『お客様は神様です』と持ち上げる必要はないけど、お客様を差別し、バカにしてはなりませんね。

2016年10月12日
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少し前の話ですが、大阪市内の寿司店が、特定の国のお客様に、大量のわさびをつけて握り寿司を出していたことが、ネット上で批判を受け、このグループ会社が、弁明に追われたことがありました。


会社による聞き取り調査などによると、確かに特定の店舗のある従業員が握った寿司には、かなり多くのわさびがつけられていたことが、確認されたようです。

ただし、これは差別や嫌がらせではなく、わさびを大量に求める外国人の方があったことが契機に、そのようにしたとのことで、いわばサービスのつもりだったと聞こえました。

もっとも、ネット上のコメントでは、実際笑いながら、あるいは特定の国籍の人を嘲笑うかの言辞を吐いていたとも伝えられていて、少なくとも写メされた画像を見る限り、『わさびテロ』と称されたことがわからないでもないくらい、とても美味しく寿司を食べられるものとは思われないのです。

ところで、これはネット上に出ていたのですが、わさびテロを行なった店舗従業員に対する同情あるいは共感する意見が寄せられていました。

その理由は、特定の国に対する嫌悪感からなされた一見して分かる内容で、理由にもなりえないものです。文句があるなら来るな!件の国でも排日教育をしているとか、ここで論じる意義はありませんのでコメントはいたしません。

私は、差別云々以前に、この職人さんは、寿司職人としてのプライドや、お客様へのおもてなしの気持ちはないのかと思いました。寿司職人には頑固な人、こだわりを持つ人が少なからずいて、自分の信念、寿司へのこだわりこそ最高の寿司を出せる前提だとして、客の好みや希望を聴かないのだと聞いたことがあります。おもてなしの形はさまざまで、ニヤケながら寿司を握るのもひとつのあり方かもしれません。

しかし、お客様は、わさびを食べたくて来店したのではないと思うのですが。

この記事が誌上に現れてしばらくしたころ、ひとつの話題が先の『わさびテロ』の被害に遭った国民から、提供されました。今度は、大阪市内のバス会社が、その国籍の乗客に、差別的とも取れる対応をしていたと言うのです。『被害者』は、大阪市内の営業所で乗車券を購入するとき、英語で自分の名を名乗ったそうです。


その際、日本語で言えば苗字の部分のみを伝えたところ、乗車券に表示された名前が、カタカナで表記されたいわゆるファーストネームに続けて、かつて日本人が、その国民を蔑視する意図で使用した『◯ョ◯』を印字したと言うのです。実際写メされたその乗車券には、そのように書かれていていたことが確認されています。このバス会社もその事実は認めました。ただし、差別的意図はなかったとしています。

このバス会社によると、実際発券に携わったのは、20代の女性で、そんな『差別用語』はそもそも知らないと言いたいようです。確かに差別する意思はなかったのかもしれません。英語での発音が、そんなふうに聞こえたからだと言っています。しかし、このバス会社の乗車券には、氏名を全て表記されることはないことが確認されています。

例えば、『スズキ』の類です。それに『◯ョ◯』と聞こえたってのは本当なのかはともかく、あえて書く必要はないですね。私は、日本語が得意ではないと見たお客様に、面白おかしくふざけてやったのだと感じます。実際、帰国して日本語がわかる人から指摘を受けて怒りが湧いたと報じられていました。

さらにこんな例も報道されていました。やはり大阪市内の鉄道会社のケースです。10月の三連休で混雑する関西国際空港へ向かう車内で、担当車掌が、「本日は、多数の外国人のお客様が乗車されており、大変混雑しておりますので、日本人のお客様には、ご不便をおかけしています」とのアナウンスをしたことで、社内で口頭注意をされたことが明らかにされました。なんでも始発駅で、日本人の乗客が、外国人が多くて邪魔と叫んでいるところに遭遇したので、トラブルを防止するために、アナウンスしたとのことでした。


差別する意図はなかったが、あたかもお客様を区別するかのアナウンスをしたのは不適切だと言う会社の判断が述べられていました。これまでも、外国人の乗客の大きなバッグ等で、苦情が出ていたけれども、この車掌さんがアナウンスしたのは初めてと付け加えられております。

この最後の例、私も、差別的意図はなかったのだろうと思います。ただ、やはり『区別』と捉えられる発言はチョットまずいかなと感じます。混雑する車内で、バッグ等が邪魔なのはよくあることですが、それで迷惑?するのは、その場に居合わせた乗客であって、必ずしも日本人だけが迷惑を受けたのではないですから。でも、この事実を電鉄会社に通報したのは、アナウンスを聞いた日本人の女性だそうです。いつもこんなふうにマニュアル化されているのかと尋ねたと伝えられています。この通報者には、差別的と映ったのでしょう。


これまでの例が、『被害者』側からあらわにされていたのと異なり、興味を持ちました。会社が不適切と判断したのですから、『通報』は正しかったとなりましょう。でも、不適切かもしれないが、悪意を感じないのはなぜでしょう。

大阪の鉄道会社で思い出したのは、これも少し前に、先行列車の人身事故により、途中駅に停車中の電車の車掌が、乗客からのクレームに耐えかねて、自殺すると喚いて制服制帽を脱ぎ捨てて線路内に侵入、高架線から飛び降りて(落下して)、大怪我を負った事件?です。これには、この車掌さんへの同情が多く聞かれました。会社が、彼を懲戒処分しないようにとの署名も行われています。ここで問われたのは、人身事故による遅延と言うこの車掌さんにはどうにもできないことに関して非難し詰め寄り、罵倒することの適否でした。

公共交通機関でのマナーは必要ですし、我慢も必要でしょう。外国からのお客様には、日本でのマナーを理解していただくのは難しい面があると思います。

しかし、日本人は、マナーをわかっているはずです。


また、接客業に携わる方は、今は、外国からのお客様相手無くして、商売は成り立たない現実があると思います。そんな中で、差別、不適切、マナー違反、あるいはクレーマー等等、サービスを提供される側も、意識を高める必要があると思っています。ここが徹底されていない接客業は接客業の資質はなく、また、公共の場での自己中クレーマーもまた、サービスを提供される資格なしと考えます。


接客業ってなんだろう、利用する側もされる側も、真面目に考えるべきだと思うこのごろの大阪での『事件』でした。