『ラニーニャ現象』による今年の冬の大雪を予感させる一足早い北海道の積雪量です。

2016年11月9日
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11月7日は、二十四節気のひとつ『立冬』です。暦の上では今日から冬となり、本州各地では、今年一番の冷え込みとなったと報じられています。また、北海道では、軒並み氷点下、このところの寒さはちょっと驚かされます。以前この『ひとりごと』でも書きましたが、猛暑が続いたこの夏に、2016年の晩秋から2017年にかけては、『ラニーニャ現象』により寒さが厳しく、日本海側では大雪となると予報されていました。どうやらそのとおりの冬となる気配です。

私の記憶、経験だと、札幌市内の初雪は、例年11月中旬あたりで、当然すぐに溶けて根雪にはなりません。ある年は、ちょうど札幌市にいた11月18日が、その年の市内『初雪』と言われたことがありました。ところが11月の声を聞いた途端?北海道内は、かなりの降雪となり、ふだん雪が多くないと言われる十勝地方でも、相当の積雪となりました。

そして札幌市も、予想外の降雪となったようであります。特に最初の日曜日となった6日は、冬型の気圧配置が強まった影響で、札幌市中央区でも、朝から降雪となり、午前中で積雪量20cm超となったそうです。札幌管区気象台によると、観測が始まった1953年以降、11月初旬としては、最高の降雪量となったと発表されています。

この時ならぬ大雪?で、札幌市電の軌道を除雪する『ササラ電車』が初出動しました。これは札幌市の冬の風物詩とされますが、昨年より18日早い出勤だそうです。夜には40cm超えとなった地域もあるようで、千歳市の隣、恵庭市でも25cmの積雪量のようでした。北海道への出張族の気がかりは、交通機関への影響です。

滅多に積雪がない東京では、ベタついた湿った雪ですが、北海道は、サラサラの粉雪です。しかし、雪のシーズンの初期と終期は、水分を多く含んだ雪となりますので、除雪に難儀するようです。実は道内の交通機関の乱れは、これが大きいと聞いたことがあります。

この時期の降雪量が、恵庭市で25cmと聞けば、当然気になるのは、新千歳空港の様子です。新千歳空港は、千歳市と太平洋に面する苫小牧市にまたがっていて、道内では比較的積雪量の少ない場所に位置しています。国内最大の除雪設備を擁しているものの、冬季に数回、滑走路を閉鎖せざるを得ない事態が起きて、降雪による欠航は発生します。特に雪質が湿っている12月と2月後半から3月初旬が、欠航率が高くなる傾向があり、私も2月下旬の出張の際、着陸不能による行き先変更へ、除雪の作業による大幅な遅延に、何回か当たったことがあります。

しかしまだ11月上旬です。これは、関係者の予想されなかったことだと思われます。この日新千歳空港は、約50便が欠航となったと報道されていました。日曜日の上り便で影響を受けたのは、出張族だけではないでしょう。

降雪の時期は、道路に積もった雪を、路外に除雪する関係で、車線が狭まります。また、スリップを避けるため、車は、スピードを上げません。それでバスは自然と遅くなりますが、鉄道とて同じなのです。線路の上に雪が積もって、しかも水分が多い雪だと凍結して、車輪の動きを鈍くします。スリップや脱線の危険があります。新千歳空港駅と札幌駅を結ぶ『快速エアポート』は、この間36分ですが、積雪が多いときは、40分から1時間近くかかって、安全運行に努めているのです。JR北海道の線路の脇には、寒さの中、よく作業服を着た人が立っておられます。安全のためであります。今からこんな状態では、自治体の除雪費の計上も、気になります。そろそろ冬の準備にとりかかろうかの話題の矢先の季節外れの大雪だったと言われます。

この日、道内の鉄道も、遅れや運休が発生したそうです。また、札幌市電の狸小路とすすきの間で、街路樹の枝が、雪の重みで架線につきそうになったことから、その除去作業のために、外回り電車にダイヤ乱れが起きたそうです。昨年の今ころ、この『ひとりごと』で、なぜ札幌市の市電はいびつなかたちをしているのかお話したと思います。もともと市内あちらこちらに網羅されていた市電の線路が、自動車が増えて順次無くなり、最後に残ったのが現存1路線なのですが、これが昨年12月より『ループ化』すると言うニュースです。

すなわち、『西四丁目』と『すすきの』間に軌道を敷くことで、市電は、東京の山手線のようにつながるのです。と言うよりも、かつての路線が、『復活』するのでした。


今回11月の降雪により、枝が垂れ下がった街路樹とは、昨年12月に開通した区間にあります。そういう意味では、11月の雪は、初めての経験だったわけです。この市電ループ化により、昨年日本三大夜景の第2位にランクインした藻岩山への行き来も、市内どこからでも可能となり、利用者数は増えているそうです。


ササラ電車に藻岩山夜景。凍てつく北の大都会の冬の彩りかと思いますが、それは雪の苦労を知らず、年に数回たった1cmの積雪でも、右往左往する首都圏の人間の勝手な思い込みなのかもしれません。北の大都会に訪れた例年より早い白い風景を想像して、この冬も出張予定の今の札幌市を想像してみました。急激な温度の変化にも注意してください。