事例 破産・債務整理 事例 家庭 家族の問題

私は先月夫を亡くしました。私と亡夫との間には、男子1人がおりましたが、素行がよいものではなく、高校在学中のころから悪い人たちと付き合い、よくけんかをして、全身アザだらけで帰ってきたこともありました。 この子は、20歳となった10年前に、突然私たちの前から姿を消し、手を尽くして探しましたが、以来全く音信不通となっております。もう私たちは、この子の生死は諦めました。 ところで、亡夫の相続が発生し、預貯金の引き下ろしや、住まいとなっている物件の登記などをするには、子の印鑑や同意書が必要になると聞きました。行方不明の者から、これらを取り付けることは不可能です。どうすればよいでしょうか。

(2011/01/12)

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ご主人の相続人が、奥様とご長男であることから生じる問題です。

 ご主人が遺言をされていなければ、法定相続人(※1)はご両名で、相続分は各2分の1です。もっとも、福祉の観点から、一定の財産については、法定相続とは異なる扱いがなされるものがあります。

 例えば、退職金に加えた死亡一時金、遺族年金などは、法規や労働協約(退職金規程)によって、配偶者や故人の収入によって、生計を維持されていた人が受給します。不動産についても、いわゆる住宅ローンは、団体保険に加入していれば、借入名義人の死亡の事実により、ローンは完済扱いとなるでしょう。

 では、それ以外の財産の処理はどうなるでしょうか。

 民法は、不在者の財産管理の制度を設けております。生活の本拠地を去った者が、財産管理人を置かなかった場合には、利害関係人は、家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任を求めることができます。

 『不在者』とは、住居地を去った後、容易に帰来する見込みがない者を言い、選任を受けた財産管理人が、家庭裁判所の監督を受けながら、他の相続人、すなわち、ご質問者と相続財産について協議し、手続を執るのです。

 そして民法は、『失踪宣告』という制度を設けております。これは、不在者の生死が7年間明らかではないときに、利害関係人の申請によって、家庭裁判所が宣告する制度で、不在者のかつての生活圏の権利義務関係を確定させるものです。

 失踪宣告がなされますと、不在者は、失踪したとされる日から7年経過した日に、死亡したものとみなされます。この場合、裁判所の審判謄本を本籍地役場に提出する必要があります。

 もちろん、後日、生存が判明すれば、失踪宣告は取消されますし、この間、関係者が善意でした行為の効力には、影響はありません。

 ※1 法定相続人
被相続人(=相続される人)が亡くなったときに、相続する権利がある人のこと。

  • 配偶者(ただし、内縁の妻・夫、愛人には相続権なし)
  • 子(養子、内縁の妻や愛人の子供など)
  • 直系尊属(父母・祖父母)
  • 兄弟姉妹

 などの人たちが、法定相続人になることができます。