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離婚を決意した人が「やってはいけないこと」――思いつくままに

(2021/10/20)

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私は若いころ、絶対離婚をしたいと願う人に対して、よく申し上げたことがあります。

 財産やお金の方に気持ちが向ったら離婚できない。

 これは、夫・妻どちらの立場でも同じです。もちろん絶対に離婚するという心構えを言ったもので、財産分与の申立てなどしないという意味ではありません。誰だって離婚する、しないに関わりなく生計は大事です。

 

お金や財産が気になって、離婚の気持ちがブレることがある。しかし、絶対に離婚するとの気持ちがブレなければ、お金なんて後からついてくるのです。

 そうは言っても、イメージがつかめないかもしれません。

ここでは、もとご依頼者の「相談者の声」などをご参考いただくなど、お願いするしかありません。

 それに経験を重ねるに従い、本当に決意が固い人ほど、ブレない人ほどお金や財産がついてくると実感できました。

 

むしろ年々気になるのは、「外野の声」です。

 

かなり前にも、このことには触れました。具体的には、親族・友人・上司等が、あれこれ口出ししたり、依頼者・相談者がそちらをチラ見することです。

 

依頼者が、そんな心境になったのは、実は、弁護士と依頼者の間の信頼関係に、問題が生じたことを意味します。依頼者は、不安・心配なのです。

 率直に言って、これも最近感じ取られるようになりました。

 そもそも離婚したい人は、一番近いところにいた人に対する信頼を失った人です。頼りたい人・信じたい人・大切だった人に、裏切られたと思っている人です。

 

そういう人の依頼を受けるには、安心・信頼は基本中の基本です。どうやってそれを築くか。

 これは話を聞く、顔を合わせる、じっくり時間をかけることだと思っています。

 先程依頼者が、外野の声を聞くことについて言いました。それは、解決を遅らせ、また困難にし、よいことはほとんどありません。

 

しかしなぜそうなるのか。それは、依頼を受ける側の私たち弁護士の配慮のなさや、何となく話しにくい、近づきにくいと思われてしまうこと。

 つまり、心配・不安な人に対して、知らず知らずのうちに、バリアを設けてしまうことだと思っています。

 

これは、経験を重ねた末の私の反省です。

 外の人に話を聞いてもらいたいということは、一番近い位置にいる依頼した弁護士が、実は話を聞いていない証です。最近このことが、わかるようになりました。

 ならばどうする。何でも話してくださいでは解決しません。次回以降、私なりに心掛けることを、少しずつ書いていきます。それは反面、離婚を決意した人が「やってはいけないこと」と表裏の関係でもあるからです。