北海道の『空の玄関口』新千歳空港は、時刻表や観光案内,そして出発空港の掲示では、「札幌」と表示されます。
搭乗手続を終え、機内に入ると、CAから、「札幌新千歳空港行きです」との案内があり、着陸すると、「新千歳空港に着陸しました」とのアナウンスがあります。
「新千歳空港」という名称になったのは、今から20年少し前で、それ以前は、航空自衛隊千歳基地の場所にありました。
いずれも、札幌市内に新千歳空港があるのではありません。札幌市内には、プロペラ機が発着する丘珠空港があります。
現在の新千歳空港は、旧空港より南側に位置し、滑走路の一部は、太平洋に面する苫小牧市に属します。
苫小牧市は、ホッキ貝漁が有名な太平洋に面する工業,漁業が盛んな街です。港湾施設も充実しており、フェリーターミナルもあり、こちらは、『海の玄関口』と言えるかもしれません。
新千歳空港は、太平洋に近いので、日本海に近い札幌市へ移動すると、よく天気が変わっていることがあります。
札幌市ほど降雪は多くありませんが、それでも、年に何回か、大雪のため、滑走路が閉鎖されることがあるようです。
私も数年前の2月、新千歳空港に着陸できず、函館空港に連れて行かれた経験があります。
新千歳空港が太平洋に面する苫小牧市に、(一部)属することは、意外に思われるかもしれません。
ところで、札幌市は当然、日本海に面していると思われがちですが、実は札幌市は、海に面しておりません。これをご存知ない方は多いと思われます。
「えー!北の海産物の宝庫,新鮮な魚介は札幌で食べられると思っていたのに…」という声が聞こえてきそうですが、大都市札幌でありますから、太平洋側,日本海側,いずれもよい山海の逸品が集まってくることは、間違いないと思われます。
ちなみに、千歳市,苫小牧市に位置する新千歳空港が、世間では「札幌」と表示されるのはなぜでしょう。
「わかりやすいから」という面はあるでしょう。
しかし私は、千歳市,苫小牧市の方には、甚だ失礼だと思いつつも、「札幌」と言った方が、人が集まる,集めやすくなるからだと思っております。
以前、経済効率について言及しましたが、インパクトによっても、お金は落ちるからでしょう。
これと同じ例は、「東京ディズニーランド」にも当てはまると思っております。
千葉県浦安市にあるディズニーランドは、なぜ千葉を名乗らないのでしょうか。
むしろ、千葉県の名物とされても良いのではと思います。
しかし、「本当のこと」は、知らない方が良い場合があることは、否定できません。
例えば、「札幌市には海がない」と、あえて宣伝する必要があるでしょうか。
東京都内の「品川駅」は、品川区に属さないことを、東京都民は知っています。
品川駅は、「品川駅」でありさえすれば良いのです。
つまり、「(札幌市には海がないけれども)札幌は、魚がうまい」と思い、期待し、信じることが大切です。
私は、きさらぎ法律事務所を訪れる方に対し、「事実と異なることをやれば、必ず無理が来る」と申し上げます。
ただし、皆が平穏に、楽しく、夢を持って生活できているならば、「事実」を堂々と、あえて明らかにする必要はないと考えることも申し添えます。
なぜなら、このようなご回答を差し上げるケースは、誠に残念ながら、決して平穏ではなく、もう無理が来ているからであります。
「新千歳空港」は、あえて積極的に、「札幌市にあるのだ!」と表明しているわけではありません。
ある意味、その謙虚さが、人々に対し、北への思いを馳せらせる一員になっているのかもしれません。
だからこそ、「札幌新千歳空港」の言い方で、千歳市,苫小牧市の方々が、文句を言ったと聞いたことはございません。
私が札幌に出張するとき、しばしば「新千歳空港」と表現するのは、私たち道外の人間も、千歳市,苫小牧市に対する「ありがとう」の気持ちを持ち続けたいからであります。