人の命や男女の関係をダシにする試みには、私は強く反対します!

2016年3月8日
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私は、地理に明るく、旅行好きです。

最近は、実際旅行することは滅多にありませんが、旅行計画を練ることは好きです。ただ個人で動くことがほとんどですから、ツアーに参加したことは、あまりないのです。


そんな私ですが、最近のニュースで、『???』と思えるツアーが行われたこと知りました。これは、ツアーの内容が問題だと言うわけではありません。

青森県は、日本一の短命県なのだそうです。


厚生労働省が発表した全国平均寿命で、青森県は、女性85.34歳、男性約77.28歳で、ともに全国最下位と言うことです。でも、厚生労働省は、こんなこと!あえて発表しているのでしょうか?国民の健康に関する調査検証をしている過程で、現れた統計を並べたところ、これを見た人が、何かしらの目的を持って、下から
の順位を公表したのではないでしょうか。


こんなことが明らかにされると、決して面白おかしくではないのだと信じますが、これを裏付ける統計を取りたくなる人がいるものです。


青森県は、11年連続がん死1位であり、脳卒中での死亡率も、最近まで2位だったと書いてありました。なんでこんなことになっているかと言えば、濃い味が好きと言う県民性が挙げられます。

例えば、中華麺カップ麺の購入数量は1位、ソーセージ、ウイスキーの購入量も1位なのだそうです。ラーメンのスープを飲み干し、焦げた焼き魚にドバドバ醤油をぶっかけるいっぼうで、寒さで外に出られず、行動範囲が減って加工品をツマミに、部屋でウイスキーをストレートでグイグイやる印象があるらしいです。

そうなんでしょうか?

私が大好きなイカーー九州の剣先イカですがーーは、脳の老化を防ぐタウリンが含まれています。

イカは、函館そして八戸がライバル?ではなかったでしょうか。青森県の代表リンゴ、ニンニクが、健康を維持するのに有効であることは、つとに言われます。

そもそも青森県は、海に囲まれている海産物の宝庫、欧米文化により、戦後の食生活では、大腸がんや肺がんが増えたと言われる中、肉より魚の代表的な県だと思うのですが。


私は医師ではありませんし、統計自体好きではありませんので、事の信憑性を論じたいのではありません。ここで言いたいのは、こんな1位を名にしたツアーの存在です。

弘前大学の学生が中心となって、『短命県体験ツアー~ 青森県がお前をKiLL』なるツアーが企画され、すぐに満員となったそうです。このツアーは、短命県1位を逆手に取り、青森県の暮らしを経験してもらって、より広く青森県を知らせるアピールを狙ったものであることはわかります。

1泊2日のこのツアー、朝から複数の酒蔵で地酒の飲み比べ、昼は煮干しぎっしりのラーメンをハシゴし、夜は全ての食べ物に醤油をぶっかけるのだそうです。この間に、太宰治を学び、雪かきをするなど、青森県を知ってもらうツアーです。

ネット上では、『自虐過ぎる』との評価とあったとのことですが、多くのメディアが取材に訪れたようです。特に青森県人の参加者が少なくなく、郷土愛を感じたとの意見が多く寄せられたそうです。郷土を愛する若者たちの発案を、行政や企業が取り入れたのはよいことだと思います。


でも、なんで『短命』なんて名付けるのでしょう。それをウリにして、人を集めることには、どうにも違和感があります。実際体験しながら普段の生活を見直そうの意図も含まれていたと、主催者は言われます。

先にも申しましたが、私は、専門家ではありませんので、統計上とは言え、青森県民の平均寿命がワーストの理由はわかりません。確かに気候や生活習慣は影響がないと言えないかもしれません。


ですが、その生活習慣を身につける健康教育、医療や介護機関の充実、安心安全な就業環境の確保等、公私一体となって人はいかようにも人生を送ることになるのではないでしょうか。それよりも私が気になるのは、人を呼び、故郷を知ってもらう方法として、こんな名称のツアーを行う必要があったのかと言う疑問です。

今、このとき、短命なんてイヤだ、また、何としても生きたいと願う人が確実におられます。私は、人の生死や男女の関係をテーマに、あるいはそれをネタ、ダシにして盛り上がることは大嫌いです。

確かにこのツアーに参加した1日くらい、不健康と言われることを経験したからと言って、短命になることはあり得ないでしょう。本当にそんなふうになる危険があるなら、そんなツアーは挙行できるはずがありません。


つまり、みんな『短命』をダシに、また、これに釣られて楽しんでいるわけです。心ならずも青森県内で、命ながら得なかった方が、こんなツアーの話を聞いたらどのように思われるでしょうか。


言葉やキャッチフレーズとは異なる内容が、巷にあまた存在すること、良しも悪しきも人はそれに釣られるのだと考えさせられたニュースでした。

私が、青森県や青森県ご出身の方に、他意を持つものではないこと、申すまでもありません。

 

盛り上がらなかった福本悟の地元駅に、『新幹線新駅開設運動!』

2016年3月7日
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先日、静岡県沼津に行って来ました。

 

沼津市は、静岡県東部最大の都市で人口約21万人、商業都市として知られております。でも、私にとっては、魚の町です。特に駿河湾で捕獲される深海魚は、その博物館があるように、沼津港の象徴です。

 

春になると、桜えび、しらすが堪能できます。これらを盛った『こぼれ寿司』が有名ですね。でも、残念ながら、魚とビールの時間はなく、新幹線でアタフタと帰ってきました。

 

ところで、新幹線は、沼津駅を通りません。ひとつ東京寄りの三島駅に停車します。三島市は、西伊豆の入口で水の都とも言われ、主として観光に力を入れている人口約11万人の中核都市であります。

 

同じく西伊豆へ、車で向かうためには、東名高速道路は沼津インターでおります。沼津は、御殿場線が出ていて、以前は、小田急新宿駅からJR東海と相互乗り入れする特急『あさぎり』がありました。

写真 1

なんで新幹線は、沼津ではなく、三島に停車したのでしょう。 東海道新幹線は、東京オリンピックの開催に合わせて開通しました。当初は、東京新大阪間を3時間以上かけて運行されておりました。そのときは、三島駅はありませんでした。

 

そういう意味では、静岡県内の新富士駅、掛川駅は、開業時にはありませんでした。三島駅近くには、新幹線の車両基地があって、車両の出し入れが行われること、西伊豆や静岡県東部へへの利用客を見込んで、「新駅を」の動きが出たと言われます。

 

でも、新幹線は、もともと沼津駅を通りません。それが形式的な答えです。しかし、そもそも沼津駅には、新幹線の線路を設けることができない事情がありました。いずれも地形の問題と言われます。新幹線は、新丹那トンネルを通りますが、沼津駅に線路を向けるとするなら、トンネルをて出たところで大きくカーブせざるを得ず、そうすると、新幹線は、速度を相当落とすことになることがひとつ。

写真 2

もうひとつの理由は、『沼津』の名のおとり、沼津駅周辺は、柔らかい地盤となっていて、工事に費用と時間を要するところ、それでは東京オリンピックに間に合わない可能性が指摘されたからです。つまり、もともと沼津駅には新幹線は通らず、決して、『沼津対三島』ではなかったと言うことなのです。

 

新幹線三島駅は、東海道本線の三島駅から少し離れています。それは、開業当時には、三島駅に新幹線を停車させる予定がなかったことを意味します。

 

熱海駅からみれば、両隣となる小田原駅、三島駅には、わずか数分で到着します。速さを求める限り、新駅には、消極的になるのはわからなくはありません。でも、利用する人はいるものです。以前この『ひとりごと』で、裁判所の管轄についてお話しましたが、静岡県東部、沼津市、三島市のみならず、たとえば熱海市、御殿場市などの土地管轄は、沼津なのです。

 

以前は、新宿から『あさぎり』を利用できましたが、これが無くなって、沼津に行くには、新幹線三島駅から、乗り換えをせざるを得なくなったのです。 三島駅は、隣接する沼津市が、静岡県東部の中心とされることで、また、西伊豆への入口として、新幹線の駅の需要はあると思います。

 

先ほど申しましたように、掛川駅は、新幹線の線路がそこを通っていたゆえに、新駅が後で開業したのかもしれません。同じように、山陽新幹線には、厚狭駅がありますが、ここも、山陽本線の駅の横を、新幹線の線路が通っておりました。

 

 

そういう意味では、東北新幹線には、『久喜駅』が将来できるかもしれません。これと『逆』なのは、九州新幹線が通らなかった佐賀県鳥栖駅ですが、鳥栖駅を出た長崎本線と、九州新幹線が交錯する場所に、長崎本線の『新鳥栖駅』が開業したことでしょうか。

 

私は東京都大田区で子どもは時代を過ごしました。近くに東急池上線『御嶽山駅』がありました。その下を、東海道新幹線が通過していました。

 

鉄道少年だった私は、「新幹線を御嶽山に止めよう!」と音頭を取ったことを覚えています。誰も賛同してくれませんできたが、学校の先生からは、「なかなかユニークな発想だ」とお褒めの言葉がありました。そんな昔を思い出しつつ、新幹線三島駅から帰るところです。

何回も言います。『強い国より優しい国』

2016年3月4日
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認知症の高齢者が、列車にはねられて鉄道会社に損害が発生した場合に、家族が損害賠償責任を負うかどうかについて、先日最高裁判所の判決がありました。

 

この民事訴訟は、認知症の当時91歳の男性が、妻と同居していたところ、80代で、要介護1の妻が少しウトウトしていたときに家から出て徘徊、JR東海の駅に入り込んで列車にはねられて死亡したというもので、この人の行動により列車遅延や振替輸送等の影響、損害が発生したとして、JR東海が、同居していた妻と、横浜市に居て、この男性の介護の計画を立案し、また、ときに男性宅に来て居た長男に対して、約720万円の損害賠償請求をしたという事案です。

 

他人に損害を与えても、その人に責任能力がない場合には、当人は、責任を負いません。民法は、そのような場合、これの監督責任者が、損害賠償責任を負うとしています。

 

これは被害者保護の観点から存在する規定とされ、例えば、未成年者が他人に損害を蒙らせた場合等が想定されていたと言われます。監督責任者が、監督義務を怠らなかったことを立証できた場合には、責任を免れる理屈にはなっておりますが、事実上判例上、それが認めれれたケースはないと言うのが、我々法律実務家の印象です。

 

この事案の一審は、この男性の妻と長男いずれにも監督義務者としての責任を認め、JR東海の請求を認めました。これには大きな反響がありました。二審は、別居生活を送る長男は、監督義務者に当たらないとしたものの、妻については要介護者であった等を考慮して賠償額を減じたものの、やはり責任を肯定したのでした。

 

さらに世間の注目を受けるごとになりました。多くの識者、介護関係者や、認知症の家族を介護する方々からは、裁判所は無理解だとして批判がなされていたものです。 最高裁判所は、同居の夫婦だからと言って、当然に監督義務者になるわけではなく、介護の実態を総合考慮して判断すべきだと判示しました。

 

そして本件では、両名ともに監督義務者には当たらないとしてその責任を否定、原告の請求を棄却したのです。この判決に対しては、概ね肯定的な意見が寄せられていると感じます。 私の意見は、結論は判示に賛成です。ただ少し意見を言いたくなりました。

 

気になる点がいくつかあります。この『ひとりごと』でもよく申しますが、裁判所の仕事は、具体的事件に対する法的判断を行うことです。司法試験を受けていたころから、私が心掛けていたのは、事実の認定、法規の適用、法律解釈、あてはめの論法です。

 

そして具体的妥当性を考える必要があります。司法修習生のときは、『事件の筋』とか『落ち着き』とか教えられたことでもあります。例えば、未成年者であっても、何歳から責任能力があるのか確定できないのは、個別事案の解決、すなわち具体的妥当性を考えるからです。

 

資力が乏しいと思われる未成年者の『責任』を肯定しても、被害者保護にはなり得ないのです。 最高裁判所が、一律に『こうだ!』と決めず、個別的具体的事案に応じて判断すべきとした背景は、理解できます。『被害者』が大企業だから構わないとまでは申しませんが、少なくない認知症の方が、鉄道事故で亡くなっているとされる現実があり、鉄道会社もこれを防ぐために様々な策を講じているものの、なかなかうまくいかないようです。

 

そうだとすると、万一悲劇が起きた場合、危険をそして負担をどのように社会が分かち合うかの観点で考えるべきと言えるのではないでしょうか? 少し前に、この『ひとりごと』で、JR東海は、政府から『政策減税』を受けていると書きました。税金を負けてもらったのは、国民のため、社会に還元することが期待されているからでしょう。

 

もし、この男性が、自宅近くで徘徊しているときに、乳母車の赤ちゃんにぶつかって負傷させた場合なら、社会の見方も変わったかもしれません。それと、下級審と言われる裁判所は、とかく最高裁判所の過去の判例を意識します。

 

先日の再婚禁止期間やいわゆる300日問題に関しては、おそらく時代の変化、人々の意識の多様性から、個々の裁判官は、疑問を抱いていたのではないかと思うのですが、新しい最高裁判所の判断が為されない限り、思い切った判断をすることには、躊躇するむきがあると思っています。

 

最高裁判所の裁判官は高齢です。将来ご自身が認知症になることを想定して判決した方はおられないと思いますが、やはり社会経験、人生の先輩としての見方を示して欲しいとも思います。ハッキリ言って、最高裁判所裁判官の後の『出世』を考える必要もありませんから。それで、少し心配なところもあります。

 

5人の裁判官のうち2人は、この事案の長男については、監督義務者だとした上で、監督義務を怠らなかったとして免責したことです。 この事案の長男の方の判決後のコメントには、長かった8年間の思いが詰まっておりました。まさに、認知症の父親のために懸命な看護介護をしていたのでしょう。私には要介護5の高齢の母がおります。

 

認知症ではありませんが、とうてい在宅介護は困難で、近くの施設で生活しています。それでも施設側とは細々とした介護に関する打ち合わせを行い、また、報告を受け、判断を求めれることがあります。長男である私は、おそらく監督義務者に当たるのでは?と思いました。

 

でも、その義務を尽くしていることになるかと言えば、そうだ!と言える自信、厚かましさは持ち合わしません。あの意見を出した最高裁判所裁判官は、あるいはご自身の将来を案じて、子どもは親を助けるべきとの古典的観念があったでは?と失礼なことを考えたりします。 数年後には、高齢者のうち5.6人にひとりが認知症になると言われております。

 

この問題は、社会全体の問題であることは明らかです。『小さな政府』の名の下に、国や行政が個人をサポートしない、面倒を見ない世の中になって、在宅看護の推進もそうですが、なんでも個人でやれの風潮です。

 

強い国とか経済とか言っていますが、アレって本当に少子高齢化社会に合致した政策?なのでしょうか。

 

経済の成長とは、年寄りにドーピングしてもっと早く走れと言うのと同じことだと例えた経済評論家がおりました。繰り返し言います。『強い国ではなく、優しい国』。

 

新しい大河ドラマの見方に気づかされた『真田丸』に寄せて。

2016年3月3日
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NHK大河ドラマ『真田丸』は、まずまずの視聴率を維持しているようです。

 

戦国物は、比較的人気が高いと言われていますが、真田幸村の人気、脚本家三谷幸喜氏の奇抜なアイディア、主演堺雅人さんの芝居上手や、父真田昌幸を演じる草刈正雄さんら、名優の存在感等、さまざまな要因が、良い方向に回転していると思います。

 

それに加え、『真田丸』には、これまであまり知られていなかった(失礼!)俳優さんの名演技が光っているとの巷の評価があります。 初回に、大俳優平幹二朗氏の長男平岳大さん演じる武田勝頼が、茶の間とネット上で感動を呼んだことは、この『ひとりごと』でも触れました。

 

その武田勝頼と『対決』する場面で涙する小山田茂誠役の俳優さんが、凄い人気です。

 

私は、以前から、武田勝頼が旧武田家家臣に裏切られ続け、最期には、小山田信茂より鉄砲を打ち込まれて笹子峠を越えられず、天目山の露と消えた史実には、関心がありました。ただ、歴史好きを自称しながら、同じ小山田姓を名乗る小山田茂誠のことは、今回取り上げられるまで知りませんでした。

 

『真田丸』では、真田信幸、信繁(幸村)の姉松の夫で、その後徳川家に使えることになる真田信幸(信之)の家臣として、忠誠を尽くしたとされるようです。

 

この小山田茂誠、真田丸では、よく泣き笑いの場面があります。先の主君武田勝頼との別れの場面、織田信忠より処刑されそうになる場面、妻松と再開と別れ?の場面等、苛烈な戦国の世でありながら、何かコミカルな憎めないキャラが発揮されていると思います。 この俳優さん、高木歩さんと言う声優さんだそうです。声優ですから、大河ドラマはもとより、テレビの映像に出たことはないそうです。

 

もともと高木さん、NHKや三谷幸喜氏とはご縁があったところ、ある場面を見たプロデューサーから、『俳優』としてのオファーを受けたのだそうです。実際、高木歩さんの顔芸とも言える泣き笑いの演技はとても好評で、初回の放映を終えた真田丸の公式サイトへのアクセスは、主役の真田幸村らをしのぐアクセス数だったそうです。

 

「あの人誰?」ですか。 それからもうひとり、サラッと何気無く好演技が光っている俳優さんがおられます。直江兼続役の内山新悟さんです。 直江兼続は、越後の国主上杉景勝の家老として上杉謙信後の上杉家を支え、上杉景勝が、豊臣政権の五大老でありながら、関ヶ原の前哨戦となる德川家と戦ったことから、上杉家の取り潰しも取りざたされた中、抜群の政治力と人柄で、上杉家を守り抜き、米沢上杉の礎を築いた人物です。

 

『愛』をあしらった兜が有名ですね。数年前のNHK大河ドラマ『天地人』では、妻夫木聡さんが、主人公直江兼続を演じていました。 今回の直江兼続は、穏やかでクールの中にもキレを感じさせる凛とした姿で描かれております。内山新悟さんは、姿勢と視線に心掛けているそうです。そんな努力、姿勢から、凛とした内山兼続が出ているのだと感じました。

 

内山新悟さん、なんと4年連続してNHK大河ドラマに出演されているとのことです。昨年は、久坂玄瑞の兄久坂玄機役でした。NHKプロデューサーによると、内山新悟さんの所作は素晴らしい、基礎演技力が備わっていることはもちろん、声の出し方まで、その役になり切っているとの評価です。

 

そういえば、私がほぼ欠かさず見ていた一昨年の『軍師官兵衛』で、関ヶ原のとき、西軍の将として登場した大谷吉継は、実は内山新悟さんが演じられていたと知りました。大谷吉継は、らい病を患い、頭巾で顔を隠していたとされ、正に演技力は、『声』ですね。低音ながらよく通る声は、記憶に残っています。ネット上では、イケメンボイスを意味する『イケボ』の愛称で、人気急上昇だそうです。

 

こうして見ると、NHK大河ドラマ『真田丸』は、誰が主人公かわからないとの評価があり得るでしょうか。確かに真田幸村は、高野山へ、父昌幸とともに長く蟄居させられ、九度山での生活が長いて、再び世に現れたのは、40歳を超えたときですから、現時点での大河ドラマは、真田幸村の生涯とか活躍ではなく、父真田昌幸だったり、武田家旧家臣たち、あるいは生涯の宿敵徳川家康の視点で描かられるのは、やむを得ないところもあるでしょう。

 

このような展開から、小山田茂誠とか直江兼続らが関わってきて、それぞれが個性豊かな俳優陣の登場となったようにも思われるのです。 そして、第8回『真田丸』で、新たなヒーローが誕生した気配です。その名は春日信達、武田信玄の家臣で、川中島を臨む海津城を任された高坂弾正こと春日虎綱の子で、真田幸村の父真田昌幸とは、共に武田信玄の薫陶を受けた仲だった人物です。

 

武田家滅亡後、行くところがなかった春日信達を拾ってくれた上杉景勝に恩義を感じつつも、旧武田家臣としての誇りを失わなかったところ、真田昌幸の調略のターゲットにされたと言う設定でした。 春日信達を演じたのは、俳優の前川泰之さんです。誠に失礼ながら、私は、この方を存じ上げておりませんでした。

 

前川さんも、三谷幸喜さんの強い推挙で、たった1回の登場、しかし、正にこの回の主人公を演じられました。見事でしたね。既にネットでは、同じような登場、そして消え方をした武田勝頼に匹敵する愛惜のメッセージが多数寄せられています。 前川泰之さんは、台本を真っ黒になるほど細かく書き込んで一言一言、一つの動作ごとに細かいチェックを入れて演技に臨むそうです。

 

この先、この回のテーマ『調略』が、真田幸村の人生に大きく影響するのは確実と予想させる素晴らしい演技でした。『真田丸』では、随所随所に、また、ワンポイントの主人公を配置して、それが真田幸村に、ことごとく影響を与える設定となっているように思います。歴史物、時代劇の興味を超えた新境地のドラマ設定ではないでしょうか。

 

真田丸は、引き続き高視聴率を維持しているようです。たった1回、また、出ては消える、消えては出る人生も、それを理解し、大切にする俳優さんの手になると、『それもまた人生』と思えるのです。今後も楽しみな真田丸です。

藻岩山よりラーメン横丁ーー福本悟の札幌の夜景

2016年3月2日
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北海道で夜景と言えば函館です。

 

でも、いつ、誰が決めたのか言い出したのか、調べたことはありません。私が物心ついたころから、『100万ドルの夜景』としての神戸、北海道の玄関口は函館、函館山からの夜景は北海道のシンボルなんて言われていました。

 

ただ、このところ長崎市の夜景が、多くの夜景ファンから支持されていることはよくわかっていました。それは、2012年に長崎市で開催された『夜景サミット』で、香港、ナポリと並んで長崎の夜景が、新世界三大夜景として、広く世界に発信されることになったからです。しかし、昔は函館でした。 もともと世界三大夜景としての香港、ナポリ、そして函館は、50年くらい前から言われていて、時間が経てば街の様子も変わるはずです。

 

日本では、社団法人夜景観光コンベンションビューローなる民間団体が、厳しい試験の結果、夜景鑑定士の資格を得た人3.500人より、新しい基準?感覚で、新しい夜景の美しさの順位を選定することに進んだと聞いております。 長崎市は、長崎港を中心にして、起伏に富んだ地形が立体的な夜景をもたらすとともに、市内には、イルミネーションやライトアップされた建物、施設があって、これが幻想的な雰囲気を醸し出しているとの評価です。代表的なのは、標高333mの稲佐山展望台からの夜景ですが、鍋冠山公園やグラバー園からの夜景も美しいようです。

 

私は、稲佐山からの夜景を、31年前に経験しました。そのときは、たまたま宿泊先があの辺りだったので、立ち寄った感じです。まだ見ていない神戸、そして函館こそ夜景が美しいと思っていたので、長崎の夜景は、あまり覚えておりません。

 

神戸、そして函館の夜景は、平成になってから、経験しました。既に日本三大夜景であるとの先入観があったので、「これが夜景か」と感じました。 その日本夜景観光コンベンションビューローが、昨年10月、夜景鑑定士4.500人にアンケートを行い、『日本新三大夜景』が発表されました。神戸市で開催されたこの『夜景サミット』は、私も報道で知っています。決定の仕方は、鑑定士に5票与え、得票数の多い順に決める方法です。

 

この民間団体は、夜景を観光資源として活用し、地域の活性化や観光産業の発展を目指す取り組みをする目的のもと設立されましたから、その趣旨に沿った投票と結果になることは予想されます。でも、さすが夜景鑑定士ですね。地理に明るく、日本中を行き来する私は、この選考結果は、妥当と考えます。 1位長崎、2位札幌、3位神戸でした。函館は4位、そして北九州が5位にランクされました。北九州は、昔から北九州市内を一望できる皿倉山からの夜景は有名でしたし、門司港レトロや関門海峡、そして神戸と同じように、海からの夜景もオススメであることは知られておりました。

 

最近は、川崎市でも同じような試みがなされているのですが、工業地帯の夜景は、新しい観光資源、人の呼び込みにもなって、上位へ食い込んだものと思われます。 北海道の方々は、嬉しいような残念のような、函館が『三大』に入らなかったこと、これに代わって札幌が、2位にランクインしました。こんなこと言ったら甚だ失礼ですが、函館山からの夜景は、「函館って、これしかないの?」と言われてしまいかねないほど、これのポスターや観光パンフレットを、あちらこちらで見る機会があります。北海道新幹線は開通しますが、新幹線は函館市内には入らず、将来は札幌が終点になりまりますから、函館市にとっては、嬉しい結果ではないと思います。

写真 1

そして、ここでまた、なんでも札幌のムードが加速するでしょう。 札幌の夜景は、藻岩山から市内を臨む風景が、宝石箱を散りばめたようだとたとえられた美しさを言うのです。藻岩山には、市電とロープウェイを乗り継いで、比較的簡単に行くことができます。私が初めて藻岩山から夜景を見たのは、もう20年は経っていると思います。まだ年に何回かの札幌出張が起きる前でしたから、地元の人から、「ちょっと話題創りに」と誘われて行ったのが最初です。

 

藻岩山ではスキーもしましたし、アイドルタレントの記念碑?も見ています。それから札幌に行き来するうになって、夜景観光ツアーが出ていること、東京あたりからの観光客のオプショナルツアーにも、セットされていることに気づいておりました。

 

藻岩山は、標高531mで、手稲山等に比べればさほど高い山ではありませんが、市街地を一望し、雄大な石狩平野や日本海まで見渡せるスケールの大きさが売りです。ただ私は、宝石箱を散りばめたのたとえがあるとおり、夕暮れの時間帯から、街にポツポツと灯りが輝いていく有様が好きです。誰かがこの様子を、『光の絨毯が敷かれていく』と表現しました。正に活動する札幌の1日を表わすものでしょう。

 

私がその後、何回も札幌に行き来し、宿泊することもままある中、藻岩山からの夜景には、とんと無頓着になったのは、不謹慎な動機があるからです。

魚は九州ではありますが、やはり北の中心札幌の楽しみは、夜飲み食いすることだからです。すすきのに宿泊して、わざわざ藻岩山まで行きますか?と言うわけです。日本で冬唯一国産の『うに』が入るのは、道東根室あたりのうにです。また、地元の方が、『たち』と言われるタラの白子は、この時期札幌市内のごく一部の店で食べられます。

 

なんと言っても、サッポロクラシックですね。

写真 2

ですから、夜景は、ホテルの窓から眺めるだけで充分なのです。私にとって札幌の夜景は、たらふく飲んで、福岡なら屋台となるように、やはりシメはラーメンであるがゆえに、『ラーメン横丁』の風景こそ、福本悟の札幌の夜景なのです。