『どのような立場、どのような状況でも、人は、人に対して可能な限り敬意を持って接するべきです』ーー米山隆一次期新潟県知事の言葉から。

2016年10月24日
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惹かれる言葉がありました。「どのような立場でも、どのような状況でも、人は人に対して可能な限り敬意をもって接するべきです。

 

私の任期は始まっていませんが、私なら、自県の職員が、他県で、他県の方に敬意のない対応をした時に謝罪し、以後改めるよう強く指導することはあっても、『出張ご苦労様』ということはありません」。

 

これは、次期新潟県知事となられる米山隆一氏のツイートからです。

 

『人は人に対して可能な限り敬意を持って接する』。ハッとしました。自分は、そうしていただろうか?まさしく敬意を表しようとしないどころか、人をバカにした態度をとる人に対して、少なくとも心の中では、同じことをしていたのではないか。人は、どんな立場や状況に至っても、人に対する敬意を忘れてはならないのです。 このツイートは、維新の党代表で、大阪府知事を務める松井一郎氏が、大阪府警の警察官に対して『出張ご苦労様』と述べたことを受けてのものです。

 

大阪府警は、沖縄県国頭郡東村の高江地区で進められているいわゆる『高江ヘリパッド』建設再開を巡って、この工事に反対する住民らが近くに座り込んだり、道路を占拠するような事態が発生してこれを排除等するために、他のいくつかの県警とともに、現地に動員されておりました。そこで工事に反対する住民側に向かって不適切な言辞を吐いたことで、多方面から批判を受けたところ、松井知事は、発言の不適切は認めた上で、職務は遂行されており、『出張ご苦労様』と述べのです。 現地に派遣された大阪府警の警察官は、フェンスの前で抗議を繰り返す住民側に対して、最初は丁寧な言葉で退去を求めておりましたが、やがて粗野な言葉となり、『コラァ』『ボケ』に、そして『土人が』と発したのです。

 

『土人』とは、もとは土着のときから、その土地で暮らす先住民を指すとされました。しかし、未開の土地であったり、その暮らしが原始的なものだったことから、野蛮とか粗野とかに転じ、やがて侮蔑する言葉であるとして、放送等の表現の自由規制の面では、差別用語と固定されているものです。 しかし、『土人』と言う言葉が今時20代の警察官から出るとは。先の大戦のころ、日本の統治下にあった南の島での踊りを歌った曲がありましたが、それ以前に、アイヌ民族を北方土人と呼んだり、琉球処分以来の沖縄県にあっても、かつて朝鮮民族や台湾の先住民が、土人として『展示』され、見世物にされた事件も起きており、日本人の一部には、旧来の差別侮蔑意識があったのは否定できません。

 

でも、これは私が小学生のころ聞いた話です。

 

まずもって、20代の若者が、こんな言葉!知っていたのに驚きました。

学校では、そんなこと教えませんから、彼が所属する、あるいは取り巻く社会で、そんなこと!が話題になっていたことを物語ります。この『土人発言』に関して思うところは、別に述べます。今日は、大阪府知事の『ご苦労様です』発言と、その後の弁明にについての思うところであります。現在でも、ご苦労様発言、大阪府知事は撤回していません。

 

でも、反響が大きかったからか、少しずつ修正と言うか、弁明しています。それが全く可笑しい。 問題は、土人と発言した個人を槍玉に挙げているのではなく、ご苦労様って述べた知事の見識が問われているのです。土人と言ったのは悪いが、相手(沖縄県民等反対派?)も無茶苦茶言っている、鬼畜生のように個人攻撃して良いのかってことだと述べました。

 

確かにボケ、土人かと言われて『暴力団か』と言い返した場面は、映像にも出ていました。衆議院本会議場に出頭した内閣総理大臣から、敬意を表しようではありませんかと与党議員総立ちで拍手を受けた方々です。

 

そのような尊敬すべき高貴な御仁が、そのような言動をすれば、驚愕のあまり暴力団か‼️と思わず声を挙げたことが、無茶苦茶言っていることになるのだそうです。

 

それと、私は、『鬼畜生』って言葉知りません。

土人と言われた沖縄県民らが、その大阪府警の警察官個人を、鬼畜生?かどうか知りませんが、執拗に個人攻撃しているんですかね。国民を守るために権力を与えられた警察等の組織を批判しているのだと思いますが。土人なんて言葉は、件の警察官の個人的趣向、思想や向学心の結果知りえて発せられたとは、到底思えません。

 

それにしても、『鬼畜生』ってなんですかね。 維新の党沖縄支部では、松井一郎代表に抗議書を送ると報じられています。この報道が出されたころ、松井一郎大阪府知事は、あれは全国から派遣された全警察官に対して述べたと言いました。

 

この人、潔さだけはお持ちと思っておりましたが、事態が沈静化せず、知事の資質を問われかねなくなって、ちょっと足掻いていますね。大阪府知事が、全国の警察官に対して『ご苦労様』とは、随分丁重と言うか、はたまた上から目線でと言うべきか。沖縄県警他全国から馳せ参じた警察官は、松井氏や大阪府に命じられて、また、大阪府のためにやって来たのではないでしょう。

 

そもそもなんで警察官だけ労いを受けるのでしょう。そこには、それこそ沖縄県で、政府が進めていることを反対する者を排除あるいは摘発することを職務の1つとする立場の者は、『ご苦労様 』となるように取れます。 政府も警察官も、この豊かな国土とそこで暮らす国民の安寧を守るために、権限そして権力を付与されています。時として国民間の調整のために、それを行使しなければならないことも起きます。しかし、それは当然ながら自分に刃向かう者を懲らしめると言うことではありません。

 

あの警察官、普段街を歩いている時に、国民や自分の権利が侵害される危険性を察知したとして、『おいコラ、ボケ、土人』って言うんでしょうか。

 

それはそれでちょっと怖いですが、おそらく『あの時』警察官だから言えた言葉でしょう。

立場、状況により、出た言葉でしょう。 私は、個人的にこの警察官を責めても仕方ないと思っています。先にも申しましたが、個人的に『土人』を調べて知っていたとは思えません。警察官の中で、刃向かう者はなんとやらと、『覚悟』に関して、教育されていたら恐ろしいです。

 

まさに米山隆一氏の言葉が思い出されます。『どのような立場でも、どのような状況でも、人は人に対して可能な限り敬意をもって接するべき』です。大阪府知事の心底には、人に対する敬意を感じられません。

 

『土人』はともかく、沖縄県民は、なぜ反対するのか、高江ヘリパッド問題の根幹は何か、洞察していないと言われても仕方ないです。わずが160人の部落に、オスプレイの飛行場が出来る、それに反対すること、そしてわずかな人数で闘う村人のために、全国から支援の輪が広がっている、たとえ大阪府知事が、あそこにヘリパッドが建設されるのは当然と政治的に考えていたとしても、そうではないと考えている人たちへの敬意が少しでもあれば、『ご苦労様』は、出てこない言葉です。

 

まさに立場と状況に関わりなく、人に対する敬意を持つこと、当たり前のことですが、とても大切なことに気づかせてくれた大阪府知事と次期新潟県知事のツイートでした。