衆議院で、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP発効に向けた承認決議が、与党と維新の党の賛成で可決されました。維新の党は、民進党が決議の前に退席したことを非難していますが、そのことは取り上げません。折しもアメリカ合衆国の次期大統領にドナルドトランプ氏が就任することが決まったばかりです。貿易保護主義者のトランプ氏は、当選が決まった直後に、TPPには絶対反対、離脱を表明しました。私は、これまで聞知するトランプ氏の主張、言動を支持するものではありません。しかし、日本がTPPを急ぐことは賛成できません。トランプ氏の主張からも、論拠を拾ってみたいと思います。
第二次世界大戦後の世界の経済は、自由貿易を主導したアメリカ中心に動きました。自由貿易は、関税の撤廃・削減により輸出が拡大する、輸出産業の拡大は国内の雇用を促進し、景気を好転させる、輸入国の消費者は家電や農作物まで安く買える、経済のグローバル化は、世界規模での成長戦略でもあります。日本の高度経済成長も、その潮流に乗った側面はあるのです。
今年の9月、主要20か国・地域(G20)首脳会議は、保護主義に批判的な共同声明を出しました。これは、これまで自由貿易で利益を得ていたアメリカを牽制する狙いもあったと思います。オバマ大統領は、TPPにより、アジア太平洋地域への輸出を拡大することが、アメリカの成長に繋がるとの考えですが、アメリカ共和党は、基本的にTPPには反対であり、議会の関係、オバマ政権がいわゆるレームダック状態にあって、これまで儲けていた?アメリカが逃げるのではの観測はありました。ヒラリークリントン氏も、TPPには、慎重な姿勢を見せていました。そしてトランプ氏は……。
しかしTPPは、まさに成長戦略のひとつ、経済のグローバル化を進めるものであります。そこには、国民の年齢・産業構造等に合致するものなのか、よく見極める必要があります。自由化が進んで、『安かろう悪かろう』が蔓延し、競争力に押し潰された国内の産業は廃れるでしょう。そもそも資源に乏しく、国の自給率が低い場合には、国内の市場が荒らされた後、もうこの国・地域には用はないとして、自由競争の相手にされなくなるると、草刈り場にされて廃れていくだけです。その国内には、行き場を失った老人だらけとなる様子が見えます。
アメリカ大統領選挙戦では、特に初期のころ、トランプ氏の過激な発言が話題の中心でした。あれはもしかすると、注目を浴びるための戦術だったのではの見方もありました。やがてどのような人たちが、トランプ氏を支持するのかに関心が移り、なんとなくわかってきたことがあります。移民に仕事を取られた云々がよく聞かれました。アメリカの歴史を振り返れば、様々な人種民族により構成されることで、アメリカがアメリカたる所以がある、合衆国として巨大な力を持ち続けたことが認められます。これは移民の問題ではなく、経済のグローバル化が齎した負の遺産、日本的に言えば、格差問題と言うべきです。
トランプ氏は、鉄鋼業が廃れたアメリカ中西部等で多くの支持を受けました。トランプ氏は、アメリカ経済は日本と中国にやられっ放し、日本からの輸出がアメリカの製造業を弱らせたなんて言っています。同じことは、TPPにより日本にも齎されます。多国籍企業が関税撤廃等により国内になだれ込み、各規制を取っ払って利益追求する仕組みがTPPであり、まさに経済主権を売り渡すようなものだと私は思っています。トランプ氏が指摘する職を失った人たちは、実は経済のグローバル化に飲み込まれ、取り残された人々であります。これらは、移民のために仕事を失ったのではなく、最低限度の生活を保証されることなく、過度な自由経済により追い出されたと見るべきです。これを移民のせいだとして支持を取り付けるのは、ナチスのユダヤ人排撃と似ています。確かにトランプ氏は、排外主義者のようです。でも、それは選挙戦術であって、本当は、新自由主義の行き過ぎに、警鐘を鳴らしたと見れないでしょうか。
新自由主義の進むところは格差社会です。福祉国家の概念と相いれません。それは小泉改革以来、日本の医療・福祉・教育、特にこれに要する予算がどうなったかを見ればわかります。徹底した経済の自由化で喜んでいるのは金持ちです。ア◯ノミクスは、デフレ脱却政策として、『3本の矢』があると言われます。金融緩和や公共投資は、政権がやれ!と言えば日銀は逆らえませんから簡単なことで、誰でも出来ます。実際円安と株価が上がりました。それは投資家の期待値があるからです。しかし、円安の間に第3の矢を放たなければ、金持ちや大企業だって持ちません。いつも言うように、少子高齢化社会に『成長戦略』は合わないのです。
トランプ氏の思惑と私たちのTPP反対は、根は同じではないようです。ただトランプ氏が挙げた経済格差を継続する政治を行うべきかはとても大切な視点です。安倍晋三内閣総理大臣は、TPPを成長戦略の切り札と使いたいのでしょう。企業がいちばん活躍できる国つくりをすると言っており、国内の大企業が空前の利益を得た、つまり格差は広がった上に、今度は多国籍企業が活躍する場として、日本を提供するのですから。
しかし、トランプ氏は、強いアメリカ、昔のアメリカにしようと考えています。それは安倍晋三氏の新自由主義とは違い、極端な保護主義、そして排外思想です。トランプ大統領となれば、日本との貿易を閉ざす方向に進むので、円高になるでしょう。TPPが発効した場合、輸出を主力とする企業は儲かるかもしれませんが、海外から入った企業的農業により、戦後日本が世界に誇った家庭農業は維持困難になって、国内では食料自給率が下がるでしょ。
また、食品安全基準は緩和されますから、食の安全は疎かになります。健康保険制度が異なる海外の製薬大企業の登場により、安価なジェネリックの普及は遅れ、医療の現場にも影響がでます。そんな危機にあったところ、思わぬところから『救世主』が出てきたもんです。もちろんトランプ氏は、私が挙げたところを問題視してTPP反対を言うのではありません。結果オーライです。
トランプ氏を支持したとされる人たちは、リベラルとされたアメリカ民主党政権こそ、彼らの生活を苦しくさせた元凶と考えたのかもしれません。その象徴が、ヒラリークリントンです。新自由主義により生じた格差の是正こそ、政治家がやるべきことであり、国を閉ざす、他国他民族を排除するのは違うのですが。ともあれトランプ大統領が登場することになり、オバマ大統領は、任期中のTPP発効に向けた承認手続きを行うことは断念したと報道されています。
アメリカ、日本のいずれかでも調印しなければ、TPPは発効しません。アメリカが承認する見込みがらないことが明らかとなった現時点で、なんで日本の国会は、承認決議を急ぐんでしょう。強行採決で世界に恥を晒したのみならず、発効見込みがない協定のために国会を開いて決議するなんて、間抜けそのものですね。でも仕方ないですね。与党議員は、総裁の言うことは聞かなければなりませんから。そのご機嫌をとることが生きる道であると『一強』の中から学んだ処世術ですから。
11月8日早朝、福岡市博多区の博多駅前二丁目の道路が突然陥没しました。ここは、通称博多駅前通りと言い、JR博多駅から、祇園町キャナルシティ博多方面に真っ直ぐ伸びている計5車線の道で、周囲は多くのビルに囲まれます。
会社事業所、ホテル、各種店舗が並び、日中は、相当な人通りがある地域です。そこが当初深さ約15m、幅約20m、長さ約10mの大穴ができたのですから驚きです。 午前5時15分ころに最初に二ヶ所陥没し、徐々に崩落範囲が広がって、午前7時30分ころには、二ヶ所の穴が一つに繋がり、さらに土砂等が崩れて、水分を含んだ大穴となったのでした。この映像を見た人たちの中には、これが別の国のことかと思ったなんて驚きを表現していました。
早朝の時間帯とは言え、この事故に巻き込まれた死傷者がいないことは奇跡に近いことだと、初期の安全管理に賞賛の声が出てもいました。この場所では、福岡市営地下鉄七隈線の伸長工事が行われていて、工事関係者から、地下水の漏出等で危険な状態にあることがわかってすぐに警察に通報するとともに、現場周辺を工事関係者が自主的に立ち入り禁止の措置にしていたそうです。その5分後に、陥没が起きたとのことであります。 まず人的な被害がなかったことは、危機管理が徹底されていたわけで、日頃の訓練等の成果でしょう。
この事故が発生した直後に、高島宗一郎福岡市長は、直ぐFacebook?tweet?で市民に知らせ、その後も随時現場の状態を発信されました。
熊本地震のときも、発生直後から市民に情報を発信し、また、被災者救援活動の状況も知らせたそうです。そして本件陥没事故については、直ぐに福岡市長として、福岡市に責任があることを認めて、謝罪されたのです。それから先は、素早く復旧工事に取り組み、その仕方や完成時期等についても、各部署の専門チームからの報告を交えて、市民に知らせております。 コレって、築地市場豊洲移転問題を発生させた東京都とは、かなり違う対応と進行です。新知事になって、ひとまず豊洲移転は延期され、地下水土壌問題など改めて検討検証しているようですが、結局数名の東京都の幹部を処分しただけで、誰が、いつ、何のためにこんなことしたのか、今後この市場はどうなるのか、いつ解決するのか、どんな市場になるのかなど、全く先が予想できない有様です。
新知事の人気取りの一時的パフォーマンスで終わらないよう願いたいものです。さて福岡市、補償問題はこれからですが、まず謝罪し、市民の安全確保と不便解消を最優先とし、復旧に向けた経過を、その都度市民に報告するのは、市民から信頼を得られるでしょう。 高島宗一郎市長、九州朝日放送のアナウンサー時代から、『高島くん』と慕われていて、良し悪しは別として、高島式政策を次々に出してきます。このような事故が起こると、復旧作業や補償問題が出る都度、市民の税金が……を言い訳にして、なかなか動こうとしない自治体が多い中、現場に飛び込んで、『オール福岡』を求める姿勢は、概ね好感を持たれるでしょう。
陥没現場では、土の上に水が溢れていたわけですが、セメントを含んだ土砂を注入する作業を行って、1日半が経過したころには、ほぼ埋め込みが完了、ライフラインの復旧作業が可能な高さまで埋め戻し、土日を挟んでほぼライフラインは復旧するとのことです。さらに道路も週明けには完全通行が可能になり、10日時点での避難勧告対象建物は、3軒になったと報じられています。この『ひとりごと』がアップされるころには、『全面復旧』となっているでしょう。 『オール福岡』の呼びかけがありました。今回は、急ぎ特殊なコンクリート注入を行う必要もあって、ミキサー車等建設、特にセメント業者の手配協力は不可欠でした。ある業者曰く、他の仕事は断って、こっちに駆けつけたと。
もちろん業者にとっては、お客様はすべて大切なはずです。今回は、工事を発注した客側も、この博多駅前通り大陥没からの復旧を最優先することを認めるまさにオール福岡なのでしょう。高島市長の後見人とされる県内のセメント業界のドン?はおられます。こちらの影響があったのかどうか知りませんが、これも政治力としておきましょう。そして10日夜、博多駅前に、冬の風物詩イルミネーションが点灯して、『光の街・博多』が始まりました。
『雨ニモマケズ、陥没事故ニモマケズ、博多は元気に輝いています!』とのこと。明るくなると良いですね。東京からとても気になりつつも、福岡博多がひとつになって復旧していく姿を遠くから見て、素晴らしいとら思いました。
以前この『ひとりごと』でも書きましたが、きさらき法律事務所には、このところ既に他の弁護士に具体的事件の対応処理を依頼している状態で、福本悟に対して相談申し込みをされるケースが増えてきていると感じます。
統計を取っているわけではありませんが、きさらき法律事務所のホームページが現在の体裁になる3年くらい前から、ボチボチあるなと感じました。そして年々と言うか、日を追うごとに増えている、このところ毎週その種の相談申し込みが存在している現実があります。
今日はまた、このことに関する『ひとりごと』と、私のお願いです。
きさらぎ法律事務所は、事務所内での初回の相談は無料で、相談時間の制限は設けておりません。
この仕組みに関するご説明は、ありとあらゆるところで申しておりますので、ここでは省略します。このシステムをご利用になって、何をすべきか、自分にとって何が解決なのか掴んで欲しい、そしてそのためのお手伝いをさせていただきたいと願っています。
つまり、福本悟に対して、具体的事件を依頼される方は、もう到達点、落とし処を理解していて、そこに向けてブレることなく、そこまでのプロセスを一緒に進めていると言うことです。ですから、たとえ途中で依頼者の方が不安や疑問を感じたのだとすると、それはどうすればよいかの悩みではなく、『本当に、このまま福本に依頼していて、目指している到達点、落とし処に行けるのか、自分が福本と一緒に求めた解決が得られるのだろうか?』と言うものであるはずです。
勇気を持ってきさらぎ法律事務所をお尋ねになり、弁護士福本悟にご依頼された方にとって、解決しない問題はない!と日頃から強く申し上げています。来てみれば、『こんな法律事務所』ですが、やはり相談申し込みをして、ここをお訪ねになる第一歩が大きな階段だと皆さん言われます。そうだと思います。ここを突破して、そして初回無料相談をじっくり落ち着いて受けられて解決策が定まり、ご依頼をされた方には、この時点では、迷いはないはずです。 依頼している弁護士がおられるのに、相談申し込みされる方がよく言われるのは、『セカンドオピニオン』と言う言葉です。
深い意味はないのでしょうが、弁護士には、セカンドオピニオンはごさいません。
つまり、検査や治療を受けている最中、『セカンドオピニオン』をして、医師医院を変えることはあるでしょう。それは、治療行為と言う委任契約の内容によるからです。例えば費用についても毎回毎度であったり、この手術ならば、他の病院へ紹介状を書くなんてことも普通だと思います。ところがたいていの場合、法律事務の処理を依頼した折に締結する委任契約書にも明記されているとおり、委任内容と範囲は、例えば損害賠償請求訴訟の終了までであったり、離婚調停の終了まで等とされています。つまり、正当な理由がない限り、途中解約はできません。
これは形式的には、着手金・報酬の費用立てで依頼を受けた案件を、ほとんど終結できそうな段階に至って、梯子を外されたらたまらないと言う弁護士側の事情があるのですが、法律事務は、今日明日にすぐに解決するものではなく、強固な信頼関係を構築して進めなければならない実質的理由があるのです。病院を変えれば良いとは、質的に違うと思います。もちろん弁護士が行方不明になったり、違法行為をしたなど、契約継続は不合理とされる場合は別ですが。 弁護士倫理上、他人の事件をとってはならないがあります。もし、他の弁護士が受任中の事件の進行等について相談を受け、こうしたほうがよいなんて言うと、相談者は、依頼した弁護士への信頼感を失うでしょう。
まして、このやり方は正しくないから、相談を受けている自分にやらしてくれなんて言ったものなら、完全に依頼者と受任弁護士の信頼関係は喪失されます。 ですから、現に他の弁護士が受任中の案件については、一般的なお話しかできません。それは福本悟が心掛けている解決までの法律相談ではないのです。 セカンドオピニオンだとしていらっしゃる方は、依頼した弁護士に不満があるとか、既に進行に関して不安を抱いていると言う例は少ないです。多くは、『よくわからない』『これでよいのか確認したい』であります。ですが、そんなことであれば、依頼した弁護士とゆっくりじっくり話し合えばよいのです。なぜそれをしない、でいないのか?それは、何をもって解決とし、この件の終結はどんなかたちか決めずに依頼したことに大きな原因があります。例えば、相手方からこれこれ言われた、なんとかしなければならない、自分は、これこれを請求したい、それが実現できるかで決めてしまったケースが少なからずあると思っています。
それは目に見えた、ご自身が感じ取ったままのところをこれが結論で、これをしたい!の思いで、ネット等の情報を頼るからです。その場合、仮に依頼のきっかけとなった事項に関して、一応希望とおりになったとして、それでは自分は何をしたいのが定まっていなければ、『その次』に進めません。
依頼した弁護士さんは話をしてくれないとか、どうなるのか説明してくれない等のご相談を受けることがあります。それは、ご相談者が何をしたいか、何をもって解決としたいのかが判然としないままスタートしたからです。30分無料相談あたりでは、聞かれたことだけに答えざるを得ません。聞く方も、期待する答えが欲しくてそんな弁護士を探します。それで当面進んだ、なんとか繋げたとしても、本当の問題点は、解決していないのです。本当に解決しておくべきこと、この案件での終着点は何かを考えない依頼では、実は担当弁護士としてもやりようがない、次に依頼者が何をしたいか言ってくれないと動けないのだと思うのです。
セカンドオピニオン云々で、私に対して質問したり、見解を求める方に申し上げるのは『それは依頼されている先生に言ってください』であります。希望・疑問を言ってくれないと、本当にわからないのだと思います。私の場合、どうしますか?はほとんどありません。初めから決めているからです。そこに到達するために依頼を受けるからです。途中でセカンドオピニオンを言われる方、それは、依頼の仕方を間違えたと言うよりも、自分は何をしたいのか、何が解決なのかをしっかり考え、そのために弁護士に依頼すると言う視点が欠けていたのだと言うことです。まして、何々に強い!のキャッチフレーズにつられたと言うか、そのような条件、検索用語で弁護士に当たったことが間違いだと言うことです。じっくりしっかり最初から話を聞いてくれ、そして今現れていることだけへの対処ではなく、自分にとつてはの解決は何なのか、そのためのプロセスはどうなのかを示し、一緒に考えサポートする弁護士に当たれば、迷いはありません。
セカンドオピニオンを言われる方、まずその疑問を依頼した弁護士さんにお話してください。その対応で、その後を決めればよいのです。改めて自分がしたいこと、求めるところをお話しすれば、そこからのスタートです。話を聞いてくれない、話が合わない、そんなときは、委任契約をどうするか考えなければならないかもしれません。ただし、正当な理由がない委任契約の解除、つまり解任は、ペナルティー条項が設けられている可能性があります。
セカンドオピニオンは、あなたにとってのリスタート、弁護士との委任契約が解消されたら、改めてきさらぎ法律事務所にいらしてください。ここにようやくあなたにとって何が解決なのかを認識していただいて、そのに到達するための受任をいたします。委任契約が存続する間は、あなたの弁護士は、依頼しているその先生ただひとりなのです。
話をしたくない、しても無駄、そもそも何を話してよいかわからない……は、実質的に委任契約ている意味はありません。そんなことにならぬよう、じっくり話を聞いてくれる弁護士をお探しください。いつも思うのです。なんで最初にきさらぎ法律事務所に来られなかったのか。勿体無い!
11月7日は、二十四節気のひとつ『立冬』です。暦の上では今日から冬となり、本州各地では、今年一番の冷え込みとなったと報じられています。また、北海道では、軒並み氷点下、このところの寒さはちょっと驚かされます。以前この『ひとりごと』でも書きましたが、猛暑が続いたこの夏に、2016年の晩秋から2017年にかけては、『ラニーニャ現象』により寒さが厳しく、日本海側では大雪となると予報されていました。どうやらそのとおりの冬となる気配です。
私の記憶、経験だと、札幌市内の初雪は、例年11月中旬あたりで、当然すぐに溶けて根雪にはなりません。ある年は、ちょうど札幌市にいた11月18日が、その年の市内『初雪』と言われたことがありました。ところが11月の声を聞いた途端?北海道内は、かなりの降雪となり、ふだん雪が多くないと言われる十勝地方でも、相当の積雪となりました。
そして札幌市も、予想外の降雪となったようであります。特に最初の日曜日となった6日は、冬型の気圧配置が強まった影響で、札幌市中央区でも、朝から降雪となり、午前中で積雪量20cm超となったそうです。札幌管区気象台によると、観測が始まった1953年以降、11月初旬としては、最高の降雪量となったと発表されています。
この時ならぬ大雪?で、札幌市電の軌道を除雪する『ササラ電車』が初出動しました。これは札幌市の冬の風物詩とされますが、昨年より18日早い出勤だそうです。夜には40cm超えとなった地域もあるようで、千歳市の隣、恵庭市でも25cmの積雪量のようでした。北海道への出張族の気がかりは、交通機関への影響です。
滅多に積雪がない東京では、ベタついた湿った雪ですが、北海道は、サラサラの粉雪です。しかし、雪のシーズンの初期と終期は、水分を多く含んだ雪となりますので、除雪に難儀するようです。実は道内の交通機関の乱れは、これが大きいと聞いたことがあります。
この時期の降雪量が、恵庭市で25cmと聞けば、当然気になるのは、新千歳空港の様子です。新千歳空港は、千歳市と太平洋に面する苫小牧市にまたがっていて、道内では比較的積雪量の少ない場所に位置しています。国内最大の除雪設備を擁しているものの、冬季に数回、滑走路を閉鎖せざるを得ない事態が起きて、降雪による欠航は発生します。特に雪質が湿っている12月と2月後半から3月初旬が、欠航率が高くなる傾向があり、私も2月下旬の出張の際、着陸不能による行き先変更へ、除雪の作業による大幅な遅延に、何回か当たったことがあります。
しかしまだ11月上旬です。これは、関係者の予想されなかったことだと思われます。この日新千歳空港は、約50便が欠航となったと報道されていました。日曜日の上り便で影響を受けたのは、出張族だけではないでしょう。
降雪の時期は、道路に積もった雪を、路外に除雪する関係で、車線が狭まります。また、スリップを避けるため、車は、スピードを上げません。それでバスは自然と遅くなりますが、鉄道とて同じなのです。線路の上に雪が積もって、しかも水分が多い雪だと凍結して、車輪の動きを鈍くします。スリップや脱線の危険があります。新千歳空港駅と札幌駅を結ぶ『快速エアポート』は、この間36分ですが、積雪が多いときは、40分から1時間近くかかって、安全運行に努めているのです。JR北海道の線路の脇には、寒さの中、よく作業服を着た人が立っておられます。安全のためであります。今からこんな状態では、自治体の除雪費の計上も、気になります。そろそろ冬の準備にとりかかろうかの話題の矢先の季節外れの大雪だったと言われます。
この日、道内の鉄道も、遅れや運休が発生したそうです。また、札幌市電の狸小路とすすきの間で、街路樹の枝が、雪の重みで架線につきそうになったことから、その除去作業のために、外回り電車にダイヤ乱れが起きたそうです。昨年の今ころ、この『ひとりごと』で、なぜ札幌市の市電はいびつなかたちをしているのかお話したと思います。もともと市内あちらこちらに網羅されていた市電の線路が、自動車が増えて順次無くなり、最後に残ったのが現存1路線なのですが、これが昨年12月より『ループ化』すると言うニュースです。
すなわち、『西四丁目』と『すすきの』間に軌道を敷くことで、市電は、東京の山手線のようにつながるのです。と言うよりも、かつての路線が、『復活』するのでした。
今回11月の降雪により、枝が垂れ下がった街路樹とは、昨年12月に開通した区間にあります。そういう意味では、11月の雪は、初めての経験だったわけです。この市電ループ化により、昨年日本三大夜景の第2位にランクインした藻岩山への行き来も、市内どこからでも可能となり、利用者数は増えているそうです。
ササラ電車に藻岩山夜景。凍てつく北の大都会の冬の彩りかと思いますが、それは雪の苦労を知らず、年に数回たった1cmの積雪でも、右往左往する首都圏の人間の勝手な思い込みなのかもしれません。北の大都会に訪れた例年より早い白い風景を想像して、この冬も出張予定の今の札幌市を想像してみました。急激な温度の変化にも注意してください。
本当に酷いもんです。環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP承認、関連法案は、11月4日TPP特別委員会で、強行採決されました。安倍晋三内閣総理大臣は、自民党総裁でもありますが、こんなことを言っていました。『我が党は、結党以来強行採決しようと考えたことは一度もない』。本当にそう思っているらしいので、この点についてはもう論及いたしません。おそらく総裁の真意を誤解した?部下たちが、提灯待ちに徹した結果なのでしょう。
私はTPP参加に反対ですが、そのことは置いておきます。今に始まったことではないでしょうが、この国の議会制民主主義ってなんだろうと思うのです。この国会で、ここに至るまでの事実経過を復習してみましょう。発端は、山本有二農林大臣のこんな発言からでした。『TPPを強行採決するかどうかは、佐藤勉自民党衆議院議院運営委員会が決める』であります。佐藤議員のパーティ?に招かれた山本大臣の『祝辞?』です。
法案を提出し、条約を批准する職務を有する内閣は、国会の決議、承認を要します。議院内閣制のもと、内閣は、国民の代表、国権の最高機関である国会に対して責任を負っています。それが内閣の一員、しかも担当大臣が、国会では強行採決が行われる、それを自党の委員長に期待しているかに述べるのですから、資質以前の問題です。さすがに安倍晋三内閣総理大臣の意を汲んだ菅義偉内閣官房長官から、『注意』を受けました。
この発言の影響を回避したい与党は、野党側からの辞任要求を突っぱねます。安倍晋三内閣総理大臣によれば、アメリカに先立ち、国内をTPP参加でまとめることが重要だからです。任期満了前のオバマ大統領が、これに賛成する可能性は低い上に、クリントン・トランプ両氏も、反対を表明しています。なんとかアメリカに影響をとお考えなのです。ここでは、やっても無駄かどうかは論じません。
さて、地球温暖化対策の新たな枠組みとなる『パリ協定』は、11月4日発効しました。温暖化を引き起こす化石燃料から脱却し、脱炭素社会を目指す国際的試みですが、今世紀後半には、世界の温室効果ガスを実質0にし、産業革命前からの気温上昇を2%に抑える目的です。これは先進国、途上国を含めた190か国以上が参加する大きな取り組みとされます。しかし、日本は、アメリカ等の動向を見誤り、また、例のTPP国会の混乱から、国会の承認手続きをとることなく、これが発効してしまったのです。これでは京都議定書以来の日本、地球温暖化対策に熱心ではないーー要するに、自国のことのみ夢中だーーと捉えられても仕方ない失態です。
それでも大島理森衆議院議長らは、パリ協定の発効日である11月4日に、国会本会議場で、この条約の承認決議を行う予定でした。これには、山本大臣から名指しされたからなのか、佐藤議院運営委員会委員長も同意したとされます。私からすると、どーせ何日になろうとも、強行採決になるのは明らかではありますが。
とは言え、そんな経過で進んでいた先週、またしても山本大臣が、発言しました。『冗談言ったら、大臣をクビになりそうになった』と。
これは相当低レベルの発言ですね。冗談で仕事しているんでかね。国会の審議・決議をなんと心得ているのでしょう。当然大臣の資質なし、野党側は、こんな大臣の主管するTPPは審議するに値せず、即刻辞任を求めて特別委員会開催を反対していたのです。
それで大島議長らの取りなしで、来週7日以降の決議日程がほぼ決まって、金曜日4日は、パリ協定の承認決議かと思いきや、自民党の特別委員会委員らは、特別委員会を開催して、ほとんど審議なきまま、『強行採決』したのでした。これには、当の佐藤議院運営委員会も相当お怒りでした。だって委員長が知らないところで委員会が開催され、かつて山本大臣が冗談?で言った佐藤氏が決めるではなく、佐藤氏を除外して、採決したのですから。この特別委員会は、佐藤氏や大島氏に連絡していない事実を認めました。これでパリ協定は、如何にしても発効前の国会承認は、不能と着したのです。
強行採決と言う世界に恥を晒したのみならず、外交上の失態に加えて、パリ協定発効日ギリギリでの国会承認さえできず、重ねて世界に恥を晒しました。野党民進党は、佐藤氏がTPP採決を知らなかったことについて、関東軍の暴走を政府が抑えられなかった例にたとえ、現場の暴走と強く非難し、佐藤氏も、不手際を陳謝したそうです。
なんでこんなことになるのか。数の奢りと言えばそれまでです。私は、一強時代が続いて、与党議員に、なんとか総裁のお気に召していただくために躍起になっている空気が蔓延しているからだと思います。本当に提灯持ちですね。アメリカ大統領選挙前に、日本がアメリカに先んじて、国会で承認されたとの結果を残したい総裁の意図に沿うことが全てなのです。
結論は決まっていて、審議は必要ないのです。
本当に情けない連中です。結論が決まっているのですから、数で勝るのですから、確かに結論は変わりません。強行採決すれば、全部与党の思惑通り進みます。ただし、今回のパリ協定とTPP承認の件、これは与党の思惑と言うよりも、総裁にオベンチャラを使うことが、この国の政治の根幹、いかに安倍晋三氏のご機嫌をとるかに、この国の政治は決めれることがハッキリしたと言うこと事実が明らかになったことを、国民は認識する必要があります。安倍晋三氏、きっと世界に名を残す宰相となるでしょう。