1回やってダメなものは、16回やっても無駄ではないかと危惧する日露会談の成果です。

2016年12月21日
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先週ロシアのプーチン大統領が来日しました。外遊王?安倍晋三氏とはこれで16回目の対談となります。

 

今回は、安倍氏の地元山口県長門市にいらっしゃって、温泉旅館で日本のおもてなしを受けられたようです。

 

翌日東京で揃って会見の場に臨みましたので、なんで山口県に来なければならなかったのか、わからないところはあります。 日本の内閣総理大臣は、初代の伊藤博文より安倍晋三氏まで、山口県出身者がいちばん多いです。この中には菅直人氏も含まれていることはあまり知られておりませんが、あまり知られていない点では、出身者の意味です。

 

安倍氏が、長門市を含む山口4区選出の衆議院議員であること、先祖の墓所がこの地にあることは事実です。今回プーチン大統領に対しては、『私の故郷』を強く訴えていました。

 

『故郷』の意味はさまざまで、心のふるさとも含む、その地になんらかの関係を持った瞬間から故郷となりうるとの解釈もあるそうです。だからか安倍晋三氏は、東京で生まれ、東京で育ち、東京の学校を出て、東京で暮らしているが、その祖先が山口県にいたので、『故郷』と思っていたのでしょう。でも、『出身』は違いますね。 山口県長門市は、日本海に面して、私のイメージは、青海島、仙崎かまぼこ、金子みすゞ、そして山あいの長門湯本温泉であります。温泉ブームの昨今、なんで長門湯本温泉なのかと言えば、この地にあった老舗温泉旅館が倒産したニュースが出ていたからです。

 

日本海に面する長門市の中心街から遠く離れていて、新幹線の新山口駅、空路の山口宇部空港からは車を使って1時間半はかかる交通至極不便な地にあるので、やはり競争社会に取り残されたのかと思ったからです。そんな土地に、プーチンさんをお招きしたのです。 山口宇部空港から繋がる道路、そして付近の宿舎等建設が始まり、ちょっとした特需だったようです。

 

地元ではロシアの旗を持った人が出迎え、この日小学校の給食はロシア料理が出されました。日本人が誇り?にしている日露戦争日本海海戦は、対馬海峡玄海沖から、山陰山口沖で繰り広げられました。そのため異教の地で落命し、この地に流れ着いたロシア兵の亡骸を、地元民が手厚く埋葬して供養した歴史があることを知りました。ここを力説して、プーチンさんをお招きすればよかったのに…と思いました。安倍晋三氏、あまり歴史ご存知ないですからね。知らなかったのでは? さて、この首脳会談が行われることが決まったとき、懸案の北方領土問題に大きな進展があるのではないか、特にかつて日本の柔道を愛好し、『引き分け』に言及したプーチン氏、日本側は、歯舞群島と色丹島が返還されるのではと期待感がありました。

 

いざ蓋を開けてみたら…。安倍氏、この会談直前に、どうやらそう簡単ではないとの情報が入ったからか、『たった1回の話し合いで…』と言いました。

 

たった1回じゃないですよ。

 

長期政権を敷き、世界各地を行き来し、プーチンさんとは16回です。

 

今度はわざわざ安倍氏の『郷里』を表敬訪問されたプーチンさんのロシアに3.000億円の経済協力の約束なる大きなお土産まで差し上げました。 ご自分の郷里に来ていただいたことが余程嬉しかったのでしょう。確かに『こんなところ』に来る不便から、プーチンさんはたいへん苦労して、2時間半遅れての到着となりましたし。

 

同じ山口県の巌流島で、佐々木小次郎と対決した宮本武蔵、彼も遅れてしまいましたね。

 

プーチンさんへのおもてなしで忙し過ぎてこの日アメリカ、そして国連が、シリア問題で、ロシアに対して経済制裁を出すことを決めたことを忘れてしまったようです。そういう意味でも友情の3.000億円ですね。 アメリカ合衆国次期大統領トランプ氏は、プーチンさんとは仲良しとされます。やがて退任するオバマ大統領が、先の大統領選は、ロシアが妨害したとの声明まで出しているくらい、プーチン・トランプ両氏仲が良いらしい。

 

でもロシアは、将来平和条約が締結されて、歯舞群島と色丹島が日本に引き渡されたとしても、その地にアメリカの軍隊が駐留することは絶対に認めないと言っています。今回の会談、ロシア側は、領土に関する主権は議論されなかったと言っています。日米同盟を維持する限り、アメリカは、日本とアジア地域の平和と安全を守るために、日本国内に米軍基地を置くことになっていますが、さて領土問題が解決したら、どうなるどうするんでしょうね。

 

もっとも、選挙戦で言っていたように、トランプ氏、日本が金を出さなければ日本から米軍は撤退するのであれば、そんな悩み無用です。また、いつになっても北方領土、日本に返還引き渡しがなければ、こんな板挟みの悩み?感じませんね。

 

なんか悩みたくないから今回のこのような『日露交渉』に留めた高度な政治的判断でもあったのかと思いたくなるおもてなしの国日本でした。