

このようなケースは、主に2つの場面で生じます。これは、30年以上弁護士の業務に携わった者の経験です。

 

一つは、委任契約締結後、比較的早い時期に訪れます。私は、弁護士が入った直後には、必ずリアクションが起こると申し上げます。人間予想もしないことが起こると、合理的な行動が取れなくなる、咄嗟の思いつきで、その場を逃れようとする習性があるからです。

 別居したときの置手紙にも、当然受任弁護士からの通知書にも、これから弁護士が代理人となって離婚のお話を進めるので、直接本人には接触しないよう申し出が書かれています。

 

しかしこれを見たら、もはや直接やり取りできなくなる、これまでのように、自分の手のひらに乗せておくことができなくなる故に、「未だ見ていない」フリをして依頼者本人に連絡し、たらしこもうとする例です。

 

これまでと打って変わって、丁寧に優しく、何でも話を聞くかの態度で迫ることが多いようです。そして、弁護士が入ったらお金がかかるし、裁判とかになれば時間がかかることとか。こういうアプローチがなされるであろうことは、予め依頼者にはご説明してあります。

 しかしそれでも、まんまと相手方に乗せられてしまう人がいる。自分たちで解決できますと。加えて、弁護士さんに頼むと面倒になるから、などと言われることもありました。

 

さらに手の込んでいる例がありました。別居した私の依頼者の子のラインに、しつこくメッセージを寄越し、入口は子どもを大事に思っている、心配ないからから始まり、ついで代理人弁護士である私を非難し――話をしたこともないのに――とんでもない奴だと言い、子どものために話し合いをしようとか、子どもは関係ないから、これからもここに連絡するとかやる例でした。

 

実は、4~5件あります。そのうち1件は、まんまと相手方の誘導に引っ掛かり、委任契約解消を余儀なくされました。それで話し合いが無事にでき、離婚できれば良いことでありますが。

 他の例は予想の範囲内で、「なんともみっともない」「バカな人だ」で終わっています。そしてこの後、こんなことをした相手方には、自らを追い込む終結がもたらされたのでした。

 

本日は、一つ目のケースのここまでご紹介いたします。