離婚の要求を拒絶し続けることの勘違い(その1)
(2022/03/26)>> 一覧に戻る
離婚を求められて、離婚をしない理由はいろいろあります。
いちばん多いのは、理不尽な要求であること、また自分には、離婚を求められるような理由・原因はないというものでしょう。
このような不当な納得のできないことを言い放たれても、なおそんなパートナーを心から愛していると思える方については、そのような気持ちが失せるまで、私からは何をしようとは申しません。
この状態が継続することで自ら考え、自分の幸せのために何をすべきなのか考えられるようになりましたら、私の出番となるでしょう。
次に見られるには、離婚しなくても、つまりパートナーの要求に応じなくても特に困らないケースです。
例えば、パートナーは家を出ましたが、住む家のローンはパートナーが支払っているし、それなりの生活費も送ってくるなら、あるいは同じ空間に留まらず、嫌な空気が生じなくて返ってよい状態かもしれません。
この状態の延長上に、別居期間が長くなると、離婚請求は認められやすいという説明がなされる例です。
実際別居期間が相当長くなった時点で、パートナーに弁護士が入るとか、調停の申立てを受けるなど動きがあって、もう離婚しても仕方がないかなと感じられる方も少なくないと思われます。
ちなみに、離婚が――裁判手続上――認められるかどうかは、別居期間など現実にはほとんど影響はないです。この部分を誤解し、また実務と違う回答をする弁護士が少なくないことは問題です。
ここはこれまで何回かお話してきましたし、これからも別途お話することがあるでしょう。要するに、「離婚したい」ブレない気持ちと受任弁護士の対応によることです。
さて本日は、「そろそろ離婚してもよいかな」と思われた方が、そのような判断をそのときになって行ったことが、「こんなはずではなかった!」と思うことがないよう戒めとなるような例を出して、考えていただくこととしたいです。
すなわち結構勘違いがあり、その勘違いを弁護士等から指摘して、「やはり離婚しない」と固まってしまうことで、さらに先送りする誤りが生じることが少なからずあるのです。
実際の例として、こんなケースがありました。夫から離婚を求められた奥さんは、頑なに離婚を拒絶しています。いろいろ言うのですが、その中に「あと数年で住宅ローンは完済になる(だからそれまでの生活を保障して欲しい)。」という考えがありました。
このケースは、夫はローンや管理費を支払い、かつ相応な生活費も送っています。奥さんは無職無収入ですが、全然困っていないのでしょう。つまり、このままの生活が維持できると考えているのでしょう。
ここに大きな落とし穴があります。次にこれを述べていきます。