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面会交流を現実化するために(その1)

(2021/02/03)

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家庭裁判所に係る実務で、最も『実効性』が難しいのは面会交流です。

 ここに実効性と書いたのは、仮に調停が成立し、また審判が確定しても、そのとおりに面交が実現するとは限らないからです。

 

 未成年の子と離れて暮らす親、これを非監護親と言いますが、子を監護する親が協力しなければ面交は実現されません。幼い子どもが非監護親のもとにひとりで行き来することはありませんから。

 

 それと裁判所は、調停委員会も含めて言うことは立派で正しいが、司法手続を離れた後の面交の実情については、ほとんど理解しておりません。理解しているとしても、司法手続以外の事柄に、手を差し伸べてくれません。弁護士が必要な理由が、ここにもあります。

 

 弁護士が当事者の代理人として関与しない調停や審判では、本質的に子を別れた非監護親と会わせたくないと考えている監護親は、この場さえ切り抜ければよいと思っています。昔は、「子が会いたいと言えば会わす」というふざけた答弁が少なくなかったのですが、最近では「裁判所で決まった(決められた)ことは守る」というものが見受けられます。

 

 こんなケースで、「月1回、日時・場所・受渡しの方法は、子の利益を考慮して当事者誠実に協議して決定する。」程度の調停条項や、審判にされるのがオチです。協議協力なんかするはずがない。

 

 私は、裁量の余地のない面会条項を作成合意しなければならないと、常々申しておりました。当事者が「協議」するまでもなく、いわば機械的に行うかたちです。

 

そして最近では、監護親が逃げられない、拒否できない面交条項又は審判決定を得ることを希求しています。

 

裁判所は、間接強制が可能となる条項や審判を嫌います。

間接強制とは、「・・・のかたちで面交させなければならない」と定めたうえ、もし監護親がこれを守らないときは、地方裁判所に強制執行の申立てをし、これを受けた裁判所が、「・・・しないときは、不履行1回について金〇〇円を支払え」などと命じ、心理的に面交をせざるを得ない状況を作ることを言います。

 

この間接強制ができれば、できるような審判となっていれば、実行可能性は高まります。しかし家裁は嫌がります。一度もしたことがないと言って、憚らない裁判官もおりました。

 

とするなら間接強制によらず、事実上監護親が面交実行から逃げられない条項や、審判を求める必要があるのです。ここ数年の間に私は、何回かこれを経験し、獲得してきました。折を見てその実務をお話ししたいと思います。

 

まずは面交を求めながら、あるいは面交ができる調停・審判がありながら実現できない非監護親の方は、どうぞご相談にお越しください。