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離婚調停がなかなか進まないと感じる理由

(2022/04/12)

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話し合いによる離婚ができないときは、家庭裁判所に調停が申立てされます。

 

調停委員会(民間から選ばれた調停委員2名)が現実に担当し、主任裁判官が統括します。調停が開かれる日、つまり調停期日は、1ヶ月半から2ヵ月の間に催行される例です。

 この期日が空くのは、調停室の確保、調停委員や代理人弁護士の都合にもよりますが、調停期日間に「宿題」が出たり、準備し、調べなければならない事柄があることも理由になります。

 

例えば財産分与の場合、不動産の評価額やローンの支払方、養育費の場合、在学校・進学予定先の学費を調べる必要があります。

 

また「宿題」は、調停が熟した時期に出されることが少なくありません。

例えばいくら受取って、いつ物件から退去するか、あるいは相応の負担をして、一定時期まで住み続ける選択をするかなどです。

 この期日間の準備・調整が、代理人弁護士にとって重要です。相手方の協力を得なければ、対応できない内容もあります。

 

特に、どのような調停案を出すか、どのような調停条項案を用意するのかは、特に私がお引き受けする事案では大切なことでもあります。しっかり構成し、事前に相手方代理人に示し検討してもらって、調停期日を迎える必要があります。

 このような流れは、時間が経過するように見えても、確実に解決に進んでいます。依頼者も実感していますから、終結は間近です。

 

しかしながら、単に時間ばかり経過している、あるいは同じことの堂々巡りに遭うこともあります。依頼者もイラっとくることがあります。

 これは宿題をやらない、準備をしてこないことが原因となることが多いです。

特に、代理人が就いていない、本人だけが調停に出てくることに顕著です。

 

これに加えて調停委員が、前回期日で行われたこと、自ら告げた内容(宿題等)を正確に説明しない(できない)ことでも拍車がかかります。

 

少なくとも離婚事件で、弁護士に依頼したいが、弁護士が就かないというケースは考えられません。費用が問題なら、分割払いなど応じる弁護士がほとんどですし、さらには法テラスによる立替制度もあります。

 

もっとも、どうしても100%自分の要求を通さなければ済まない人が相談した弁護士の助言・指導に従わないために、引き受け手がないことはあるかもしれません。

 

そして、そういう人こそ調停の相手方となると厄介で、時間を要します。しかし私は、そういう人には慣れています。私の依頼者も、よくわかっています。

 

問題は、いつになっても調停委員がはっきりしない、毅然と対応しないことにあります。調停委員は、どちらの味方でもない中立だと言うのは、実務の場ではなく、教科書・ネットでの話です!

 

調停委員は、あくまで裁判所の立場です。無理難題には、少なくとも法的に成り立ち得ないことまで、黙って付き合うべきではありません。

 

調停委員が出した宿題がありました。もうこの1点についてイエスかノーを答えることで、調停が成立するか、あるいはもうこれ以上やっても成立の見込みがないケースがありました。例えて言えば、相手方は、100万円を受け取って、離婚するかしないかを答えればよかった。

 

ところがこの宿題について、イエスもノーも言わない。しかし納得できないと言う。その理由は、これまで検討し、議論し、調整されてきたところと同じことを挙げている。離婚したくないなら、単に宿題に対してノーと言えばよい。

 

このような状態のとき調停委員は、公平だか中立だがわかりませんが、最初に戻って延々とこの人の話を聞く。こちらに対しては、これこれ言っているので難しいと。

 

違うでしょう。単に宿題に対する答えがこれだったから、調停成立(離婚)は難しいと説明すればよいのです。

 

調停委員がこうであったなら、相手方は、自分の話に乗ってくれたと思って、どんどんはずれた方向に行ってしまう。これでは調停を続ける意味がありません。これまで時間をかけた意味は、なかったとなります。

 私はよく調停委員(裁判官にも)に言います。離婚に限ったことではありませんが、あまり相手の話、理不尽な調停の進行と関係のない話は聞かないようにと。

 

さらに言います。調停がナメられないように対応してほしいと。調停委員は、常に最後まで緊張感を持ってやってほしい。調停がダラダラ続く原因の1つとして、調停委員が無駄な話に付き合うこともあるのです。