『きもちのいいくらいの変節』って、大臣になれば誰にでも起きるのでしょうか。

2016年10月7日
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臨時国会は、衆議院そして参議院の予算委員会に質疑の場を移しました。

内閣総理大臣の指名や予算の先議、また、いわゆる3分の2の再議決等、憲法上衆議院の優越が定められています。


例外は、憲法改正の発議で、両議院の総数の3分の2とされていて、いかに日本国憲法が世界に稀に見る硬性憲法だと知りうるのです。ゆえにこれの改正発議が可能になる議員の総数が、そこまで達したと言うことは、まさしく一強多弱、悪く言えば、『一党独裁』となるわけです。

今日は、憲法改正についてお話するのではありません。数の横暴に屈することなく国民の声を届ける『良識の府』の機能が、参議院には期待されています。


ただ、もう3分の2になり、先の安保法制の審議を見ても『?』ですが、ここにきて、少し注目を浴びつつあるようです。それは、野党第一党民進党の代表となった蓮舫氏は、参議院議員だからです。

内閣総理大臣は、憲法上は、参議院議員でもなり得ますが、衆参で異なる議決がなされた場合には、衆議院の議決が優先されます。


この例は、かつて参議院が、当時の社会党委員長の土井たか子氏を首班指名したケースがありました。そんなことからか、『政権奪還』を目指すと言う蓮舫氏、衆議院への転身が囁かれてもいますね。

また話が脱線しました。今日は、日頃あまり注目されなかった(失礼!)参議院が、蓮舫氏の登場により、報道機関に取り上げられるようになりましたので、ここで知られたところについてひとりごとを始めます。


対象となるのは、稲田朋美防衛大臣とのやりとりです。稲田朋美氏、言わずと知れた自民党の中でも極めつけのタカ派であり、安倍自民党総裁にたいそう気に入られていることは、衆目の一致するところです。


女性議員の中では、最も首相の座に近い人とも持て囃されています。

蓮舫議員、安倍内閣の一員となった稲田大臣に対し、過去の発言を確認させ、これを安倍内閣の閣僚として維持するのかの点で、多方面から質問を発しました。閣内不統一を露わにして、安倍内閣総理大臣の任命責任を問う狙いがあるわけです。


私も不思議でした。

この人稲田朋美氏の本音、理屈からすると、これまで日本政府、歴代の内閣がとっていた諸々の政策や理念は、真っ向から否定されるので、きっと野党から追及されるだろうなと思えたからです。



まあ、お得意なヤジで誤魔化し、『ヒラメさん』に大挙協力してもらう算段でしょうかね。

稲田朋美氏が、『自民党は、国防軍を創設することにしました!』とあちらこちで発言していることはかなり知られています。


これはまだ発足したものではありません。自民党の立場でも、憲法改正が必要になるからです。なんとなれば、日本には軍隊は存在しないことになっているからです。自衛権を行使するための最低限度の実力部隊が、通常防災活動等に従事する自衛隊だからです。


ですから、自衛隊に要する費用は、防衛費と言います。以前ある政党の若い幹部が、『人殺し予算』と発言して更迭されたのは、日本国憲法上、殺し殺されることが避けられない『軍隊』は、存在しないからです。


ところが稲田朋美氏、防衛費と言わず、『軍事費』と言っています。もっとも安倍晋三内閣総理大臣ご自身、自衛隊を『我が軍』と言いましたが。でも、防衛大臣となったら、防衛費になるんですかね。

稲田朋美氏、ハッキリと日本には核武装の必要性を言っていましたね。単なる精神論や議論ではなく、日本の国家戦略として検討すべきだと。


そんなお考えの稲田朋美氏、蓮舫氏から指摘された過去のご自身の発言を掲載された雑誌の該当部分を読み上げました。


『子ども手当部分をそっくり防衛費に回せば、軍事費の国際水準に近づきます。自分の国を自分で守ることを選ぶのか、子ども手当を選ぶのか、国民にわかりやすい議論をすべきでしょうね』と。子ども手当は、財源がないからと、その理由付けもしていました。

財源の話は良いでしょう。財源がないのに、やれ公共事業だ、やれ法人税減税だ、そして何故か参議院議員選挙前に、低所得者とされる高齢者に、30.000円を渡してもいますから。


だって、国債発行残高はいっこうに減らず、日銀はゼロ金利政策なんてやっているのですから、財源がないことは、何も子ども手当だけのお話ではありません。財源がないのに、軍事費なら良いって発想はわかりませんが。

稲田朋美氏、蓮舫氏から、現在もその見解か、内閣の一員として、過去の発言見解を撤回する気はないのかと質されました。


いずれも撤回する気はないし、閣内不統一不統一でもないと答弁しました。安倍内閣の一員として、子育て政策、福祉政策は、財源を見つけて充実させるべきであり、防衛大臣として非核三原則を守り、唯一の被爆国として、核のない世界を全力を挙げて実現するために尽くしていく所存と述べたのです。これを受けた蓮舫議員、『気持ちいいくらいまでの変節ですね。』と。



果たして稲田朋美氏、変節したんですかね。それとも大臣である限りの『時限答弁』なのでしょうか。大臣にしがみつくための変節するなら、こんな変節、良いですね!

さて、今日は、日本弁護士連合会の人権擁護大会シンポジウムが福井市で開催されています。


テーマのひとつは、『立憲主義と民主主義を回復するためにーー安保法制と秘密保護法の適用・運用に反対し、その廃止を求めてーー』と題して議論がなされています。私も応援する毎日新聞社特別編集委員をされる岸井成格氏もいらっしゃて、基調講演をなさいました。きもちよく変節されたなら、こちらにいらっしゃればよいのにと思いました。


いろいろ勉強できますよ。