事例 離婚・男女問題一覧

結論から申しますと、元夫の主張は、法的には正しくありません。現在、未成年者を監護しているご質問者は、元夫に対して、養育費の請求ができます。

 養育費とは、未成熟子が、独立の社会人として成長・自立するまでに要する費用を意味します。衣食住はもちろん、教育費・趣味・娯楽の費用も含まれます。

 一般的には、子が成人に達する月まで、養育費の支払義務はあるとされます。これを調停手続等で請求したときから、『過去分』も支払いを求めることができますが、さらに、離婚や別居成立時まで遡って請求できるとされた裁判例もあります。

 この義務は、自らの生活を保持するのと同程度の生活を、被扶養者、つまり、未成年の子にも保持させる義務といわれます。従って、無職・無収入で、かつ、多額の債務を抱えていたとしても、自らの生活が維持されていれば、この義務を免れることはできないのです。

 また、元夫が、仮に、破産後免責決定を受けたことがあっても、つまり、過去の借金(債務)は支払わなくてもよいと裁判所で認められたとしても、養育費については、『非免責債権』とされ、これの支払義務を免れるものではありません。

 要は、元夫に労働能力があれば、現在収入がないとの一言をもってしては、養育費を支払わなくてもよいとは認められないということです。

 元夫に余力があるか、どのような方法で、いくら支払うべきかなどは、家庭裁判所の調停手続の中で、順次、検討・解明されていくでしょう。ですから諦めず、調停等の次の手続の進め方について、弁護士に相談することをお勧めします。

私は、接客業に従事しているものです。数か月前に、勤務先のお店のお客様であるAさんから、私に好意を寄せているという内容の手紙をもらいました。私にはお付き合いしている特定の女性はいませんでしたが、Aさんには後日お断りの返事をしました。 それから数日経ったころ、私の携帯電話に非通知の無言電話が掛かってくるようになりました。その数は一日に40件を超えましたが、Aさんには携帯電話の番号を教えたことはないので、その時はAさんだとは思っていませんでした。 時を同じくして、私の仕事帰りに待ち伏せするAさんの姿を目撃するようになりました。声を掛けると「話がしたい」と言います。 私は最初の2,3回はそれに応えていましたが、毎日毎日待ち伏せが続いたので、Aさんにはっきりと「お付き合いする気はない、もう待ち伏せはやめてください」とお願いしました。 すると今度は、私の勤務先のお店にいたずら電話が頻繁に掛かってくるようになりました。もちろんAさんが掛けてきているという確証はありません。ですがその後、私の自宅の前にたたずむAさんを見つけたり、私宛の自宅に届く郵便物に開封された跡があったり、近所中に響くような大声で私の名前を呼び続け、大家さんから鍵を借りて無断で私の部屋に入ろうとするなど、とても尋常ではないAさんの行動を目の当たりにし、無言電話やいたずら電話もAさんの仕業ではないかと感じるようになりました。 何度も「こんなことは止めて欲しい」とAさんに言いましたが、エスカレートする一方です。 警察に「ストーカーではないか」と相談しても相手にしてもらえません。 このままでは私は、外を歩くこともできません。何か良い解決方法はないのでしょうか。

(2013/2/12)

無言電話やいたずら電話が、Aの仕業かどうかは別としても、Aは、ストーカーと認められます。

 警察は、未だご質問者の身体・生命に差し迫った危険は生じていないと判断しているのかもしれませんが、この事例で、警察が相手にしてくれないのは不当です。

 Aが、ご質問者に好意を寄せ、これが満たされなかったことに対する怨恨の感情を満たすべく、このような行為を継続していることは明らかです。

 平成12年11月24日施行されたストーカー行為等の規制等に関する法律で禁止される「つきまとい等」に該当すれば、警察署長による警告、さらに禁止命令が発令され(法4条,5条)、また、ストーカー行為をすること自体が、6ヶ月以下の懲役に処せられるのです。

 「待ち伏せ」(法2条第1項1号) 、「(住居・勤務先付近での)見張りや押し掛ける」行為、さらに「大声で名を連呼すること」も、ストーカー行為(法2条第1項2号,または4号)です。

 ストーカー行為は、申告罪ですから、Aに対し、処罰を求める場合には、刑事告訴が必要です。

 ちなみに、被害者に対して、住居等の平穏、行動の自由が著しく害される不安を覚えさせる方法による行為が繰り返される場合には、ストーカー行為と認められます。必ずしも身体・生命に対する不安の発生だけがストーカー行為の成立要件ではありません。

 次に、警察に依存せず、従って刑事上の手続を経ずに、ご質問者の判断で、対処できる手続をご説明します。

 Aの住所・連絡先(郵便物が届く場所)が判明している場合には、地方裁判所に対し、面談・接触禁止の仮処分の申請が有効です。この申立てがあると、裁判所は、Aにこれを通知し、『審尋』という言い分を聞く手続に入ります。

 Aが、一方ではまともな社会生活を送っている人間であれば、通常この段階で、弁護士に依頼するなどして、裁判所で、つきまといをしないことを骨子とする和解が成立します。

 Aが無視したとしても、2ヶ月程度で、裁判所からこれらを禁止する仮の措置が発令されます(これに違反すると、制裁金が課せられるケースが多い)。仮処分手続については、併せQ1をご参照ください。

 なお、「ストーカーではない」との判断があったとしても、何人も、正当な理由なくつきまといや待ち合わせ、見張りをしてはならないことは、各都道府県の条例に定められております。

 例えば、公衆に著しく迷惑を掛ける、暴力的不良行為等の防止に関する東京都条例では、6ヶ月以下の懲役又は、50万円以下の罰金に処せられることになります(同条例5条の2,8条1項2号)。

 さらに非通知の電話の発信先も、弁護士会会長を経由した手続をとることにより、把握することができます。まずは、弁護士にご相談ください。

ご質問の内容は、財産分与の問題です。財産分与とは、『夫婦が婚姻生活を送っている間に協力して、形成・維持した財産を分ける』ことを意味します。

 夫婦で築いた財産と言っても、通常、片方の名義になっておりますから、これを「清算して分ける」ということです。財産分与に際しては、扶養的要素・慰謝料的要素も含まれると言われることがありますが、基本は、『清算』です。

 さて、実質的には、夫婦二人の財産の清算ということからすると、夫が、妻に対して渡す生活費の中から、妻が節約に努め、『万一のため』に貯蓄していた金銭(または現金)は、夫婦の共同生活を維持するために蓄積されたものと見るべきで、従って、原則的には、ヘソクリは、財産分与の対象となります。

 ただ、夫は、別に小遣い銭をもらって、自由に使っていた、だから妻に渡す金銭(または現金)のうち、いくらかはご自由に、という実態があれば、ヘソクリ分は、夫の妻に対する贈与と認められ、全額妻が受取ってよいという理屈になります。

 退職金が支給され、現金となった時点で離婚となった場合には、かかる現金もしくは預貯金が、財産分与の対象となることは明らかです。夫が長年働くことができたのは、妻の貢献があったからこそです。

 財産分与の請求は、離婚後2年間は可能ですから、ご質問者の場合、先に離婚届を提出し、退職金が支給された時点で、家庭裁判所に対し、先の離婚に伴う財産分与の審判又は、調停の申立てをすることも一つの方法ではあります。

 しかし、2年の間に、夫の会社が倒産するなど、あてにした退職金が支給されない危険性もあります。

 このような場合、2年後に支給されるであろう退職金のうち、婚姻期間に相応する分を算出し、これを現在の額に引き直したうえで、離婚時の清算として、例えば、その半分の額なりを分けて支払いを受ける方法などが調停で試みられております。

 具体的な方法については、弁護士にご相談ください。

結論から申し上げますと、件の男性とは会ってはなりません。すぐに弁護士に対応を相談されることです。

 言うまでもなく、ご質問者の「別れる」という判断は正しいのです。これ自体弁明を要することではありませんし、相手の男性が、交際を求める権利も、会って話を聞いてもらう権利もないことは当然です。毅然とした態度が重要です。

 それでも、相手がいつ諦めるか心配でありましょう。現状で、ストーカー行為等規制に関する法律でいう『つきまとい等』に該当するか、特に警察署長が、警告や、禁止命令を発する程度にまで至っているかは難しいかもしれません。

 このような場合、弁護士に依頼して、はっきりと拒絶の意思を告げ、それにも関わらず、諦めない場合に、「法的措置を執る」警告を発することです。

 家族や地位など、社会的にも失いたくないものがある人間は、不承不承、引き下がります。それでも連絡をしてくる場合は、地方裁判所の仮処分,家庭裁判所の調停という制度を利用することが有用です。

 地方裁判所の仮処分手続は、とりあえず「面談・連絡をしない」ことを実現するには速効性があります。申立後数ヶ月で、一定の決定が下されます。

 裁判所の審尋という手続内で、和解が成立し、事実上解決することも期待できます。

 家庭裁判所の調停は、両名の男女関係は解消されたことを確認し、以後一切関わらないことを、裁判所で最終的に合意する方法です。調停調書は、裁判所の判決と同一の効力があります。

 もちろん、『ストーカー』に変身してしまったら、刑罰をもって対処すべきです。いずれにしても、すぐ弁護士のもとに行ってください。大切なことは、一人で対応しようとしないことです。