伝家の宝刀は、抜かないほうがよいと思います。

2015年7月2日

私は、週刊誌は読みません。

 

ただ、なんとはなしに、通勤電車の吊り広告には目が行きます。

そこで週刊誌の案内を見ることがあります。ほとんど記事の見出しだけなのでしょうが、細かく読みいることはあります。

ある週刊誌に掲載されているらしいのですが、関西方面の市議会議員の私行が出ていました。

昨年あたり、地方議員の行いがいろい紙面を賑わしたことがあり、国民の関心は、あるのかもしれません。なんでもこの市議、交際中の女性に暴力を振ったとかで、傷害罪での被害届が出されたそうです。

人に手を出して怪我を負わせたなら、公人でなくてもいけないですね。

ただ、週刊誌は、公共の利害に関わることであって、専ら公益を図るために、この市議の『事件』を報じたのでしょうか。それはたぶん違うでしょう。続けてこの市議は、『被害者』の女性との間に子を設け、認知していると書かれております。

子を認知したと言うことは、この市議には妻がおり、要するに、件の女性とは不倫関係だったと言うことであります。

なんでもこの女性、市議の辞職を求める陳情書を市議会に提すたそうです。

 

不倫したかどうかは、確かに市民の代表としての資質に関わることことかもしれません。

でもねえ。認知したと言うことは、当然ながら子の父親であることを公けにしたわけです。この市議が養育費を支払っているかどうか知りませんが、母親であるこの女性とは、スナックのママさんらと一緒のときに、暴力事件が起きたと言うのですから、この女性や子どもから逃げていたわけではなく、その後も、なんらかの『関係』が続いていたことになるでしょう。

 

暴力はいけません。

 

だけどこの女性、『こんなこと』公けにして、もし、市議が失職して、養育費なりの支払いができなくなったら困らないのでしょうか。

 

それと、これも弁護士福本悟からすると、年中行事の感がある『妻から、夫の不倫相手に対する慰謝料請求』の対象になるとは、お考えにはならなかったのでしょうか。

 

不倫とは、要するに肉体関係があること、そんな事実を市議会に言ってよいのでしょうか。

きさらぎ法律事務所にお越しになる方に、よく申し上げる言葉として『伝家の宝刀は抜くな!』があります。

 

抜くぞ抜くぞと見せかけている間が、『こちらが上』なんです。これも反対の立場に置かれた方からのご相談でも申します。

『いついつまでに、これこれをしろ。やらないときは、然るべき手続を執る』これもよくあります。

 

そんなとき、相手の要求を受けられないとき、また、よく考えれば、そんな要求なんて放っておいて困らないときは、無視しましょうと申し上げます。

先方は、『やりたくない』然るべき手段、つまり裁判その他をしなければならなくなります。

 

本当に、そんな手続を堂々と出来るならば、いちいちそんな『予告』をするまでもなく、やってしまえばよいのす。

 

刀は抜けない事情があるわけです。

 

さて、この女性、刀を抜いてしまいました。まず、この市議とは、以前のような『関係』ではいられないでしょう。

市議の奥さんから 法的措置を執られるかもしれません。それと、面白おかしくマスコミや追われ、世間からはどんな目で見られるでしょう。

 

いつまでも、この子のお父さんお母さんなのです。大丈夫でしょうか。

ある裁判官が仰っていました。不倫はどっちもどっち、フィフティフィフティ。法律的には結論が出ても、社会的にはいずれかだけが責めを負うと言うのはバランスを欠くのだそうです。

 

もちろん私は、この事件、どちらの肩を持つものではありません。『不倫は悪い』のは当たり前、なんで『こんなこと』記事にするんですかねと言うことに尽きるのです。

勝ち続けること、注目され続けることのプレッシャーとは

2015年7月1日
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『神奈川を制する者は全国を制する。』これ、なんのことかわかりますか。

 

決して私が何かのことで、そんなふうに思っていると言うわけではありませんので、誤解なきようお願いします。

 

これは、全国高校野球甲子園大会を目ざしたある高校球児が言った言葉です。

 

隣県神奈川県は、甲子園を目指す高等学校の予選参加数が長年全国一で、200校を超える年度もありました。

その神奈川県の予選の対戦相手を決める抽選会が、先日行われました。

この神奈川県の高等野球で、一際名を轟かせたのは『横浜高校』であり、その監督渡辺元智氏であることは、高校野球通の間では常識の域ではないでしょうか?

渡辺監督と言えば、現在ソフトバンクホークスに在籍する松坂大輔投手の恩師しても知られており、最近では、横浜DeNAベイスターズの4番バッター筒香嘉智選手の才能を見出したことでも有名です。

この渡辺監督、70歳となった今年の夏の大会を最後に、勇退すると発表されました。 横浜高校と言えば、春夏通算甲子園で5回の優勝をした強豪校と言われています。ただ、神奈川県の予選は厳しく、トーナメントで最低7試合勝ち続けなければなりません。

しかも、各校とも『打倒横校!』を合言葉に挑んできますから、横校高校と雖も甲子園の切符をいつも手にしているわけではありません。横校高校対東海大相模などは、いつも球場が満員札止めとなるのです。

 

渡辺監督は、長年身体との闘いを強いられておりました。常にストレスが溜まって十二指腸潰瘍、胃潰瘍は持病となり、不整脈から心房細動を起こし、やがて脳梗塞で倒れて騙し騙しながら監督をやってきたとインタビューに答えておられました。

 

勝たなければならない、皆に注目されているプレッシャーは、想像を超えるものがあったと思います。

あるとき突然出奔し、北海道のホテルで学校宛辞表を書いて送ったこともあったそうです。

何も知らない人間は、強くていいな、有名選手に囲まれ慕われいいななんて勝手に思うでしょう。そうでなくても、横浜高校に期待し、見たい!と思う人がたくさんいると言うことは、監督にはプレッシャーになるでしょう。

 

よく、頂点を極めた後が難しいといわれますが、これだけ長くそのようなポジションにいることの苦労は、並大抵なものではないと思います。

渡辺監督さん、お疲れ様でした。そして「ありがとう」を言いたいです。 横浜高校の優勝、また輩出する名選手の情報より、私は、負けたときの渡辺監督の姿が印象に残っています。

特に、愛甲猛投手が2年生の夏、決勝で『まさか』公立の横浜商業高校に負けたときです。

 

横浜商業は、60何年ぶりかの甲子園の扉が開いたそのとき、渡辺監督は、苦労されたであろう横浜商業高校の監督さんに歩み寄り、おめでとうを言った後、「私も一緒に甲子園に行きますよ!」と握手を求めれれたのでした。

そして、翌年横浜高校は神奈川を制し、そして愛甲猛投手のもと、夏の甲子園、全国を初めて制したのでした。

 

高校野球で勝ち続ける学校は全国たった一校、渡辺元智監督が、この夏その一校になる確立はどれくらいかわかりません。

 

でも、『最後の一校』にならなかった場合の渡辺監督の弁を聞きて見たい!と思うのは、神奈川県否全国の高校野球ファンから叱られるでしょうね。どうぞ身体を厭いながら、渡辺元智氏らしい有終を飾ってください。

 

NHK大河ドラマ『花燃ゆ』の池田屋のシーンから

2015年6月30日
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福島県会津地方では、未だ長州すなわち山口県に対して、敵対心があると聞きます。

 

実際会津を歩き、地元の歴史愛好家から、そんな事実を聞かされました。

会津は、長州によって悲哀を味わされたと言う思いです。 会津と言えば戊辰戦争、特に白虎隊の悲劇で知られています。

会津の人は、会津こそ京都守護職として朝廷を守った、松平容保は御宸翰を賜った、それが御所に発砲した長州から朝敵扱いされた、とても許せぬと言うわけです。

 

会津が、幕末維新期の悲劇の象徴となってしまったことについては、歴史家等が散々論じていて、歴史好きな私なりの認識はあるのですが、今日は、それを言いたいのではありません。

これからお話することは、あるいはこの『ひとりごと』に最も多く登場する方と「実は仲良しなんだ!」と思われるかしれません。

それもまた一興です。

会津が、長州その他の新政府、官軍から恨まれた原因のひとつに、新撰組を抱えていたことがあると言われます。新撰組と言えば池田屋です。

 

東京都下に住む私は、周辺には、新撰組と縁がある施設等あって、知人には、新撰組ファンが少なからずおります。

 

薩長による新政府ですから、池田屋で落命した当時の尊皇攘夷派志士が、明治になって殉難七士とされたように、新撰組が一躍勇名を轟かせた池田屋事件がなければ、明治維新は、1年早く訪れたとも言われます。

これまで池田屋事件は、新撰組に捕らわれた古高俊太郎の自白により、長州を中心とする尊皇攘夷派により、祇園祭の前の風が強い夜に市中に火を放ち、公武合体派の中川宮を幽閉、守護職松平容保を殺害、そして孝明天皇を長州にお連れするとの計画があり、その打ち合わせが、池田屋か四国屋で行われるとのことだったとされておりました。

しかし、近時これに異を唱える向きがあるようです。私もそのひとりであります。上記志士らの企みなるものは、古高俊太郎の自白しかありません。

これは、土方歳三の苛烈な拷問によるものであることは史実として明らかで、自白したとされる古高俊太郎は、すぐに別の件で処刑されています。戦後憲法のもと、刑事訴訟法を学んだ私からすると、「拷問による自白は証拠とならない」「自白のみでは有罪とされない」のは当たり前であります。

要するに、新撰組土方歳三がそう言っているだけなのかもしれません、後の木戸孝允、このとき池田屋の会合に行く予定だった桂小五郎は、この当時は、古高俊太郎の救出に関して話し合いかが持たれていたと述懐しています。

 

この後、禁門の変に繋がることからしても、長州その他のお歴々が、そんな計画を実行できる用意があったのか疑問です。 この池田屋事件での『殉難者』のひとり吉田稔麿は、松下村塾四天王のひとりであり、殉難七士の中で、意外にも?唯一の長州出身者です。こんなところからも、私は、新撰組そして会津側から史実として定着している古高俊太郎の自白なるものの信憑性に、疑いを持った理由のひとつです。

そして、この吉田稔麿の最期についてもまた、いろいろな説が出ているのです。

殉難と言われていることからして、当日池田屋で闘死したとの説、池田屋の急を知らせに長州藩邸前にたどり着いたが追っ手が来て自決したとの説、池田屋の変を聞いて、長州藩邸から池田屋に向かったが、新撰組に挑んで斬殺されたとの説いろいろです。

ところで、低視聴率で喘ぐNHK大河ドラマ『花燃ゆ』は、先日池田屋の場面がありました。

吉田松陰先生(私は、つい、『松陰先生』と言ってしまいますので、お聞き苦しい方は、何卒ご容赦願います)の門下生四天王のひとり吉田稔麿の最期シーンです。

ドラマでは、吉田稔麿は、松陰先生が野山獄に繋がれるとき、先生に背を向けたことを生涯負い目に感じていて、また、友を大切にする教えを終生大事に思っていたところ、若い頃、松陰先生と日本各地を回った宮部鼎蔵より、友と言われて感激し、池田屋の変を知って、彼らを捨て置けないと感じ、桂小五郎の制止を振り切って、池田屋に向かう途中、会津藩兵に囲まれて、最期を遂げたというものでありました。

 

このとき会津藩は、長州藩は、御所に火をつけて帝を誘拐するかに言いました。吉田稔麿は、「長州男児は、そんな卑怯なことはしない!」言い、多勢に無勢、斬り死したのです。これは新説かもしれません。会津関係者からすると、許し難い脚本かもしれません、古高俊太郎が自白したと言う内容は事実ではない、武士になりたい!地位固めをしたかった新撰組の陰謀だとの立場に立つからです。

そして、新撰組を抱えていたのは会津藩です。 歴史に誤魔化しは認められないとは、つとに言われることです。大河ドラマの世界だから良いではないかと言ってしまえばそれはそうでしょう。

私からすると、吉田稔麿のあのシーンは、全くの脚色だとは言えないのです。しかし、大河ドラマ『花燃ゆ』では、もっと酷い歴史の虚構がありましたから。

 

まあ、大目に見てよと言いたいところではあります。 幕府が、孝明天皇に対して約束した攘夷決行日である5月10日に、実際攘夷を決行したのは長州藩だけでした。

 

ある意味、異国大嫌いの孝明天皇の御意を実行に移した点では、『長州こそもともと真の勤王』と評価されるのでしょうか。

それはそれとして、長州藩が、関門海峡を通過する異国船に発砲したわけですかが、『花燃ゆ』では、『フランス船』になっていました。

これこそ明らかに事実に反します。

 

長州藩が砲撃を加えた最初の異国船は、無抵抗のアメリカ商船です。どこの国籍かどうでもいいんじゃないと言えなくはないかもしれません。

ただ、これが放映されたとき、関門海峡のある山口4区を選挙区とする安倍晋三内閣総理大臣は、折から渡米中で、オバマ大統領に対して日米同盟の重要性を言い、また、アメリカ合衆国国民を前にして、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障法案を、早期に成立させると約束しておりました。

 

そんなとき、大河ドラマで、長州藩が、アメリカに砲撃を加えたなんで、まずかったのでは?と考えてしまいます。

 

この歴史の捏造?に比べれば、所詮大河ドラマの中のこと、会津関係者の皆様、吉田稔麿の死に関するあの放映は、何卒寛大にと願わずにはいられません。それから、なんで私が、どなたかと同じ、吉田松陰先生を尊敬しているのか、心ある?友人は、とても理解できないと言います。

 

そんなことを気にする方は、私は、今国民の圧倒的多数の支持を受けている団体の長として、戦後70年を抜本的に変えてしまおうといろいろやっておられる方とは、『平和』『立憲主義』『人間の尊厳と民主主義』等に関して、全然異なる考えであると仰っているわけであります。

 

さて、そのことの真偽は、ひとりごとの読者のご判断に委ねます。

小松空港、富山きときと空港の現状から考えるべきこと

2015年6月29日
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北陸新幹線が3月14日に開業して3ヶ月が過ぎました。

 

これまで首都圏から鉄道で北陸地方に行く場合、新幹線と在来線特急を乗り継ぐ必要があり、新幹線の開業により、時間の短縮と大幅な便宜が図られたことになります。

昨年の同期間と対比して、鉄道は、3倍の乗車率だそうです。 予想されていたとは言え、これであおりを受けたのは富山きときと空港、小松空港です。両空港は、主力線は羽田便ですが、小松空港で33.7%.、富山空港で28.7%の減だそうです。

 

富山県、石川県にしてみれば、北陸新幹線の開業を声高に言って、実際両県を訪れる人が増えたのだから良いではないか、航空会社ならともかく、県が空港利用者の減少を憂うる必要はないのではとも思われました。

しかし、事情があるようです。石川県によれば、もともと石川県は、羽田乗り継ぎ客をかなり当て込んでいたのだそうです。すなわち、羽田空港利用客のうち、乗継客は6%に過ぎず、福井県にも近く、金沢の入り口としての小松空港は、羽田空港を経由しての観光客の需要はかなりあると見ていたこと、富山県によれば、現在韓国、中国からの国際線乗り入れに力を入れているところ、富山空港を使う国内線はANA1社であり、国際線各会社のハンドリングをANAが担当しているため、もし、ANAが富山空港から撤退などしたら、国際線利用客、海外からのお客さんが、富山県に来なくなると言うわけであります。

 

首都圏、東京で暮らす人間の悪いところ、驕りとも言えるのは、なんでも東京を起点に捉えることだと思います。新幹線が繋がったから経済効果があったなんて言うのは、その地方の立場からの発言ではありませんね。

 

北陸3県は、東京だけを向いているのではありません。全国各地、そしてアジア世界からのお客様を受け入れたいと考えているのです。 ハンドリング、航空業界の場合、グランドハンドリングと呼ぶようですが、空港内での航空機の発着に伴う航空機誘導、貨物搭載、給油等を担当する仕事ですが、これを自前で全て行うのは経費的にも困難で、かつてのエァドゥ、スカイマークでも、他社に委託したことがありました。

 

私は福岡から帰るとき、福岡空港の搭乗便カウンターで、しばしばお魚を預けるのですが、昼間の時間帯は、「本日羽田からのお乗り継ぎはありませんね」と尋ねられることがあります。

九州から、羽田空港を乗り継ぎに使う利用客はいるのだなと実感いたします。

 

特に小松空港の近くには、名所旧跡があります。安宅の関、松井秀喜記念館しかり、片山津温泉、山中温泉、山代温泉は北陸の名湯で知られ、金沢市の反対には、東尋坊、永平寺等のある福井県です。

私自身も、福井県に出張したときには、小松空港を使いました。これもかつて利用したことのある富山きときと空港は、富山市内から20分の距離に位置します。

特に海外からのお客さんには、立山連峰の勇姿、黒部立山アルペンルートなどは、ぜひ見ていただきたい日本の風景ですね。

一口に地方空港と言ってしまいますが、その意義は、その地域だけが考えればよいのではないですね。日本各地との交流、そして世界に発信するには、国民全体でいろいろ考えなければならないと思いました。

 

そう考えると、『地方創生』なんて言葉自体が、上から目線と感じてしまいます。いつか申したかもしれませんが、与党のあのポスター、なんとかならないですかね。。。

 

逃げたい人と逃がす人

2015年6月26日

アメリカ合衆国のある州にある刑務所で、殺人罪で有罪判決が確定して服役中の既決囚2名が脱走したとのニュースが入ってきました。

この脱走は、何らかの機器または道具を用いたことが明らかと言われており、数日後、この刑務所内の洋服を仕立てる作業場に勤務していた女性が、ドリル等を服役囚らに渡した嫌疑で逮捕されたと報じられております。

 

日本の刑務所は、外部の業者が立ち入って作業等することは、基本的にないと思っています。

 

よく、刑務所内の刑務作業により作られた家具等が、販売される機会がありますね。

また、国家試験の問題は、刑務所内で作成されていることが多いです。これは、日本の刑務所が閉鎖的、すなわち、中で何が行われているか外部からは掴みにくいことによって、実現できることであります。 有罪判決が確定して受刑中の人も、やはり『逃げたい!』と思う気持ちがあるわけです。

まだ起訴されず、有罪判決を受けていない段階の被疑者は、なおさら『逃げたい!』と思っている人は、少なからず存在するのだと思います。逃げたいとは、逃走するのではなく、他人に罪を被ってもらいたいとの『卑怯な』『厚かましい』思いに繋がるようでもあります。

 

先日福岡県内の警察署に勾留中の覚せい剤取締法違反の被疑者が、留置管理係の警察官に対し、同じ署内の留置場に勾留中の知人に、この件の罪も引き受けてくれるよう『伝言』を依したこと、そしてこの警察官は、実際『伝言』したことが、この知人の供述により判明したと報じられております。

 

どうやら、伝言を依頼した被疑者が、福岡県警あげて撲滅を目指している指定暴力団の組員だったことから表面化したようで、とんでもないことだと思います。

 

何がとんでもないかって、『逃げたい!』と思うのは、本人のある意味自然な感情、しかし、他人は違うはず、『逃がしたい!』と思うのは自然な感情だと言えますか?

私たち弁護士は、刑事弁護人として被疑者と接見することが、とても重要な職務です。

接見交通権と言われるものがこれです。ときに録音機を持参した、写メで撮影したなんてことで、検察庁等から、弁護士会に担当弁護士の懲戒請求などなされることがあります。

 

中には、被疑者から聴取した事実を確認するため関係者と接触しただけで、証拠隠滅なんて疑いをかけられることもあります。

留置管理室、業界用語で『看守さん』は、ストレスが溜まるお仕事だと思います。

 

でも、『真実』を曲げる行為を、しかも職務に絡んで行うのは、いったいなんの意味があるのでしょうか?現段階では、金銭授受はないそうです。

報道では、この警察官は、「信頼関係が築け、業務が円滑に遂行されると思った」と供述したそうです。

 

誰と誰の信頼関係なのか、なんの業務がスムーズに進めばよいと考えたのか、報道の限りでは明らかではありません。

 

『伝言』を聞いた『知人』は、「自分がやった」と供述し、その後警察官からの『伝言』のとおり対応したと訂正したそうです。

 

この警察官には、暴力団員とされる被疑者を逃がす意図まではなかったでしょう。暴力団との信頼関係なんて『まさか』ですから。弁護士としてとても気になるのは、単に犯人を逃がす手伝いをした、つまり犯人隠避の罪が成立することが問題ではなく、『業務の円滑』とは、要は、犯罪が起きたら犯人を挙げることが重要、『犯人』が誰かは関係ないなんてこの警察官が考え、教えられていたのではないかと言うことです。

 

もし、件の暴力団組員が否認するなど捜査が困難を極めていたら、折良く『犯人』になってくれる者がいたら……の思いに至ることはなかったのかの疑いであります。留置管理室の手柄で捜査は一件落着?そんなことがあろうはずがありません。これは一福岡県の特別なケースだなんて終わらせず、警察組織の問題として、『真実追求』をして欲しいと願います。